デビッドソン、トヨタの執念に驚嘆「宇宙飛行に臨む”NASA”レベル」
トヨタのリザーブを務めるデビッドソンは、チームがル・マン24時間に向けて行っている信頼性の追求は、まるでNASAレベルだと語った。
写真:: Nikolaz Godet
TOYOTA GAZOO Racingのリザーブドライバーを務めるアンソニー・デビッドソンは、チームがル・マン24時間レースに向けて取り組んでいる信頼性の追求は、まるで宇宙飛行に臨む”NASA”のようなレベルだと話した。
過去2年、トヨタはル・マン24時間に最速のマシンを持ち込んだ。しかしながら技術的なトラブルなどにより、その勝利を逃してきた。
2016年は中嶋一貴のドライブでトップを走っていた5号車に、残り時間わずか数分というところでトラブルが発生。ホームストレートでマシンを止め、まさかのリタイアに終わった。
昨年は3台のマシンを投入する必勝体制で臨んだが、2台にトラブルが起き1台は他車との接触でリタイアとなった。その中には、ピットレーン出口でシグナルが変わるのを待っていた小林可夢偉が乗る7号車に、LMP2クラスのドライバーが近づき激励のサムアップ。これをマーシャルのGOサインだと小林が見間違えたことで、結果的にクラッチトラブルが起きてしまう”偽マーシャル事件”もあった。
ル・マン制覇という悲願達成を目指すトヨタは、予想外の事態への対応力を向上させるため、3輪状態でモーターランド・アラゴンを1周走り切るなど、テストを通して荒療治を行ってきた。
「レースにおいて起こりうる全てのことを再現しようとしてきた」と、デビッドソンは語った。
昨年まで、中嶋やセバスチャン・ブエミと共にマシンに乗っていた彼は、フェルナンド・アロンソの加入に伴い今年はリザーブドライバーを務めている。
「僕たちは、ポルティマオやアラゴン、ポール・リカールでテストをした。あらゆる事態を経験し、そのすべてに対してバックアップの選択肢を持てるように対策してきたんだ。まるで、NASAが宇宙飛行にアプローチしているようなやり方でね」
「以前とは比べ物にならないくらい、僕たちはマシンの内側も外側も理解している。いうまでもなく、不可抗力でトラブルに見舞われる可能性は常にあるけど、これまでよりもチームとしてはるかに良い位置にいる」
「本当に目を見張るような経験だった。僕がこれまでやってきたどんなレースでも、こんなネバーギブアップの精神は見たことがない」
テクニカルディレクターのパスカル・バセロンは、テストにおけるレースシミュレーションの際はほぼ毎スティント、人工的な問題を起こしてチームが対処せざるを得ない状況を作っていたと話した。
「メカニックにとってはちょっとした衝撃だった。以前は、メカニックはピットでマシンが戻ってくるのを待つだけだったが、今回はほぼ毎回ピットでマシンの何かを交換していた。ある時、彼らは”ハードすぎるから、止めてくれ!”と言ったほどだ」
これらの努力の結果、勝利を逃した2016年と2017年に見舞われたトラブルが再び起きたとしても、走行を継続できるとチームは確信している。しかしバセロンは、いくら対策を重ねてきたとしても、過信は出来ないと認めている。
「2016年は、ターボの吸気ダクトが壊れたために制御に問題が生じて、シリンダーの片バンクが失われた」
「もし今同じことが起きたら、1気筒だけを無効化することができる。そうすれば、ル・マンの1周を4分で回ることができて、ピットに戻ってくることもできる。クラッチも大きくなっており、より自由にスタートをすることができる」
「それでも、ル・マンに来てすべてのリスクをカバーできていると言うことはできない。本来、そんなことは不可能なのだ」
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