コラム:世界王者が語る24時間レース「ル・マンのコーナーは楽しい」

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コラム:世界王者が語る24時間レース「ル・マンのコーナーは楽しい」
執筆: 赤井邦彦
2018/06/13 3:04

3人のF1勝者が初参戦する今年のル・マン。これまではチームに焦点が当たっていたが、彼らの登場により語られる角度が変わりそうだ。

#7 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050: Mike Conway, Kamui Kobayashi, Jose Maria Lopez, #8 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050: Sébastien Buemi, Kazuki Nakajima, Fernando Alonso
Fernando Alonso, Toyota Gazoo Racing
Fernando Alonso, Toyota Gazoo Racing
Fernando Alonso, Toyota Gazoo Racing
#7 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050: Mike Conway, Kamui Kobayashi, Jose Maria Lopez, #8 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050: Sébastien Buemi, Kazuki Nakajima, Fernando Alonso
Fernando Alonso, Toyota Gazoo Racing
Fernando Alonso, McLaren, and Stoffel Vandoorne, McLaren
Fernando Alonso, McLaren
Fernando Alonso, McLaren, shoes and a hat celebrating his 300th Grand Prix appearance
#7 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050: Mike Conway, Kamui Kobayashi, Jose Maria Lopez, Fernando Alonso, Anthony Davidson
#8 Toyota Gazoo Racing Toyota TS050: Sébastien Buemi, Kazuki Nakajima, Fernando Alonso, Jose Maria Lopez, Anthony Davidson

 今週末、フランス・ル・マンで24時間レースが行われるが、今年は少しばかりこれまでとは違った角度からレースが語られそうだ。

 これまでのル・マンは、私の知っている限り自動車メーカー、チーム、クルマが主役だった。アウディが、ポルシェが、トヨタがという視点でレースが語られ、アウディR18が、ポルシェ919ハイブリッド、トヨタTS050 HYBRIDが話の主役だった。

 それらを操るドライバーは存在が忘れられているのではないかと思えるほど、話題の前面に出てこなかった。昨年優勝したポルシェのドライバーの名前を挙げよと言われても、3人の名前がすぐに出て来るかと言えば甚だ怪しい。最近のル・マン24時間レースはそんなレースだった。

 ところが今年は少し様子が違う。それは、トヨタのドライバー・ラインアップに現役F1ドライバー、それも超トップクラスのフェルナンド・アロンソが加わったことに端を発する。アロンソは押しも押されもせぬ当代随一のドライバーだが、ここ数年F1では勝利から見放されている。理由はクルマの性能不足であることは明白。ゆえに彼は現状に不満を覚えている。そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、アロンソが所属するマクラーレンの新しいCEOに就いたザク・ブラウンがアロンソをF1以外のレースに引っ張り出した。2017年、まずインディ500マイル・レースに参戦した。そして今年、トヨタ・チームからWEC全戦に参戦することを表明。緒戦のスパ6時間レースでは早速優勝車のドライバーとして名を連ねた。

 というわけで、アロンソがル・マンに出ることになって、主役はあっという間にメーカーやチームやクルマではなくドライバーになってしまった。

 そのアロンソ、1週間前に行われたテストデーを走って、興味ある言葉を残している。例えばサルテ・サーキットのあるコーナーに関してこう言った。

「素晴らしいコーナーだ。こんな走りがいがあるコーナーは他に例がない。スポーツカーを走らせるのに最も適したコーナーだと言える」

 アロンソがどこのコーナーを指して発言したのかは知らないが、これこそ生のドライバーの声として聞くことが出来た。そして興味あることに、今年のル・マンにはジェンソン・バトン、そしてファン・パブロ・モントーヤも参戦するが、この3人が揃ってサルテ・サーキットのコーナーについて好意的なコメントを発している。モントーヤなど、「面白くて気持ちが良い」とさえ言う。

 これはどういうことだろう、と考えてみた。そして、おそらく間違ってはいないだろう結論に到達した。

 彼らがこれまで戦って来たF1は、ル・マンを走るクルマに比べてかなり敏感な性格を持っている。それはコーナーでまったく気が休まらないということだ。例えばひとつのコーナーを攻める時には、そのコーナーを幾つものパートに分けてひとつひとつ攻略していくような走りを強いられるということを意味する。これはつまり、コーナーは彼らにとって(F1マシンにとって)まったく気の休めない場所だということだ。F1で走る場合は。

 翻ってル・マンを走るスポーツカーをドライブすると、おそらく彼らの感性ではF1に比べてスムーズで乗りやすいと感じたのだろう。例えばポルシェカーブのようなコーナーでは、ひとたびリズムを掴むとまるでクルマの絨毯の上を滑るような感覚で走り抜けられるのではないか。それが、スポーツカーで走るル・マンのコーナーは素晴らしいという答を引き出したに違いない。

 レーシングカーを走らせるということは、かくも深い意味を持つ。そして、そのことに気づくのはやはり多くの経験を積んだベテラン・ドライバーだということ。我々はこういう話が欲しかったわけで、それにはアロンソに倣って多くのドライバーが多くのカテゴリーを経験してもらい、我々の知らない世界を紹介して欲しい。

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