約束された輝かしい未来も生死彷徨う大事故……クビサが不屈の魂で掴んだル・マン制覇の偉業にF1界も湧く「人間離れしている」
元F1ドライバーのロバート・クビサがル・マン24時間レースで初の総合優勝。山あり谷ありのキャリアに華を添えた。
Winners #83 AF Corse Ferrari 499P: Robert Kubica, Yifei Ye
写真:: Rainier Ehrhardt
元F1ドライバーのロバート・クビサは、世界三大レースのひとつに数えられるル・マン24時間レースで初の総合優勝。F1界からも称賛の声が届いた。
ポーランド出身のクビサは2006年シーズン途中にBMWザウバーでF1デビュー。3戦目にして初の表彰台を獲得してみせた。 2007年のカナダGPでクビサは激しいクラッシュを喫して次戦欠場を強いられたが、翌年のカナダGPで初優勝。この年は自己最高成績となるドライバーズランキング4位に入った。
こうした活躍からクビサはフェラーリと2012年シーズンからの契約を締結。カート時代からの仲であるフェルナンド・アロンソ(現在はアストンマーティン)とコンビを組む予定だったが、2011年にイタリアで開催されたラリーイベントで瀕死の重傷を負い、4年間のF1生活に一度ピリオドを打つこととなった。
事故により後遺症が残ったクビサだったが、2013年に世界ラリー選手権(WRC)のWRC2クラスでチャンピオンを獲得し、サーキットレースにも復帰。そして2019年には、ウイリアムズからF1復帰を果たした。2020年にはアルファロメオ陣営に移りリザーブドライバーを務め、翌年にはキミ・ライコネンの代役として2戦を戦った。
F1のリザーブを務める傍ら、耐久レースでも活躍していたクビサ。2021年にはル・マン24時間レースにLMP2クラスでイェ・イーフェイ、ルイ・デレトラズと共にチームWRTから初挑戦。レース終盤までクラス首位を快走していたが、最終ラップにスロットルのセンサートラブルでリタイアを喫した。
F1では夢のフェラーリ入りを叶えることができなかったクビサだが、2024年からはフェラーリのカスタマーチームであるAFコルセから世界耐久選手権(WEC)最高峰ハイパーカークラスに参戦。5度目の挑戦となった2025年のル・マンでは計10時間以上のドライブを担当し、フィル・ハンソン、イェと共に総合優勝を果たした。奇しくも、今年のカナダGPが開催されたのと同じ週末だった。
Fernando Alonso, Alpine, and Robert Kubica, Alfa Romeo test driver, in 2021
Photo by: Mark Sutton / Motorsport Images
2018年と2019年にル・マン総合優勝経験のあるアロンソは、山あり谷ありのレース人生を歩んできたクビサの偉業達成を称賛し、次のように語った。
「彼のことはとても嬉しいよ。そのレースがどれほど特別かについて何度か話したけど、彼はそれを経験するのにふさわしい人物だ」
「彼は僕たちのスポーツのレジェンドだし、ル・マン優勝を果たした今、彼はさらに伝説的な存在となった」
「彼のキャリア全体、特に事故による苦難やそのような経験を経てきたことを考えると、今日はモータースポーツにとって非常に幸せな日だと思う」
「彼は数年前にも、LMP2クラスでおそらくル・マンを勝つはずだったと思う」
「明日連絡するつもりだよ。彼は今日お祝いしているだろうから、邪魔したくなかったからね! 本当にハッピーだし、彼を誇りに思う」
また、クビサがライコネンの代役として2戦を戦った2021年当時、アルファロメオでチーム代表を務め、現在はスクーデリア・フェラーリを指揮するフレデリック・バスール代表は、ル・マンでの勝利には驚かされたと語った。
「ロバートと私が近しい関係にあるというのは知っているだろう」とバスール代表は言う。
「彼はアルファロメオで数年、その前にもF3フォーミュラ・ルノーでも共に過ごした。私としては、彼は人間離れしている」
Robert Kubica, Test and Reserve Driver, Alfa Romeo Racing
Photo by: Andy Hone / Motorsport Images
「彼がやっていることはメガだ。この状況でル・マンを勝つこと、チームのリーダーであること、チームを鼓舞するというのは、私には想像できないことだ」
「ロバートのことを話すたびに、キミがCOVID陽性になり、彼が代役としてアルファのマシンに飛び乗ったザントフールトのことを思い出す」
「彼は土曜日の朝、マシンに飛び乗らなければならなかった。ザントフールトのピットレーンはとても狭く、彼はハンドルを切ることもクラッチを握ることもできなかった。彼は1年を通してマシンを運転していなかった」
「そして決勝レースでは、最終コーナーまでセブ(セバスチャン・ベッテル)と争っていた。まさにメガだ。ロバートのことを本当に嬉しく思うよ」
「彼はモータースポーツ界で混沌としたキャリアを歩んできたが、彼がそのキャリアに費やした努力の度合いを見ると、今回このようなプレゼントを手にすることができて、とてもとても嬉しく思う」
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