トヨタ、薄氷のル・マン4連覇だった? 燃料システムトラブルで“約1時間”修理の可能性もあったと明かす
2021年のル・マン24時間レースでワンツーフィニッシュを果たしたTOYOTA GAZOO Racing。ただテクニカルディレクターのパスカル・バセロンによると途中発生した燃料システムのトラブルは、優勝を失う可能性もあるモノだったという。
サルト・サーキットで行なわれたWEC第4戦、第89回ル・マン24時間レース。ハイパーカー規定で実施される初めてのル・マンは、TOYOTA GAZOO Racingの7号車と8号車がワンツーフィニッシュを達成した。しかもトヨタとしては、これで同レース4連覇ということになった。
ただ彼らはノートラブルで24時間を完走したわけではなく、トラブルを乗り越えての勝利だった。
問題が発生したのはレースが残り6時間を切ろうかという頃だった。8号車の燃料システムにトラブルが発生し、彼らは予定よりも早くピットストップを強いられた。7号車にも同様の問題が発生したが、その後ガレージに戻って修理を行なうまでは至らず、レースを走り続けた。
テクニカルディレクターのパスカル・バセロンは、今回発生した問題については7月の第3戦モンツァで発生し、修理に1時間近くを要したトラブルに近いものだと明かしている。ただ、そうした問題を走行を続けながら解決することができ、それによって4連覇を失うことを避けられたと彼は語る。
「モンツァと似た問題だった。だがモンツァではその問題を修正することはできなかった」と、バセロンは言う。
「チームの多くのスタッフが、問題を解決するために工夫を凝らしてきた」
「今回の大きな違いは、我々はガレージに1時間も留まることなく、問題を回避する方法を見つけたことだ。これは眼を見張るものだった」
「ガレージにストップすることが、我々から勝利を奪い去るのと同義だというのは理解していた。だからこそ、マシンをガレージに戻しての修理を行なわなかった」
ワンツーフィニッシュを果たしたトヨタ勢だったが、彼らと後続の36号車アルピーヌや、グリッケンハウス勢との差は、当該のトラブルをピットで修理して送り出せるほど余裕のあるものではなかった。
バセロンはモンツァ戦と同じような修理(モンツァでは8号車の燃料システムを交換した)が必要だった場合、“少なくとも45分”は時間が必要となったと説明している。
なおこれはTotalから提供されている燃料に起因したものではなく、チームが使用するプロセスとシステムに関連する燃料の汚染により必要なモノだったようだ。
バセロンは今回どのようにして問題を解決したのかその詳細については明かさず、「より明らかな情報を得るために、さらなる詳細を調査しなくてはならない」と述べるに留めている。
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