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グリッケンハウス、BoPの変更も追い風に”打倒トヨタ”を目指す「勝てると信じて臨む」

グリッケンハウスは、2022年のル・マン24時間レースでトヨタを倒し、総合優勝を狙うことができると確信している。

#709 Glickenhaus Racing Glickenhaus SCG 007 LMH of Ryan Briscoe, Richard Westbrook, Franck Mailleux

写真:: Eric Le Galliot

 グリッケンハウスのチーム創設者であるジム・グリッケンハウスは、WECハイパーカークラスのBoP(性能調整)とマシンおよびチームの改善により、ル・マン24時間レースでトヨタに対抗できるようになったと考えている。

「なぜ、勝てると信じてレースに臨んではいけないのだろう?」

 グリッケンハウスは、そう『Autosport』に語った。

「それがレースに出る理由だし、簡単には諦めないよ」

「もしあなたが賭け事をする人なら、グリッケンハウスやトヨタを見て、我々が2年間で作るロードカーの台数をたった5分で作るような相手に、どうしてチャンスがあるのかと思うだろう」

「しかし今は、BoPがかなりフェアなバランスになっている。それが、我々にチャンスがあると考える理由だ」

 6月5日に行なわれたル・マンの事前テストでは、トヨタ7号車がトップタイムを記録したものの、グリッケンハウスの708号車はロマン・デュマのドライブで、7号車から0.2秒差の2番手につけた。

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Photo by: Marc Fleury

 グリッケンハウスは、昨年のル・マンから大きく変わったポイントとして、トヨタGR010 HYBRIDのハイブリッドパワーが大きく制限されている点を挙げた。

 GR010はフロントアクスルにモーターを搭載しており、ハイブリッドシステムによるアシストが効いている間は4輪駆動となる。しかし今季から、BoPの変更によりハイブリッドパワーの展開が可能となる速度が、全てのコンディションで190km/hに引き上げられたのだ。

 昨年はドライで120km/h、ウェットで150km/hだったことを考えると、GR010がハイブリッドシステムの恩恵を受けられる場面はかなり減っている。

 この変更についてグリッケンハウスは、「190km/hにして欲しいとは言っていない。ただ、4輪駆動車であることが大きなアドバンテージになってはいけないと言っただけだ」と、説明する。

「私は(WECのルールを共同で策定している)FIAとACO(フランス西部自動車クラブ)が行なったことに大きな敬意を抱いている」

「彼らはすべてのデータを見て、私が信じる公平なBoPを作り出したんだ」

 また、ポディウム・アドバンスト・テクノロジーズがイタリアで開発しているグリッケンハウスのマシン自体も、昨年8月のル・マンよりレースをしやすいクルマになっていると語った。

「ポディウムの人たちは、我々のクルマを最適化するために素晴らしい仕事をしてくれた」と説明した。

 2021年から改善された部分のひとつが、コックピットのエルゴノミクス(人間工学)的な面だ。24時間レースを戦う上で決して無視できない側面だろう。

 また、チーム体制も改善。ル・マンを何度も制したヨースト・レーシングの人員が加わっているのだという。24時間レースで30回前後のピット作業を行なうル・マンでは、ピット作業時間の差も積み重なれば大きな差につながる。

「昨年はピットワークが標準に達していなかったので、我々はそこに非常に大きな力を注いだ」とグリッケンハウスは語った。

「戦略的な面でも、より良い準備ができたと言えるだろう」

 今年のWEC第3戦、第90回ル・マン24時間レースの練習走行は6月8日(水)の午後に始まり、夕方には最初の予選が行なわれる。

 
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