インタビュー
ル・マン24時間 24 Hours of Le Mans

コロナに感染せず、出走するのが最優先。小林可夢偉「特別な9月にしたい」

今年もル・マン24時間にTOYOTA GAZOO Racingの一員として挑む小林可夢偉は、新型コロナウイルスに感染せず、しっかりとレースに出走することを最優先に考えたいと語った。

#8 Toyota Gazoo Racing - Toyota TS050 - Hybrid: Sébastien Buemi, Kazuki Nakajima, Brendon Hartley, #7 Toyota Gazoo Racing - Toyota TS050 - Hybrid: Mike Conway, Kamui Kobayashi, Jose Maria Lopez

 いよいよ開催が今週末に迫った、2020年のル・マン24時間レース。通常なら6月に行なわれる同レースだが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今年は9月に代替日程が組まれた。

【ギャラリー】2020年ル・マン24時間レース(随時更新)

 その走行初日を前に、TOYOTA GAZOO Racingの面々がオンラインでの記者会見に応じ、レースに向けての意気込みを語った。

 今年こそル・マン制覇を目指すのは、7号車をドライブする小林可夢偉だ。小林は9月13日生まれ。自身の誕生日を、自分の走りで祝いたいと語った。

「9月の、ちょうど僕の誕生日が過ぎた頃にル・マンが行なわれるということで……僕の誕生日は、移動している間に終わってしまいました。正直、自分のお祝いなんて一切していないので、このル・マンに勝って、誕生日のお祝いを自分自身でしたいと思います」

 そう小林は語った。

「この9月のル・マンは、自分の中で意味のあるル・マンにしたいと思います。まだ走っていないですからなんとも言えませんが、気分は9月なので良いです。僕の月ですからね」

 今年のル・マンは、9月にも関わらず非常に高い気温に見舞われているのだという。アフリカ大陸から熱波が流れ込んでいるせいで、連日35度前後という灼熱のコンディション。例年の6月よりも暑いくらいだという。

「気温は思ったよりも高いです。ということは、ダウンフォースも減りますし、エンジンもそれほど回らないと思います。コンディションは理想的ではないですけど、そこはクルマでカバーできると思います」

 そう小林は言う。

「でもル・マンで一番大事なのは路面コンディションで、今年どうなるかは一番わからない。いつもだったら、何日間かかけて仕上がっていくじゃないですか? でも今年は、走行時間こそ例年とそれほど変わらないものの、1日しかない……そしてその次の日に予選ですからね」

「それと、コースの下見をしたんですが、コースを急いで作った感があって、コース上のいろんなところに、ものすごく大きなボルトが落ちていたりして、すごく危ないなと思いました。サーキットを自転車で回りながら、そういうのを清掃したりもしてきました」

 また決勝までの日数が少ないため、走り出しからある程度のセッティングを出せていなければ、苦戦を強いられる可能性があるという。

「決勝までに日がないので、走り出しからそれなりに良くないとダメだと思います。そういう意味では念入りにミーティングをして、クルマをどうするかということを考えていきたい。2台とも同じようなセットアップでいくことになるようなんで、そこから自分たちのクルマがどうなっていくか、セットアップを進めていかなければと思います」

 しかし今年の場合は、最も気にしなければならないのは新型コロナウイルスだと、小林は断言する。

「いつもだったら、(ル・マンの前に)パリに寄ったりするんですけど、今年はコロナの影響もありますから、一切ホテルから出ず、食事もルームサービスで済ますなどしています。ここでコロナにかかったら、レースに出られませんから、最小限の行動に留めています」

「ル・マンに来てからも、食事はチームのケータリングで済ませて、外にご飯を食べに行ったりもしていない。なのですごくストレスが溜まっています。体もほとんど動かしていないですし、ジムにも行っていません。ジムで感染したら嫌ですからね」

 とにかくル・マン24時間を走ること、それを最優先に準備を進めていると小林は力強く語る。

「ジムに行くことで、コンマ1秒稼げるとは思えません。だから動かず、レースに出られないという最悪の事態は避けようと思っています。人によっては考え方が違うかもしれません。でも、僕はそれを優先しています」

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