ル・マン初挑戦のアロンソ、トヨタに溶け込む。モチベーションの原動力
トヨタの一員として初めてのル・マン24時間に挑むアロンソ。トヨタとしては、獲得はリスクだったというが、その危惧は杞憂だったようだ。











フェルナンド・アロンソは、世界三大レースを完全制覇することが自身の夢であると公言してきた。世界三大レースは、F1モナコGP、インディ500、ル・マン24時間を総称したもの。アロンソはこのうちモナコGPを既に制している。
彼は昨年、モナコGPを欠場してまでインディ500に参戦。残念ながら勝利には至らなかったが、印象的な走りを披露した。そして今年、ル・マン24時間制覇に向け、TOYOTA GAZOO Racingに加入。今年と来年のル・マン24時間2戦を含む、WEC(世界耐久選手権)のスーパーシーズンにフル参戦することとなった。
アロンソはトヨタ加入初戦であるスパ6時間レースに8号車TS050 HYBRIDの一員として挑戦。中嶋一貴、セバスチャン・ブエミとのトリオで、見事トップチェッカーを受けた。また、先日行われたル・マン24時間の公式テストでも、好タイムを記録している。
トヨタは、アロンソの耐久レースへの適応の早さに驚いているという。
「幸いにも、そういった疑問をチーム内で投げかける必要はなかった」
アロンソがどうチームに溶け込んでいるかと尋ねられたトヨタのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、motorsport.comに対してそう語った。
「彼はとても簡単にチームに溶け込んだ。彼らは、既にお互いのことをよく理解している。とてもスムーズだ。彼は純粋で偽りの無いモチベーションを持ってここにやってきた。これまでのところ、非常に順調だ」
アロンソはF1では豊富な経験を有しているものの、トヨタ加入前の耐久レースの経験は、今年1月のデイトナ24時間のみだった。そういったドライバーを起用するのにはリスクがあったと、チームディレクターのロブ・ルーペンは考えている。
「我々は少しリスクを冒した」
ルーペンはそうmotorsport.comに対して語った。
「確かに彼は、F1で2度にわたって世界チャンピオンになったが、ここではルーキーだ。彼はトラフィックに対処しなければならない」
「20台のマシンがほぼ同じレベルの速さで走っているわけではない。大きな差がある。彼はそれを判断しなければならない」
「スパでは、彼の非常に良い瞬間を見た。ある時、彼はブランシモンで、GTEクラス
のマシンの後ろに引っかかってしまった。しかし、彼はそれを完璧に攻略してみせた。それは非常に良かったし、彼にそういうことができると、チームに自信を与えることになった」
ルーペン曰く、アロンソはコース外でも、チームに多大な貢献をするだろうと考えている。
「フェルナンドはチームに多くのことを与えたと私は信じている。彼の経験もその一部だが、特に人格による部分が大きい」
「彼は100%プロで、おおらかだし、そして正直だ。その存在は、エンジニアやメカニックにさらなるモチベーションを与えるだろう。彼が我々と共にレースするのを選んでくれたことについて、我々はとても満足している。後から考えれば、素晴らしい決断だったと思う」
「彼を見ていたり、彼から聞いていることからすれば、フェルナンドも我々と同じように考えてくれていれば良いと思う。それは重要なことだ。その最初の瞬間から、フェルナンドとともに働くのは非常に素晴らしいものだった」
この記事について
シリーズ | Le Mans |
ドライバー | フェルナンド アロンソ |
チーム | Toyota Gazoo Racing |
執筆者 | Filip Cleeren |