ル・マン24時間 24 Hours of Le Mans test day

トヨタ、前戦で起きたトラブル対処は完了。平川亮は「ル・マンではクルマの印象が全然違う!」と驚き

ル・マン24時間テストデーを、大きなトラブルなく終えたTOYOTA GAZOO Racing。前戦スパで発生したコンバーターのトラブルも、対処が完了しているようだ。

#8 Toyota Gazoo Racing Toyota GR010 - Hybrid Hypercar of Sebastien Buemi, Ryo Hirakawa, Brendon Hartley

 第90回ル・マン24時間レースのプラクティスが間もなくスタートする。ル・マン5連覇を狙うTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、現地時間の6月7日昼にリモート形式の会見を開き、チーム代表兼7号車ドライバーの小林可夢偉、8号車ドライバーの平川亮が、日本メディアの取材に応えた。

 6月5日に行なわれた公式テストでは、トヨタの7号車がトップタイムをマーク。0.2秒差でグリッケンハウス708号車が2番手となった。

 小林は、「グリッケンハウスとはいい勝負ができると個人的には思っているので、レースを楽しみにしています」と語ったが、24時間レースは長丁場。まず何より、トラブルを起こさずにレースを走り切ることが優勝の第一条件だと言える。

 その点、トヨタはWECのシリーズ前戦スパ6時間レースで8号車がトラブルに見舞われた。スパらしい雨に見舞われ、赤旗中断となった時点でトップに立っていた8号車だが、走行開始時にスムーズに発進できず。ようやく走り出したかと思うと、コースサイドでマシンを止めてしまったのだ。

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 このトラブルの原因について、チームのテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、バッテリーから流れる高電圧の電流を、低電圧に変換するコンバータが原因だったと明かした。

 このパーツはLMP1時代のTS050で使っていたパーツと同じコンセプトであり、GR010向けに調整したモノだったという。また、スパで故障した際は50kmほど使っていなかったようだ。

 スパでのトラブルへの対処について訊かれた小林は、徹底的にパーツのチェックを済ませて、ル・マンに持ち込んでいると語った。

「DC/DC(コンバータ)の問題自体は、原因は分かりました」

「どちらかというと製造側に不具合があるという問題だったので、TGR-EにあるDC/DC(コンバータ)を全部(製造元の)マレリに持っていって、開けて、再チェックしたものを今回ル・マンに持ち込んでいます」

「現状、トラブルがあった点は最大限確認して、大丈夫だというところまでやっています」

 また、トヨタは今季に向けてGR010のタイヤサイズや空力パーツなどを調整している。そのメリット・デメリットはコースごとに変わってくるが、小林は今のところその影響をあまり大きく感じていないという。

「今は正直、あまり影響はないなという感じです。路面がまだ出来上がっていないので、タイヤも何が一番良いか分かってないですけど、正直比較をしても昨年のデータが使えるなというレベルです」

 GR010でル・マンを走るのが初めてだった平川は「他のコースとマシンの印象が全然違う」と感じたという。

「自分が想像していたよりもクルマの限界が高くて、特にバックストレートでのブレーキングなどの、いわゆるビッグ・ブレーキングでは結構アタックできる印象があり、そこはすごいポジティブに考えています」

「もちろん夜やタイヤが減ってきたりすると少し厳しくなるとは思いますが、そこは結構びっくりした部分です」

 一方で、平川はトラフィックの処理が難しいと感じたという。今季はBoPの変更により、GR010のハイブリッドパワーが時速190kmまで加速しなければ使用できない点が影響しているようだ。

「一般道区間は2車線しかないですし、時速300km以上で走ったりするところもあります。誰が乗っているかなどを判断して抜くかどうかを考えなきゃいけなかったりとか……」

「トップスピードは多少こちらにメリットがありますが、なかなか簡単に抜くことはできなくて、少しリスクを冒すか冒さないか、みたいな場面はテストデーでもありました。そこに自分がもう少し慣れ、正しい判断ができるように準備していきたいと思っています」

 テストデーではトップタイムをマークしたトヨタ。ただ、ル・マンが簡単に勝てるレースではないのは、彼らもその身で実感していることだ。今年はチームの体制も変化しているが、どんな戦いを見せてくれるだろうか。

 レースに向けて準備を進めるためのプラクティスは、6月8日(水)から始まっていく。

 
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