WEC、2024年はル・マン24時間レースでもタイヤウォーマー禁止に。2023年は一時緩和も
WECは2024年シーズンのタイヤウォーマー禁止を6月に開催されるル・マン24時間レースにも適用することが明らかとなった。
FIA世界耐久選手権(WEC)は、2023年からタイヤウォーマーの使用を禁止しているが、2023年のル・マン24時間レースは例外だった。だが2024年はル・マン24時間も含めて全戦でタイヤウォーマーが禁止されることになった。
WECは2023年シーズンの開幕から、環境上の理由からタイヤをピットで予熱してからマシンに装着することを禁止した。しかし4月のスパではコールドタイヤでピットを離れたマシンによる事故が相次いだため、ル・マン24時間レースのみ禁止が緩和された。
2024年シーズンのタイヤウォーマー禁止について、WECのフレデリック・ルキアンCEOは「今のところ、ル・マンについては決定していない」と11月末に語っていた。
しかしル・マン24時間レースに適用される補足の競技規則が発表され、タイヤウォーマー禁止がル・マンにも適用されることが明らかとなった。
ル・マン24時間レースは、1周8.467マイル(13.626km)のコースとその特殊性から、補足の競技規則が存在しているが、タイヤウォーマーに関しては通常の競技規則と同じ文面となっている。
その内容は「タイヤの温度を(周囲温度と比較して)直接または間接的に変化させるいかなるプロセスも禁止する」というものだ。
ル・マンの主催者であり、FIAとともにWECを運営するACO(フランス西部自動車クラブ)からのコメントはないが、ル・マンでもタイヤウォーマーが禁止されるのは間違いなさそうだ。
Photo by: Porsche Motorsport
#5 Porsche Penske Motorsport Porsche 963: Dane Cameron, Michael Christensen, Frederic Makowiecki
タイヤウォーマーの禁止は、2023年の開幕前から論争の的になっていた。前述したように、涼しいコンディションとなった4月のスパでは事故が相次ぎ、ル・マンでは一時的に禁止が緩和されていた。
5月下旬に発表されたACOの声明によると、ル・マンでのタイヤウォーマー解禁は、「タイヤメーカー、チーム、ドライバーに、2023年のWECシーズンに向けて、冷えたタイヤの温度を上げる方法について理解を深めるための貴重な時間を与える」ものだったという。
ルキアンCEOは、ル・マンでタイヤウォーマーの使用が許可されたことについて、複数の理由があったと説明した。
「ル・マンは(昼夜の)気温差、カテゴリーの違い、ドライバーのスキルの違いなど、非常に特殊なレースだ」
「夜中の3時にピットレーンを出る時、気温はかなり低い。ドライバーはこれに適応する必要があり、そのためには時間が必要になる」
多くのチームは、WECのシーズンを通してルールが一貫していることを望んでいたようだ。
マクラーレンと組んで新クラスであるLMGT3に参戦するユナイテッド・オートスポーツのリチャード・ディーン代表は、次のように語った。
「タイヤウォーマーを使う方が好きだったが、ルールの理由は理解している」
「数年前のデイトナ24時間レースでは、それ(タイヤウォーマー)なしで走ったが、夜は氷点下だった。だからそれは可能なんだ」
またル・マンの補足競技規則の発表により、セーフティカーの運用ルールが微調整されたことも明らかとなった。
昨年のル・マンでは、”ドロップバック”と呼ばれるプロセスでリスタート時の隊列をクラスごとに整理していたが、リスタートまでに時間がかかることから批判を浴びていた。
新たな手順では、3台のセーフティカーが同時に出動し、全車両を3つの隊列に分ける。セーフティカー出動の原因となった事故の処理が終わると、隊列はひとつにまとめられる。
この列の中でクラス首位のマシンより前にいる車両はセーフティカーを追い越して、隊列の最後方に合流することができる。この手順は”パスアラウンド”として知られており、周回遅れになりそうだったマシンがリードラップに復帰するケースもあるだろう。
しかしその後、隊列をクラスごとに整理するドロップバックは、補足競技規則からは削除されている。
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