
3月28日、ピレリの活動計画発表会が行われ、今季から鈴鹿8時間耐久レースに復帰するモリワキレーシングにタイヤを供給することが改めて発表された。
昨年、8年ぶりに全日本ロードレース選手権のJSB1000クラスへの復帰を果たしたモリワキ。そのモリワキは今年、伝統の鈴鹿8耐に戻ってくることになる。そして、彼らのマシンが履くのはピレリタイヤだ。
鈴鹿8耐のタイヤといえば、ブリヂストンやダンロップのイメージが強い。事実、昨年エントリーした70チーム中、ピレリタイヤを履いていたのは8チームのみだった。しかしなぜモリワキはピレリを選んだのだろうか?
「ピレリさんは、ワールドスーパーバイクでコントロールタイヤとして長い間データを蓄積されていますし、データや技術面でも熟知されている。ここ数年の8耐をみれば、ラップタイムがどんどん安定してきています。そういう総合的な理由から、8耐に戻るのであればチャレンジしてみようということで、ピレリさんと一緒に戦おうということになりました」
そう語るのは、モリワキレーシングのチームマネージャーを務める、森脇緑氏だ。
「モリワキは色々な部品も開発していますので、世界を視野に入れた時に、ピレリさんがウチにとっても素晴らしいパートナーだということで、決定しました」
モリワキが使うタイヤは、ワールドスーパーバイクのワンメイクタイヤでもあるピレリのDIABLOである。DIABLOは希望すれば誰でも買うことができる、レース専用のタイヤだ。
「誰でも買えて、そして戦闘力が高いというのは、すごいことだと思います」
そう森脇マネージャーは語る。
「世界のいろんなチームが、色々なメーカーのバイクで使っています。だから、データ量がすごいんです。私たちがこういうパフォーマンスで、こういう症状になった……という話をすると、すぐにそれに対する意見をビシッと言っていただけるんです。日本とイタリアで離れていますが、国内にいるようなレスポンスの早さで、ちゃんと意見を言ってくれますし、すぐに状況も理解してくれます」
「我々はタイヤのみならず、いろんなメーカーさんにサポートしてもらっています。モリワキにとって一番大切なのは、一緒に開発をしていくということ。我々も色々なパーツなどを開発しているので、切磋琢磨するというのは当たり前なんですよね。良いことしか言わないとか、悪いことしか言わないというのではダメなんです。専門分野の方々から意見をいただけるというのは、ありがたいことです」
このDIABLOは、前後共に17インチのタイヤである。JSB1000は今年から17インチのタイヤとなったが、鈴鹿8時間耐久レースが含まれるFIM世界耐久選手権は、17インチのタイヤを使うこともできるものの、16.5インチも使用できる(次シーズンから17インチに変更予定)。モリワキは今季の復活参戦にあたり、17インチのタイヤを履くことを選んだ。
「17インチの方が、パフォーマンス面では劣ると言われています。でもウチはあえて、去年から17インチを使っています。当然、開発も進められてきているので、16.5インチの方が有利です。でも、私たちは一瞬一瞬の結果だけを求めているわけではありませんから、あえて茨の道を進みました。私たちは商品開発のためにレースをしています。そこの考え方は、他のチームとは違うかもしれないです」
久々に8耐への復帰を果たすモリワキ。しかし、勝利へ向けてのハードルは極めて高いと森脇マネージャーは語る。
「もちろんトップを目指して戦います。でも、ヤマハさんやスズキさん、そしてカワサキさんはもちろん、ホンダ勢にも強いチームがあります。そういったチームやバイクと戦うというのは、簡単なことじゃないですね。ふたりのライダー、高橋裕紀選手と清成龍一選手の力を借りて、トップを目指すために頑張ります。コツコツ積み上げるだけです」
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シリーズ | FIM Endurance |
執筆者 | 田中 健一 |