チームスズキCNチャレンジ、雨の鈴鹿8耐でも手応え。サステナブル技術の進化示し、24時間レースも視野に
2026年の鈴鹿8時間耐久ロードレースで7位となったチームスズキCNチャレンジ。今年で3年目となったプロジェクトを率いる佐原伸一は「世界の仲間入り」の手応えを感じている。
写真:: T.Yamaguchi
チームスズキCNチャレンジは2026年鈴鹿8時間耐久ロードレースで総合7位を獲得した。100%サステナブル燃料に加え、新たなサステナブルアイテムを投入したマシンは競争力も向上。プロジェクトリーダー(PL)の佐原伸一氏は「世界の仲間入りができた」と手応えを語り、その先には24時間耐久レースへの挑戦も見据えている。
2024年に始動した同プロジェクトは、2025年から100%サステナブル燃料を採用。2026年に向けてさらにサステナブルアイテムを拡充した。タイヤには再生資材の使用率を高めたものを採用したほか、天然素材を使用したカウルやシート、再生チタンを用いたエコチタン製燃料タンクなどを投入。見た目には分かりにくい部分も含め、着実にサステナブル技術の適用範囲を広げてきた。
その一方で、佐原PLによれば、性能面も確実に向上したという。
「去年もトップ10に入る力は十分あったと思っています。今年はさらに性能を上げた状態で持ち込めたつもりでした」
結果は総合7位。順位だけを見れば初年度の8位からひとつ順位を上げたに過ぎない。しかし、上位にはワークスチームやEWCタイトル争いを繰り広げる強豪が名を連ねていた。佐原PLは「やっと世界の仲間入りができたのかなと思っています」と、その価値を語る。
もっとも、成果を個人のものとは考えていない。「自分が何かやったということでは全くありません。メカニックも裏方も含め、みんながミスなく進めようと真剣に取り組み、そこへライダー3人のチームワークが加わった結果だと思っています」と佐原PLは言う。
チームスズキCNチャレンジ
写真: T.Yamaguchi
今年投入した開発項目のひとつが、可変式ウイングレットだ。高速域では空気抵抗を抑え、低速域ではダウンフォースを確保することを狙ったもので、決勝では耐久性と一定の効果を確認できたという。
一見すると環境対応とは結び付きにくい技術にも映るが、佐原PLは「空気抵抗の低減は燃費改善につながる」と説明する。さらにダウンフォースを最適化することで、再生材を用いたタイヤの性能を最大限に引き出すことも狙いのひとつだという。環境性能を高めるだけではなく、サステナブルな部品を競技レベルで機能させるための開発という位置付けだ。
では、サステナブルアイテムを増やせば、そのまま速さにつながるのだろうか。佐原PLは、その点について冷静に現状を語る。
「サステナブルアイテムを使ったら普通の材料より速くなるものがあるなら、みんな使っています。そういうものはあまりありません」
だからこそ重要なのは、それぞれの素材や部品が持つ特性を理解し、どう使えば速く走れるのかを探ることだという。ライダーと開発陣が知見を積み重ねることで、将来の実用化につなげていく。それこそが、このプロジェクトの大きな役割だ。
一方で、今回の鈴鹿8耐では思わぬ条件にも直面した。決勝は雨で始まり、ウエットコンディションで多くの時間を走ることとなった。タイヤについては、サステナブル仕様が用意されていたのはスリックタイヤのみ。レインタイヤは通常仕様を使用していたことを佐原PLは隠さず明かした。
「サステナブルタイヤはスリックしかありませんでした。だからレインタイヤは普通のタイヤでした」
それでも、通常のレインタイヤでも車体が十分機能することを確認できたことは、大きな収穫だったという。
「普通のタイヤもサステナブルタイヤも入れ替えながら使えるという、いいベンチマークになりました。雨でもトップ10圏内で走れるだけのペースはありました」
異なる特性を持つタイヤに対してもマシンを機能させられることを確認できたことは、今後の開発に向けた重要なデータとなった。
今後はさらにサステナブル部品を増やしていく考えだが、単に部品を置き換えることだけが目的ではない。二輪だけでなく四輪やマリンなど社内の各部門を巻き込みながら技術を磨き、人材育成にもつなげていく構想を描いている。
写真: T.Yamaguchi
まずは全日本ロードレース選手権後半戦で結果を目指す。一方で、耐久レースプロジェクトとしての将来像はまだ決まっていない。
「来年どうなるかはまだ白紙です」そう前置きしながらも、佐原PLはその視線の先を隠さなかった。
「鈴鹿8耐の結果だけ見れば、うちより上にいるのは世界で戦っているチームだけです。そう考えると、次は世界に挑戦するしかないじゃないですか」
そして、その挑戦の舞台として思い描くのが24時間耐久レースだ。
「耐久性を確認するには耐久レースがベストですが、所詮まだ8時間です。24時間だったらどうなのかというのは、いつか通らなければいけないステップだと思っています。それが来年なのか再来年なのかは白紙ですが、早い方がいいですね」
鈴鹿8耐で得たチーム最高位という結果は、プロジェクトのひとつの到達点であると同時に、新たなスタートラインでもある。24時間耐久レースへの挑戦はまだ構想段階だが、鈴鹿8耐で積み重ねた知見は、その実現に向けた大きな一歩となった。
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