大観衆が集まった冷雨のもてぎ。”凱旋”の日本人選手は悲喜こもごも

5万2439人もの観衆が集まったMotoGPの日本GP。今季フル参戦し、母国に凱旋した日本人ライダーにとっては、明暗分かれる結果となった。

 日曜日のツインリンクもてぎは、冷たい雨の一日となった。ある友人のジャーナリストが「今日のもてぎは、ル・マンとシルバーストーンが合わさったようなものだ」と、なかなか巧い喩えをした。そんな中でも、5万2439人の観客は選手たちの戦いに暖かい声援を送っていた。

 だが、勝って喜ぶ者がいれば、負けて悔しがる者もいるのが勝負ごとだ。当初の思惑や願望どおりには、なかなか運んでくれない。今回の日本GPを戦った日本人選手たちにとっても、明暗がそれぞれの裡に相半ばする結果になった。

 ポールポジションからスタートしたMoto2クラスの中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)は、昨日のコラムでも紹介したとおり、ウエットコンディションでのセットアップに不安を残しながら日曜日を迎えたが、まさにその危うさが決勝結果に表れた。

 ホールショットを奪った中上は、その後もずっとトップを走行し続けた。だが、11周目の90度コーナーの進入で後ろから仕掛けてきたアレックス・マルケス(EG 0,0 Marc VDS)に前を奪われるとペースを落とし、最後は6位でゴール。

「今まではウエットでの苦手意識があった中で、今日は終盤までトップを走行できたので、良いレースをできた部分もあったけれども、もちろん6位という結果に達成感はないし、悔しい気持ちのほうがはるかに大きいです」

 一方、雨で強さを発揮していたのが、長島哲太(Terulu SAG Team)だ。土曜午後の予選では転倒を喫して存分なタイムアタックをできず、10列目29番手というほぼ最後尾に近い位置に沈んでしまった。だが、フルウェットになった午前のウォームアップ走行でも7番手タイムを記録し、雨での調子の良さをさらに印象づけた。

 決勝レースでは、1周目に17番手まで一気に順位を上げ、以後も速いペースで着々と前との距離を詰めて行った。だが、6周目の5コーナーでフロントを切れこませて転倒。

「1周目で12台を抜いて、そこからも『みんなジャマだ!!』くらいの勢いでどんどん抜いていけてたんですが、サンドロ(・コルテーゼ:Dynavolt Intact GP)を抜くときに、ちょっとだけ限界を超してしまったみたいで……」

 路面を滑走したマシンはコルテーゼを道連れにしてしまい、「サンドロには本当に申し訳ないことをしました」と、そのときの出来事を振り返る。

 レースに復帰をしたものの、マシンは転倒時の影響で、リヤサスペンションに荷重がかかるとブレーキも連動して効いてしまうような難しい状態だったが、なんとか20位のチェッカーフラッグを受けた。

「その状況でも転倒前と同様のペースで走れていたので、転倒がなければ(シングルフィニッシュを狙えていた)とも思いますが、それは言っても仕方のないことだし……」

 長島にとっては好事魔多し、を地で行く格好の日本GPになった。

 Moto3クラスでは、14番グリッドスタートの鈴木竜生(SIC58 Squadra Cose)が序盤から上位グループを走行し、トップ3フィニッシュを射程圏内に収めながら走り続けた。ラスト2周で前とタイム差が開いて表彰台が遠く離れてしまったのは、「これは仕掛けられるかな、と思ってチャンスを窺っていたんですが、雨が強くなってきて何度か転びそうになったので、ミサノ(追い上げの最中に転倒を喫した第13戦サンマリノGP)の苦い経験を思い出し、順位キープに切り替えた」からだという。

 表彰台こそ逃したものの、4位という結果は2015年のMoto3クラス参戦開始以来、自己ベストリザルトだ。だが、鈴木自身はこの結果にも「ぜんっぜん、嬉しくないですね」と顔をしかめて見せた。おそらくはこの悔しさが、今シーズンに鈴木が成長をしている証なのだろう。

 他のフル参戦勢では、鳥羽海渡(Honda Team Asia)が21位で完走。佐々木歩夢(SIC Racing Team)は24番グリッドからスタートしてポイント圏内の13番手まで順位を上げ、さらに上位を狙っていたラスト4周の90度コーナーで、前の選手が転倒。避けきれずに巻き込まれてしまう形でレースを終えた。

取材・執筆/西村章

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この記事について
シリーズ Moto2 , MotoGP , Moto3
イベント名 Motegi
サーキット ツインリンクもてぎ
ドライバー 中上 貴晶 , 鈴木 竜生 , 長島 哲太 , 佐々木 歩夢 , 鳥羽 海渡
記事タイプ 速報ニュース