〈アジアから“世界”へ〉小椋藍とIDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦:表彰台後には別の試練。小椋と上位勢の“実力差”が結果に反映

IDEMITSU Honda Team Asiaの小椋藍は、MotoGPイギリスGPを9位でフィニッシュ。連続表彰台とはならなかったが、彼は自分と上位陣との実力差を反映した結果だと率直に捉えている様子だ。

〈アジアから“世界”へ〉小椋藍とIDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦:表彰台後には別の試練。小椋と上位勢の“実力差”が結果に反映

 第12戦イギリスGPの舞台、シルバーストーンサーキットの全長は5900m。シーズン全カレンダーでも最長のコースである。また、コーナー数も18(右10、左8)と多く、全般的に起伏の少ないフラットなレイアウトだ。前戦の舞台であるレッドブルリンクが山肌の斜面に沿って設計され、全10コーナーの典型的ストップ&ゴータイプであったことと比較すると、まったく対照的なコース特性といっていいだろう。 

 小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)は、このサーキットでの戦いに際して、バイクを倒しこみながら巧みにブレーキングするMoto2クラスのトップライダーたちに技術面でどこまで肉迫できるか、ということを攻略課題に挙げていた。 

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 金曜のフリー走行1回目、40分のセッション時間を終えて小椋のポジションは25番手。トップから2.634秒という大きなタイム差で、見るからに厳しいスタートとなった。以後のセッションでは上位とのタイム差を詰め、順位も上げていったが、それでも1.4秒程度の差で、土曜午後の予選は遅いグループのQ1に組み込まれた。 

 Q1で上位タイムを記録した小椋は、速い選手たちが競うQ2に勝ち上がったものの、そこでの順位は14番手。ポールポジションまでの差は1.211秒と、いかんともしがたい開きがあり、決勝は5列目スタートとなった。 

 レースは日曜現地時間午後2時30分に開始、全18周で争われた。小椋は1周目でいくつか順位を上げたが、優勝争いをする選手たちのペースとはやはり明らかな差があった。以後の周回も、自分の前後にいるライダーたちと集団内で争いながら、最後は9位でゴールをした。 

「今回は期待できそうな感じがあまりなかったので、難しいレースになると予想していました。それでも、プラクティスや予選で明らかに自分より速かった選手たちと一緒にゴールできたので、その点ではよかったです」 

 レースを終えた小椋は、そんなふうに18周の戦いを振り返った。 

Ai Ogura, Honda Team Asia

Ai Ogura, Honda Team Asia

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

「18周の各ラップタイムもそこまで悪くなかったし、最終的なポジションという点でも、決勝レースはどのプラクティスよりも順位が良かった。けっして気持ちよく終われたわけではないですけれども、それなりにレースを締めくくることはできたと思います」 

 ラスト数周は、直前を走るジャビビエルヘ(Petronas Sprinta Racing)に肉迫し、0.035秒の僅差でゴールした。 

「1回抜いたんですよ。でも、また抜き返されちゃった。相手はビエルヘ選手だし、ヘレスの時とまったく同じ展開ですね。あのときも今回も、ずっと彼が前を走っていて、1回しか勝負を仕掛けられなくて、またやり返されているから……、そこはたしかに残念なんですけど、でもレースをしていて8位も9位も、結果としてはそんなに変わらないですからね」 

 そう言いながら、悔しさが混じるような苦笑を見せた。 

 では、これだけの僅差でゴールラインを通過したということは、もしもあと1周あればビエルヘをオーバーテイクしてさらにひとつ前の順位で終えることもできていただろうか。〈たら・れば〉にすぎない問いだが、そう訊ねてみると、小椋は少し考えるような表情になり、そしてゆっくりと口を開いた。 

「レースが19周の周回数で始まったとしても、結局は同じ終わり方だったと思います。あの18周のレースの後に『はい、じゃあ今からもう1周あげます』と言われたら、抜けた可能性はあったかもしれないけど、でも結局のところ、そこは変わらなかったと思いますね」 

 レース距離を走りきる力の差は、いずれにせよ、ゴールタイムの数字に象徴されるものであった、ということが小椋の認識なのだろう。 

Ai Ogura, Honda Team Asia

Ai Ogura, Honda Team Asia

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 では、今回のレース前に課題として挙げていた、ブレーキを使いながら旋回していく技術に関しては、決勝を終えた今、小椋はトップライダーたちの差をどのように捉えているのだろう。 

「そうですね……、実力(の差)がしっかりと結果に出ているのかな、と思います。自分もコースに慣れてきて、土曜のFP3や予算ではある程度ちゃんと走れるようになってきたけど、その段階でも1周あたり1秒くらいの差がありましたから。(技術差や走りのコツについて)多少は理解できたかもしれないんですけど、実際にやってみるとなると、そんなに簡単なことでもない。カタールのように今回も2連戦だったら、次のレースではいい感じになってくる気もしますけれども、レースは限られた時間のなかでやることですからね」 

 前回は表彰台を獲得していただけに、第12戦を前にひょっとしたら日本のファンたちは小椋に対して大きな期待を抱いていたかもしれない。自分自身では、前回の結果と今回の現実というギャップはどのように受け止めたのだろう。 

「でもまあ、このへんのポジションは慣れてますから」 

 そう言って、いなすように軽く笑って問いをあしらった。 

 次戦の舞台、モーターランドアラゴンはMoto3時代に表彰台を経験している。だが、厳しいレースを経験した場所でもある。 

「想像はつかないですよね。だから、いつもと一緒です。シルバーストーンでは出だしが遅れちゃったので、次はFP1の走り出しから順位もタイム差も、がんばらないといけないんですけど……、がんばってるんですよ。がんばってこれなんで、だから、それをどうするか、なんですよね」 

 ことばの端々からは、自分自身を俯瞰して眺めていることが窺えるだけに、それがときには奇妙な滑稽さも感じさせる。だが、それが小椋自身の持っている強みだろうし、決勝レースでは、低位からでも着実に追い上げていく持ち味として現れる。Moto3時代から顕著なこのスタイルについて、彼自身はどんなふうに捉えているのだろう。訊ねてみると、じつに小椋らしい言葉が返ってきた。 

「んー……、まあ、レースですからね。そりゃあ、がんばって走ってますよね」

 

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Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 

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