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〈アジアから“世界”へ〉小椋藍とIDEMITSU Honda Team Asiaの挑戦:小椋、初の雨経験もル・マン7位の健闘。青山監督「確実に良くなっている」

2021MotoGP第5戦フランスGPで、 IDEMITSU Honda Team Asiaの小椋藍は初のウエットコンディションを経験。決勝レースでも難しい路面コンディションへの対応を迫られた小椋だったが、7位に入賞。多くの経験を積んだレースをライダーと青山博一監督が振り返った。

Ai Ogura, Honda Team Asia

Ai Ogura, Honda Team Asia

Gold and Goose / Motorsport Images

 フランスGPは毎年、5月中旬に行われることが恒例になっている。開催地は、首都パリから南西約200kmのロワール地方にあるル・マン、ブガッティサーキットだ。 

 この季節のロワール地方は、晴から雨、雨から晴へとめまぐるしく移り変わる天候で、温度条件が10℃台前半の寒さになることも珍しくない。2021年の第5戦は、そんな当地の特徴をすべて凝縮したような週末だった。 

 IDEMITSU Honda Team AsiaからMoto2クラスに参戦する小椋藍にとって、今回のレースウィークは、中排気量クラスで初めて経験するウエットコンディションである。  

 セッションごとに、あるいはセッションのさなかも、コンディションはドライからウエット、ハーフウエットからドライへと変化してゆく。このような難しい状況の中で、小椋は土曜の予選で転倒を喫し、決勝は6列目16番グリッドからのスタートになった。日曜午前に行う20分間のウォームアップ走行は、雨が終始降りしきるフルウエットのセッションになり、26番手タイム。Moto2クラスで雨中の走行経験がほとんどない小椋にとって、このコンディションはやはり若干の危うさも感じさせた。 

 決勝レースは、ウォームアップから約3時間後の現地時間12時20分にスタートする。レース開始時刻になると、路面はある程度の湿り気を残しながらもレーシングラインはおおむね乾いている状態になっていた。ルマンの舗装は路面の乾きが非常に早く、小椋を含む全選手はスリックタイヤでグリッドについた。 

「土曜の予選では、路面は少し濡れている程度でしたが、1周で転んでしまいました。今朝のウォームアップがフルウエットで、あのときがMoto2で初めてのフルウエットだったので、決勝がウエットコンディションになったら、ポジションやタイムに関係なく、感覚を掴む練習程度のレースしかできないだろうな、と思っていました。レースの時間が近づくにつれて晴れてゆき、結局、ドライに近い形でレースをできたので、そこは自分にとってよかったのかなと思います」 

 とはいえ、やはりレース序盤は苦戦を強いられた。16番グリッドスタートの小椋は、開始直後の数周にスタート時のポジション前後で揉まれる展開になり、その間に上位グループとの差は少しずつ開いていった。この序盤の状況について、小椋は以下のように振り返る。 

「路面コンディションが確かではなく、探りながらのスタートだったので、なかなかペースに乗ることができませんでした。序盤6周くらいまで乗り切れない感じがあったので、もう2、3周でも早めに飛ばして行くことができればスピードのあるレースをできたかもしれないんですが、今回は探る時間がちょっと長くなってしまいました」  

 その後は少しずつポジションを上げ、レース中盤には6位争いの集団で戦った。ただ、優勝を争うトップグループが1分37秒台中盤から前半へタイムを上げて周回を続けていたのに対し、小椋たちの集団は、1分38秒台での走行が続き、ふたつのグループはどんどん差が開いていった。 

 「序盤に0.5秒速く走れていれば、中盤以降も0.5秒くらい速いリズムで行けたと思うんですが、最初に停滞してしまうと、その後に一気に上げて行くのが難しくて、しかも前方のライダーが転んだりもしていたので、リズムを掴みきれなかったですね」 

 結果は7位。前回のスペインGPと同じ順位だが、優勝選手とのタイム差は今回のほうが大きい。ただし、この難しいコンディションの戦いを最後まで凌ぎきったことに関しては、手応えも感じている、と小椋は話す。 

「前(の選手)もいっぱい転んでいたし、レース自体はけっしていい内容だったわけじゃないけど、このコンディションで完走できたという意味では、よかったです」 

前半5戦を終えた小椋。青山博一監督は走りをどう見ているのか? 

 チーム監督の青山博一は、第5戦の小椋について、不安定な気象と路面の週末をよく乗り切った、と話す。 

「藍は(Moto2では)ウエットで走ったことがなく、転倒者が多い難しいコンディションだったので、今週は今までのレースで最も苦戦をしたと思います。彼が苦戦したもうひとつの要因は、カタール、ポルトガル、ヘレスというここまでの4戦は、開幕前に事前テストをしている会場で、走行経験がある場所でのレースでした。一方、ルマンではテストをしていなくて、Moto2では初めて走るので、どれくらい行けるのか、どこまでパフォーマンスを発揮できるのか、というところに、監督として注目をしていました 

テストをしていない状態で、しかもコンディションがコロコロ変わっていく中で、マシンをしっかりと仕上げたわけではない状態でも結果的に7位にまとめてきたので、よくがんばったと思います」 

 開幕前に青山監督は、「序盤3戦(カタール2連戦ポルトガル)に限っては学習のつもりで挑み、ヘレス以降のレースは一戦一戦の勝負を大切に戦ってほしい」と話していた。 

「そういう観点から見ても、ヨーロッパラウンドに入ってから毎戦確実にステップアップをしており、順位だけではなく内容面で見ても、確実に良くなってきていると思います」 

 そう話し、小椋のパフォーマンスを高く評価する。 

 次戦は第6戦イタリアGP。戦いの舞台となるムジェロサーキットは、年間カレンダー全体でもハイライトのひとつだが、青山監督によれば、意外なことに小椋はこのコースを一度も走ったことがないのだという。 

「彼がレッドブルルーキーズ・カップを走っていた年は、ムジェロはカレンダーに入っていませんでした。去年は新型コロナウイルスの影響でレースがなく、その前の年もケガをしてムジェロは走ってないんですよ」 

「チャントラもムジェロはケガをして走っていなくて、そのときは名越哲平選手が代役で参戦しました。だから、今年の我々のMoto2チームは、じつはふたりともムジェロ初体験なんです」 

「一緒にMoto2クラスへステップアップしてきたトニ・アルボリーノ選手やアルベルト・アレナス選手、ラウル・フェルナンデス選手たちは、Moto3でムジェロをいっぱい走っているので、藍はきっと苦労するでしょうね。しかも、世界で指折りの難コースですから、かなり厳しいんじゃないかと思います」  

「だからこそ、初日から2日目、3日目としっかり積み上げてほしい。結果がどこにあるかはわかりませんが、今年のシーズン前半戦ではムジェロが一番苦戦することになるでしょう。それ以降のカタルニアやアッセンはMoto3でも走りこんでいるので、そのあたりに入ってくれば、成績は上がってくると思います」 

 今回のフランスGPでは、小椋のチームメイト、ソムキアット・チャントラが12番手でゴールした。11位の選手が最低重量違反で後に失格処分の裁定をくだされたため、チャントラは結果的に順位がひとつ繰り上がって11位になった。 

「チャントラは、ここ数戦は不運続きで、担当メカニックが新型コロナウイルス感染症に罹患するなど、レース以外のところで不運が多く、レースでも調子が良いときに転倒に巻き込まれて、速さは見せていたものの結果を残せていませんでした。今回のル・マンでは、初めて彼の力に見合った結果を出すことができたので、ホッとしています。現状の位置から、今後は徐々に上げて行ってほしいと思います」 

 Moto3クラスでは、アンディ・ファリド・イズディハルが15位でチェッカーフラッグを受けて1ポイントを獲得。インドネシア人選手として、Moto3世界選手権で初のチャンピオンシップポイントになった。 

「アンディはとてもセンスのあるライダーです。去年はMoto2に参戦していましたが、『Moto3のほうが合っていると思うよ』と勧めて、クラスをスイッチしてもらったのですが、今日は初めてポイントを獲得できました。今まではポイントを獲れそうで獲れないレースが続いていたのですが、毎回しっかりと積み上げてきているので、今後はさらに上位を目指して努力を続ければ、安定してポイント圏内を走ることができる選手になると思います」 

 國井勇輝は、土曜の予選で転倒して左鎖骨を骨折。日曜の決勝レースは欠場することになった。 

「今回は運悪くケガをしてしまったのが残念ですが、チームとしては彼に期待をしているので、もうちょっと健闘してほしかった、というのが正直なところです。がんばってくれていることはよくわかっているので、ケガを早く治してレースに復帰し、Moto3の先輩格として、松山君たち若手選手に対して先輩としての力強い走りを見せてほしいですね」 

 今のことばにもあるとおり、今回のフランスGPには松山拓磨がワイルドカード参戦を果たした。松山は FIM CEV Moto3ジュニア選手権に参戦中だが、世界選手権を戦うのは今回が初体験だ。 

「松山君は、CEVではいい位置を走っているのですが、若いうえに経験値も少ないので、世界選手権では今のスピードだとまだまだ足りない、ということがわかったと思います。今の自分には何が足りないのか、ということをしっかりと自覚して、CEVでさらにがんばってほしいです。第7戦のカタルニアGPで次のワイルドカード参戦を予定しているので、その機会に向けてさらにステップを踏んで努力し、経験を積み重ねてほしいと思います」 

 

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