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MotoGPコラム:長島哲太Moto2初優勝。ラスト数周、脳裏をよぎった富沢祥也の姿

MotoGPの2020年開幕戦Moto2クラスで初優勝を成し遂げた長島哲太。ラスト数周、彼の脳裏には、親友であり目標でもあった亡き富沢祥也の姿がよぎっていたという。

Race winner Tetsuta Nagashima, Red Bull KTM Ajo

写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 レースに勝つときというのは、意外なくらいすべてが狙いどおりに進み、面白いくらいに何もかもうまくコントロールして勝ってしまうものだ。

 カタールGPのMoto2クラス決勝レースで世界選手権初優勝を達成した長島哲太(Red Bull KTM Ajo)のレース運びが、まさにそんな展開だった。

 5列目14番グリッドからスタートした長島は、序盤から上位グループの後方につけ、ファステストラップを刻みながら、ひとつ、またひとつと周回ごとにじわじわ順位を上げていった。

 予選順位は低くても決勝でうまく帳尻を合わせて順位を上げていく走りは、以前から長島が得意としていたレースパターンだ。しかし、その走りは実際のところ、セットアップの積み上げやシミュレーションの成果というよりも、むしろ気合いでくらいついていく傾向が強かったため、懸命な追い上げの最中に集中力が切れたり無理をしすぎてマシンやタイヤの限界を超えてしまったり、ということから転倒に終わってしまうことも多かった。

 しかし、今回は金曜の走り出しからしっかりとレースペースを見極め、誰よりも高い水準で走れることを確認しながら着実にセッションを積み上げていった。決勝では多くの選手がフロントタイヤの摩耗と格闘を強いられたが、長島の場合はまんべんなく上手に使えている手応えをすでに掴んでいたため、レースでは自信を持って攻めの走りを維持することができた。

 14番手というスタート位置から周回ごとにひとりずつ確実にオーバーテイクして順位を上げ、終盤にトップに立ったあともレース序盤と同様のタイムで後続を一気に引き離せたことには、それ相応の理由があった、というわけだ。

「レース後半に4番手か5番手くらいに上がった時、一度1コーナーではらんでインを刺されてしまい6番手あたりまで下げたんですが、そのときも、『どけよみんな!』くらいの気持ちで走っていました」

 と長島は笑いながら振り返り、その後のレース展開についてもこんなふうに述べた。

「ペースがすごく安定していて、オレのほうが速い、という自信がありました。だからとにかく前に行きたくてしようがなくて、その後も10コーナーでフロントが切れて転びそうになり、ちょっと一瞬、焦りもしましたけど、でもまたすぐにポンと4番手に上がったときに、『あ、これは行けるな』と思いました」

 10年前の富沢祥也がそうだった。中排気量クラスのマシン規定が2ストローク250ccから4ストローク600ccのMoto2へと切り替わった最初のレースで、それまで表彰台を一度も獲得したことのなかった富沢は、中盤以降後続選手をあっさりと引き離して独走優勝を飾った。

「最後の2周はすごく長かった。優勝した実感はまだ全然なくて『あれ、終わっちゃった?』という感じ。すっごく緊張したけど、このプレッシャーがプラスになれば、これからもっと速く走れると思います」

 上気した表情で、当時19歳だった富沢は一気にそう話した。幼い頃からともに切磋琢磨しながら、ふたつ年上の富沢を目標ともしていた長島は当時17歳の高校生で、このレースをテレビで観戦していた。

 それから10年が経ち、優勝のチェッカーフラッグに向けて最終ラップを走行する長島の脳裏をよぎったのは、富沢祥也の姿だった。

「最後に右が三つ続く12〜14コーナーを走っているときに『祥也が勝ったときもこんなフィーリングで走っていたのかな……。ラストラップはどんな気持ちだったんだろう』と思いながら走っていたんですけど、初優勝にしては意外と最後まで落ち着いていましたね」

 快活な笑顔でそう振り返った。

 表彰式を終えた長島は、ピットビルディング一階にある富沢祥也のモニュメント前で記念撮影をした。表彰台上でトロフィーを頭上に掲げるパネルの中の富沢の姿と同じポーズを決めた長島は、撮影を終えるとモニュメントのプラークにそっと右手を添え、数瞬ほど頭を垂れたまま黙って立っていた。プラークには、”Shoya Tomizawa 1st ever Moto2 Winner Qatar, April-11-2010(富沢祥也 Moto2史上最初の優勝者 カタール 2010年4月11日)"と文字が刻まれている。長島のうつむき加減の顔は、少しゆがんでいるようにも見えた。そのとき何が彼の胸中に去来していたのかは、あえて訊ねずにおいた。

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Shoya Tomizawa
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