2004年日本GPの玉田誠を思い起こさせる……中上貴晶の劇的逆転PP
中上貴晶が、日本GPのMoto2クラス予選でポールポジションを獲得した。2004年玉田誠を思い起こさせるような劇的なアタックだった。

今日の話題は、やはり中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)の劇的なポールポジション獲得に尽きるだろう。
午後3時05分から始まったMoto2クラスの予選は、路面が少しずつ乾いていく微妙なコンディションで推移していった。セッションの経過につれ、レーシングラインは少しずつドライへ変化していったが、そのライン以外はまだかなり濡れた状態で、ドライのラインもコーナーによってはまだウェットパッチが残るトリッキーな状況だった。
ラスト10分でスリックタイヤに履き替えた中上は、予選最終盤に区間ベストを連発して最速タイムを記録。タイムシートの最上位につけた。そのタイムをアレックス・マルケス(EG0,0 Marc VDS)が更新し、トップを奪った。すでにゴールラインではチェッカーフラッグが振られていたが、コース上でタイムアタックを続けていた中上は、マルケスのタイムをさらに上回って再度ポールポジションの坐を奪い返した。
「ああいう路面状態だったので、完全なドライのコーナーもあったし、場所によってはリスクを負って走らないといけないところや、抑えなければいけないところもあって、自分としては完璧なラップではなかったです。いくつか細かなミスもあったし、4コーナーではスピニングが激しすぎてリヤが暴れるので、アクセルを戻さなければならなかった。それでも0.1秒以上の差を開いてポールポジションを獲得できたので、ミスがなければ0.4〜0.5秒くらいの差を開くことができたかもしれません」
予選を終えた中上は、満足そうな表情でそう一気に話した。ただ、明日のMoto2クラス決勝時刻の気象条件は、雨とも曇天とも予想をつけにくい微妙な状況だ。ウエットコンディションでは、中上は昨日の金曜からやや苦戦傾向で、特に旋回動作の中盤から後半にさしかかるあたりで「フロントが軽くなってインフォメーションが十分ではなく、ステアリングが切れ込む傾向がある」と話していたが、今日午前のFP3でもその状態から転倒を喫する場面があった。
「ドライなら優勝できると思います。それだけの速さもあるし、絶対の自信がある。ただウエットに関しては、そこまでの自信はまだないです。ドライほど仕上がりきっていないし、もうちょっと時間が欲しいというのが正直なところです」
その意味では、明日が雨になるのならば、午前中に20分間行われるウォームアップが非常に重要なセッションになるだろう。ここでウエットへの自信を深めることができれば、決勝レースの死角を大きく潰しこむことができる。
「ポールポジションからのスタートなので、どんなコンディションでもしっかりと準備を進めて対応し、明日は絶対に良いレースにしたいです」
そう中上は締めくくった。
ちなみに、日本GPで日本人ライダーが優勝を飾ったのは今から11年前。2006年の250ccクラス・青山博一が最後だ。青山は2005年にも優勝している。ポールポジションからスタートした青山は、優勝後に感極まり、表彰台の頂点で泣き崩れた。さらにそのひとつ前の日本人選手優勝は、2004年のMotoGPクラス・玉田誠。この時の玉田は、土曜の予選で今回の中上貴晶と同様の流れになり、チェッカー時にコース上で継続していた最後のタイムアタックで全区間タイムを更新し、会心の逆転ポールポジションを獲得している。
取材・執筆/西村章
【関連ニュース】
- Moto2もてぎ予選:中上貴晶が壮絶なアタック合戦制し母国ポール獲得!
- ヤマハの3ライダーが野左根に高評価。ロッシ「良いライダーになる」
- ミラーの代役青山博一「目標は”ひと桁”」。野左根も急遽参戦決定
- FP4で転倒したロッシ「足の怪我が悪化することなく、幸運だった」
- マルケス、ギャンブル失敗でポール逃すも「”たくさんのこと”がわかった」

前の記事
中上貴晶「ファンの応援が、集中力を発揮する力になった」:IDEMITSU Honda Team Asia Press Release
次の記事
Moto2もてぎ決勝:中上、終盤失速し6位。マルケス優勝。榎戸も入賞
