突然舞い込んだ世界への切符。成長続ける真崎一輝、初めて尽くしの挑戦

突如Moto3クラスへの参戦が決まった真崎一輝(RBA BOE Skull Rider)。世界の舞台で、彼は様々なことを吸収している。

 2018年シーズンからMoto3クラスにフル参戦を開始した真崎一輝(RBA BOE Skull Rider)が、世界の舞台で新鮮な経験を重ね、今後の成長を目指して学習を続けている。

 2001年8月生まれの真崎は現在16歳。アジアタレントカップを経て、MotoGPルーキーズカップに参戦し、2017年の年間総合優勝を達成した。同じようなルートを経て世界の場へ到達した鳥羽海渡(Honda Team Asia)や佐々木歩夢(Petronas Sprinta Racing)とは、いわば同期の関係で、特に同じ九州出身の鳥羽とは子供時代から切磋琢磨し合ってきた間柄だ。

 ルーキーズカップのチャンピオン獲得後は2018年のMoto3参戦を希望していたが、希望していたホンダ系のチームはすべて選手が決定していたため、FIM CEV レプソル選手権で一年間戦った後に2019年に再び世界で戦えるシートを探すつもりでいた。2017年最終戦バレンシアGPのMoto3にアジアタレントチームからワイルドカード参戦を果たした際には、グランプリ初挑戦ながら日本人選手最高位の10位でゴールして、ポテンシャルの高さを世界にアピールした。

 その後、事情が急激に展開した。現チームで2018年に参戦予定だった選手が引退を表明し、その空いたシートに真崎が座ることになった。マシンはKTM。ルーキーズカップ時代に乗ったバイクもKTMだったが、グランプリマシンのパワーとはレベルが違う。プレシーズンテストでそのマシン特性やチームへの順応を続け、開幕戦のカタールGPを迎えた。結果は13位、とまずまずのリザルトになった。

 第2戦の舞台は、南米アルゼンチンの首都ブエノスアイレスから北東へ1000キロの場所にあるアウトドローモ・テルマノス・デ・リオ・オンド。日本からは文字どおり地球の反対側にあるサーキットで、16年間の人生では最大の移動距離だ。

 このサーキットは使用頻度が多くないこともあり、特に初日の走行は路面に埃などの汚れが堆積している。そのために、なかなかタイムが伸びない。また、真崎にとっては、アジアタレントカップ時代に走行経験があった前回のカタールGPとは違い、初体験のコースだ。何もかもが初めて尽くしの状態だったが、初日の総合順位は11番手、と良好な走り出しになった。

「コース図の見た目では難しそうだったけど、実際に走ってみるとそこまででもありませんでした。バンク角の付いているコースは好きなので、あまり難しいとは思わないし、自分に合っていると思います」と、愉しく走れている手応えを笑顔で述べた。

 2日目は予選終盤にタイムアタックを行うタイミングで雨が降りはじめ、全選手がラップタイム更新をし損なうという、難しいコンディションのセッションになった。

「もっと早めにアタックをしておけば、順位はもっと上だったかもしれないので、序盤にタイムを出せなかったのは自分のミスです。始まる前に天気予報を見て、もうちょっと持ってくれるかなあと思っていました。天気は思いどおりにいかないです、こればっかりは……」

Kaito Toba, Idemitsu Honda Team Asia, Kazuki Masaki, RBA Racing Team,  Moto3 race
鳥羽とバトルをする真崎

Photo by: Gold and Goose / LAT Images

 日曜の決勝レースに向けた抱負は、前戦カタールの反省を活かし、できるかぎり上位集団についていきたい、と話した。

「雨でも晴れでも、しっかりと前について行きたいです。カタールの反省だったラスト3ラップで離されることのないようにして、目指すは表彰台なんですけど、そう簡単にいくわけがないだろうから、できるかぎり前についていきたいなと思います」

 結果は20位。日曜の決勝は、前夜の雨の影響でウェット状態だった路面が周回を重ねるにつれて少しずつ乾いていくトリッキーなコンディション。真崎を含む大半の選手がウエットタイヤでグリッドについた。だが、スリックタイヤでギャンブルに出た数名がレース終盤に猛烈な追い上げを開始し、真崎もその勢いに呑まれてしまった格好だ。

「もうちょっと行けたような気もするんですけど、このコンディションをMoto3で走るのは初めてだったので、スリックで行けそうな可能性もあったけど、周りも皆レインだったので、チームと相談してレインタイヤを選択しました。自分のライディングスタイルもあるけど、タイヤの消耗が速かったので、最後は攻められなくて下がる一方でした」

 反省を述べる弁も謙虚で素直だ。

「今年はこれから知らないコースもたくさん走るし、こういうコンディションも今回だけじゃないと思うので、この経験を次に活かせるようにちゃんと勉強してつなげていきたいと思います」

 はい、しっかりがんばります、と述べる言葉が手垢のついた常套句ではなくむしろ新鮮に響くのは、今の真崎が見聞きし経験するすべてのことを次々と貪欲に吸収しているからなのだろう。

取材・執筆/西村章

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この記事について
シリーズ Moto3 , MotoGP
イベント名 テルマノス・デ・リオ・オンド
サーキット Autodromo Termas de Rio Hondo
記事タイプ 速報ニュース