MotoGPコラム:日本人ライダーの軽量級”黄金”時代は再来するのか?

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MotoGPコラム:日本人ライダーの軽量級”黄金”時代は再来するのか?
2018/06/18 10:43

現在、Moto3クラスには日本人ライダーが4人参戦している。かつて日本人が軽量級クラスを席捲していた黄金時代は再び訪れるのだろうか。

Kazuki Masaki, RBA Racing Team
Kazuki Masaki, RBA Racing Team
Kaito Toba, Idemitsu Honda Team Asia
Ayumu Sasaki, Petronas Sprinta Racing
Kaito Toba, Idemitsu Honda Team Asia
Ayumu Sasaki, Petronas Sprinta Racing
Ayumu Sasaki, Petronas Sprinta Racing
Tatsuki Suzuki, SIC58 Squadra Corse
Tatsuki Suzuki, SIC58 Squadra Corse
Tatsuki Suzuki, SIC58 Squadra Corse
Kaito Toba, Idemitsu Honda Team Asia
Kaito Toba, Idemitsu Honda Team Asia
Ayumu Sasaki, Petronas Sprinta Racing
Kaito Toba, Idemitsu Honda Team Asia
Ayumu Sasaki, Petronas Sprinta Racing

 1990年代の軽量級クラスは、日本人選手が上位を席捲した時代だった。1991年の開幕戦日本GPでは、ワイルドカード参戦の上田昇がポールトゥフィニッシュを達成し、続くオーストラリアGPとスペインGPもワイルドカードながら連続表彰台を獲得したことでフル参戦のシートを手にした。

 94年と98年には坂田和人がチャンピオンを獲得し、95年と96年は青木治親が連覇。彼ら以外にも、何人もの日本人が入れ替わり立ち替わりトップ争いを繰り広げ、日本人の表彰台独占もけっして珍しい風景ではなかった。

 2000年代初期に宇井陽一や東雅雄がチャンピオンを争った頃までこの勢いは続いたが、それ以降は大きく様相が変化した。日本人の優勝は2007年のカタルーニャGP、表彰台登壇は2010年のドイツGP(ともに小山知良)を最後に、現在に至るまで誰ひとりとしてトップスリーに名前を記していない。

 そんな記録が少し話題になったのは、前戦イタリアGPのMoto3クラスで鈴木竜生(SIC58 Squadra Corse)と佐々木歩夢(Petronas Sprinta Racing)がフロントロウに並んだからだ。ちなみに日本人ふたりがフロントロウについたのは、2001年パシフィックGP(ツインリンクもてぎ)以来だ。

 そして、今回の第7戦カタルーニャGPでは、鈴木が2戦連続のフロントロウを獲得。佐々木は2列目4番グリッド、鳥羽海渡(Honda Team Asia)が同じく2列目6番グリッドで、ルーキーの真崎一輝(RBA BOE Skull Rider)も11番手スタートと、日本人選手全員が予選上位につけた。

 決勝レースは、鈴木がスタート直後から抜け出して先頭争いを繰り広げ、最後までトップ集団で争ったものの5位フィニッシュ。鳥羽は序盤に15番手前後まで大きく順位を落としたが、そこから落ち着いて位置を上げてゆき、6位でレースを終えた。

 初日に転倒を喫してしまったために充分に走り込めず、ロングランを確認できなかったと話す鈴木は、「最初からしっかりとアグレッシブに攻めて行けたのは良かったんですが、レースのペースがあまり良くなかったので、一発タイムは出せてもそこが今週の課題でした。序盤にタイヤを使い過ぎちゃったことも(表彰台を逃した)一因ですね」と、手応えと悔しさが相半ばするレースを振り返った。

 6位の鳥羽は「序盤の速さがまだ足りていないので、そこを改善しなければいけないし、次のアッセンでは金曜のFP1からしっかりと組み立てて決勝レースにつなげるようにしたいです。今日のレースはいい手応えもありましたが、もっと上に行かなきゃいけない……まだまだだと思います」と、貪欲な姿勢を見せた。

 一方、転倒で終えた真崎は、前戦イタリアGPでも今回と同様の11番グリッドスタートだった。

 その際には「歩夢や竜生さんたちがフロントロウだったので悔しいんですが、歩夢たちが行けるということは自分も行ける可能性があるということだと思います。歩夢たちが2年目で自分は1年目だからといっても負けたくはないので、1年の差をしっかり詰めて戦えるようにしてきたいです」と述べた。

 同様に今回の決勝で転倒リタイアとなった佐々木は、4番グリッドを獲得した直後に「タツキが少し前のグリッドで、どれだけのペースを持っているかわからないけど、海渡も一輝も速さを見せていて、日本人同士でバトルしながらトップ争いをできればいいし、引き離せそうなら集中して自分の思い通りに走れるように戦って行くつもりです」と話していた。

 彼らの言葉からは、お互いの存在が闘争心を高める良い刺激になっていることと、上位を目指すためにけっして現状に満足をしないという向上心が見て取れる。

 だが、現状では、彼ら日本人選手たちと表彰台争いの常連選手の間には、レース内容や結果の面でまだ多少の差があるのも事実だ。

 Moto3クラスのトップライダーたち、たとえば、思いきりの良い速さに定評のあるホルヘ・マルティン(Del Concagresini Moto3)や、落ち着いた物腰で冷静な戦略が持ち味のディッジャことファビオ・ディ・ジャンアントニオ(同)、また今回優勝を達成したレース運びさながらに、普段はおっとりした性格だがバトルでは剛胆な戦いぶりを発揮するエネア・バスティアニーニ(Leopard Racing)といった上位陣の選手たちと話をしていていつも感心するのは、彼らは20歳前後の若さにもかかわらず、世界選手権のトップライダーとして自分自身に充分な自信を持っている、という強靱な姿勢だ。

 日本人4選手は、気持ちの強さの面では彼らに着実に迫りつつある。今後、お互いの存在が刺激になって切磋琢磨を続けていけば、トップライダーの一角を占める日も遠くないかもしれない。だが、彼らと優勝争い常連選手の間には、まだ微妙な開きがある。その距離を埋めて自分自身が上位陣に食い込んでいくためには、気持ちの強さに加え、さらに貪欲な向上心と謙虚な努力が必要であることもまた、いうまでもないだろう。

取材・執筆/西村章

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この記事について

シリーズ Moto3
ドライバー 鈴木 竜生 , 佐々木 歩夢 , 鳥羽 海渡 , 真崎 一輝
記事タイプ 速報ニュース