MotoGPコラム:豪州で見えた、日本人ライダー最軽量クラス優勝の兆し

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MotoGPコラム:豪州で見えた、日本人ライダー最軽量クラス優勝の兆し
執筆: 西村 章
2018/10/29 9:43

オーストラリアGPのMoto3クラス決勝は、日本人ライダーが苦しんでいる最軽量クラスでの低迷状況から、脱却できそうな兆しが見えるレースとなった。

 かつて日本人選手が最軽量クラスで最強を誇った時代があった……とはいっても、すでに20年ほど以前のことだ。いつまでもその時代のことを得々と話し続けるのは現代のロードレースファンにとって、おじさんの説教や老人の繰り言にも類した話に聞こえるのではないだろうか。

 日本人選手が最軽量クラスで最後に優勝を飾ったのは、Moto3の前身である125ccクラス時代、2007年カタルーニャGPでの小山知良だから、もはや11年前の出来事である。日本人の表彰台登壇も、同じく小山が2010年のドイツGPで獲得した2位を最後に途絶えている。

 近年のMoto3クラスはスペインやイタリア等から若い才能が続々と登場し、大集団の激しいバトルがますます人気を集めているが、日本人視点で見る限りでは、この10年ほどはまるでローマ帝国衰亡史のような状態が続いていた。だが、ここにきてようやく、その低迷状態から脱却できそうな光明が兆しつつある。

 第17戦オーストラリアGPの決勝レースで、佐々木歩夢(Petronas Sprinta Racing)が今季2回目のフロントロウを獲得。決勝レースでも積極的な攻めで、大集団の攻防に気圧されることなくトップグループを構成した。前々回のタイGPでも、佐々木は上位集団を走行してトップにも立ったが、その直後に不運なレーシングインシデントで転倒を喫している。

 今回のレースウィークもセッションごとに着々と積み上げ、決勝レースでその成果を発揮したが、12台がひとかたまりになって1コーナーへ突っ込んでいくような激しいバトルの結果、最後は10位でゴール。とはいえ、優勝選手からは0.406秒差の僅差だった。

 レースを終えた佐々木の表情には明らかに落胆していることが見て取れる、寂しそうな薄い笑顔が泛かんでいた。

「今回は表彰台と優勝しか見ていなかったので、トップ集団で戦えた充実感よりも悔しさのほうがはるかに大きいです」

 そして、気を取り直したかのようにやや張りを戻した声で続けた。

「悔しいけどペースはあったし、トップ集団の中ではブレーキも強かった。思っていたような順位で終われなかったのは残念だけど、次のマレーシアも好きなコースなので、気持ちを切り替えてがんばっていきたいです」

 一方、鈴木竜生(SIC58 Squadra Corse)は、土曜の予選序盤で転倒してしまったためにグリッドポジションが8列目23番手、とかなりの低位置からのスタートを強いられた。しかし、決勝レースでは序盤から果敢に攻め続けてトップグループの大集団後方に追いつき、後半で一気に上位へ食い込んでいった。ラスト4周ではグループ前方の2番手や4番手で表彰台圏内を争った。

「最終コーナーふたつ手前の、ヘアピンがあるじゃないですか。あそこで(ホルヘ・)マルティンとスカイチームの代役参戦選手が接触して戻ってきたところに僕がいて、アクセルを戻さなければならなかったんですよ。その影響で、(優勝した)アレナスと(2位の)ディッジャ(ファビオ・ディ・ジャンアントニオ)から離れてしまいました」

 最終コーナー立ち上がりからゴールラインまではスリップストリームを使いあう攻防になったが、上記で本人が説明した影響もあり、0.022秒差で表彰台を逃して4位のチェッカーフラッグを受けた。

「最後の最後は『……』ってかんじでしたけど」と苦笑しながら、「でもまあ23番手から4位だったし、内容としてはすべてを出し切ったレースでした。もてぎとフィリップアイランドでは予選がいまひとつだったので、来週のマレーシアではその部分を改善して、今回のようにいいレースをしたいです」

 日本人選手の最軽量クラス無勝記録に終止符が打たれる日は、おそらく、そう遠くはない。そう思わせるに足るオーストラリアGPの週末だった。

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シリーズ MotoGP , Moto3
イベント Phillip Island
執筆者 西村 章
記事タイプ 速報ニュース