中上貴晶の重要な1年が開幕。MotoGPバレンシアテスト『観察記』

2017年シーズン終了後のバレンシアで行われたテストで、MotoGPデビュー走行を果たした中上貴晶。彼の2日間を追った。

 第18戦バレンシアGP終了後の1114日と15日に行われた事後テストで、中上貴晶がMotoGPのデビュー走行を果たした。

 日曜のレースではIDEMITSU Honda Team AsiaのライダーとしてMoto2クラスのレースを戦ったが、翌々日の火曜日からはLCR Honda IDEMITSUMotoGPライダーとしてHonda RC213Vに跨がり、世界最高峰クラスのモンスターマシンでテスト走行を行った。

「バイクもタイヤも電子制御も、何もかも未知のことばかりなので、まずはそれを理解することが最初の課題です」

 走行前には高まる期待に笑顔を見せながら、中上はそうテストの抱負を語った。

「今回のバレンシアテストで初めてチームに合流するので、まずは皆とできるだけたくさんコミュニケーションを取ろうと思います。そして、タイムや順位は気にせず、できるだけ多くのことを試しながら、バイクを理解すること。まずはそれに集中したいと思います」

 テストは両日とも快晴に恵まれ、初日は76周を走行した。2日目は62周を走り込み、この2日間のベストタイムは131867。トップから1.834秒差でテストを締めくくった。2日目の終盤には、来季からチームメイトになるカル・クラッチローが中上を牽引して走り、その後に今度は中上を自分の前に出して走りを観察する、というひと幕もあった。

「コーナー立ち上がりでは、もう少し早めにバイクを引き起こすようにした方がいいだろう。でも、それ以外はなかなかうまく乗っている」と、クラッチローは中上の走りを評価した。

 経験豊富な先輩ライダーからMotoGPルーキーへに送るアドバイスは「オレをずっと尊敬することだね(笑)。そうすれば、彼はきっと速くなる」と、いかにもクラッチローらしいジョークで答えた。

 この2日間のテスト内容には、チーム監督のルーチョ・チェッキネロも満足げな笑顔を見せた。

「いいパフォーマンスを見せています。落ち着いて走り込みに集中し、チーフメカニックのラモン・オーリンとも、しっかりとコミュニケーションをとれています。タカはプレッシャーを感じている様子もなく、チームとバイクに慣れる作業に集中していました」

 チェッキネロ監督は、ポイント圏内のフィニッシュがデビューイヤーの目標、とも述べた。

「トップ5に入ったかと思うとあっという間に20位に低迷してしまうのが、MotoGPの世界です。ホンダ、ヤマハ、ドゥカティ、スズキ、アプリリア、KTMがファクトリーチームにそれぞれ2名の選手を擁していることを考えると、インディペンデントチームのルーキーライダーがもし14位に入賞できれば、それは優勝も同然といっていいと思います」

 このあと彼らはヘレスサーキットへ移動してもう一度テストを行い、その後は来年1月のセパンテストまで約2カ月の冬休みとなる。その期間は日本で過ごすことになるが、中上は来るべきシーズンに向けて休むことなく、むしろ今まで以上に密度の濃いトレーニングを継続する予定だという。

「来年は、自分の人生にとって非常に大きな一年になると思います。だから、この冬の期間はとにかく自分を追い込んでトレーニングを続けます。それが必ず今後に生きてくるはずです。フィジカル面でもしっかり準備を整えて、来年のセパンテストに備えます」

 2018年のプレシーズンテストは、マレーシアのセパンサーキットで128日から三日間にわたって行われる。そしてそこから、中上貴晶は本格的にMotoGPライダーとしてのキャリアをスタートさせる。

取材・執筆/西村章

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この記事について
シリーズ MotoGP
イベント名 Valencia November testing
サーキット バレンシア・サーキット-リカルド・トレモ
記事タイプ 速報ニュース