浮き彫りになった課題と見えた成長、日本人ライダーそれぞれの最終戦

2017年のMotoGPもバレンシアGPで幕。Moto2及びMoto3クラスに計6人の日本人ライダーが参戦し、それぞれの最終戦を戦った。

 2017年シーズンのMoto2クラスとMoto3クラスには、5名の日本人選手たちがシーズン全18戦を戦った。クラストップのずば抜けた成績を残すことはできなかったが、それぞれ、来シーズンに向けて成長や課題が浮き彫りになった1年間だった。

 Moto3最終戦のバレンシアGP決勝レースに自己ベストの2列目4番グリッドから挑んだ鈴木竜生(SIC58 Squadra Corse)は、12位でレースを終えた。初日の金曜は新しいセットアップを試して、今季抱えていた課題の解決を狙ったが、レースウィークの慌ただしい中で冒険はできず、実績のあるセットアップに戻して、土曜の予選と日曜の決勝に臨んだ。

「課題のひとつだった予選の一発タイムを出すことはできたけど、そのチャンスをレースに活かせなかったのは少し微妙だな……という感じですね」

 と、シーズン最後の戦いを振り返った。

「過去2年ではぼんやりとしか見えなかったものが、課題としてしっかり浮き彫りになったシーズンでした」

 レースを重ねていくにつれ、少しずつだが着実に存在感を発揮できるようになってきた。来年の課題は、表彰台争いの常連へと成長することだ。

 世界選手権ルーキーの17歳、鳥羽海渡(Honda Team Asia)は、厳しい戦いが続く1年になった。思いどおりの走りをできず、苦しいリザルトが続いて世界の洗礼を受ける中で、強い気持ちと高いモチベーションを維持し続けるのはけっして容易なことではない。だが、壁を乗り越えるためには、まずその壁の高さを理解することが必要だ。来シーズンは、アジアタレントカップ時代から薫陶を受けてきた青山博一がチームマネージャーに就任する。鳥羽の能力と持ち味を発揮させるためには、頼りがいのある存在になるだろう。

 佐々木歩夢(SIC Racing Team)は、最終戦の各セッションを良好な手応えで進めてきたが、決勝は13位。開幕前に想像していたよりも現実は厳しかったが、着実に前進を続けて、シーズン終盤3戦では毎戦しっかりとポイントを獲得した。

「自分としては情けない1年だったと思いますが、ここ3戦は連続してポイントを獲れたので少しずつでも前進はできていると思います。今年は、フリープラクティスが速くても予選がダメだったり、予選が良くても決勝がダメだったりと、難しいことも多かったのですが、そこから学ぶこともたくさんあったし、来年は学んできたことをしっかりと発揮できるようになって戻ってきたいです」

 なお佐々木は、今シーズンのMoto3クラス、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。

 また、今回の第18戦では、2017年MotoGPルーキーズカップのチャンピオンを獲得した真崎一輝がワイルドカードでMoto3クラスに参戦し、世界選手権初挑戦ながら日本人選手最高の10位でレースを終えた。来年のMoto3クラスのシートはすでに埋まっているが、今回の高いポテンシャル発揮は、真崎の2019年に向けて大きなアピールになることは間違いないだろう。

 Moto2クラスでは、長島哲太(SAG Racing Team)が、レース序盤にうまくポジションを上げていった。ポイント圏内からトップ10も目指せそうな様子だったが、5周目の1コーナーでギヤ抜けが発生して転倒。再スタートして完走したものの、最後尾でレースを終えた。

「今のチームに入ったときは不安要素がいっぱいだったけど、メカニックが良い人たちばかりで、彼らのおかげで成長できました。このまま全力で走り続けて、上位を目指して来年も頑張ります」

 来シーズンの長島は、青山博一が率いるIDEMITSU Honda Team Asiaへ移籍する。

 そのIDEMITSU Honda Team Asiaで4シーズンを戦い、その前に所属していたチームと合計すると計6年間をMoto2で過ごした中上貴晶は、来年から最高峰のMotoGPクラスへステップアップする。Moto2クラス最後のレースは7位で終えた。

「最後のMoto2なので、もっと良い結果で締めくくりたかったというのが正直な気持ちですが、諦めずに最後まで全力で走りきったので、悔いはありません。自分はまだまだ未熟だと思いますが、2012年の初年度から比べるといろんな面で技術を向上できたし、この経験は必ず来年からのMotoGPに活きてくると思います。MotoGPは何もかも分からないことだらけなので、片っ端からすべて吸収して勉強したいと思います」

 11月14日(火)のバレンシアサーキット事後テストから、中上はLCR Honda IDEMITSUのライダーとしてMotoGPの走行を開始する。

取材・執筆/西村章

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この記事について
シリーズ MotoGP , Moto2 , Moto3
イベント名 バレンシアGP
サーキット バレンシア・サーキット-リカルド・トレモ
記事タイプ 速報ニュース