今のMotoGPでは、ファクトリーチームとサテライトチームの違いは大きくない? 古株ドヴィツィオーゾ「昔とは変わってきた」
MotoGPには現在6つのファクトリーチームが参戦しているが、アンドレア・ドヴィツィオーゾは、特に近年はファクトリーチームとサテライトチームの差は非常に小さくなっていると考えている。
MotoGPクラスには現在ホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ、KTM、アプリリアの6メーカーが参戦している。グリッドには彼らが直接率いるファクトリーチームと、メーカーからマシンの供給を受けて参戦するサテライトチームがいるが、アンドレア・ドヴィツィオーゾは特に近年、両者の差が非常に小さくなってきていると感じていると言う。
ファクトリーチームといえば、チャンピオンを目指すライダーにとってはまず最初に目指すポジションとされてきた。サテライトチームへ供給されるバイクの大半は旧式であり、上位を争うのは基本的には難しかったからだ。
しかし2022年シーズンは、ドゥカティのサテライトチームであるグレシーニのエネア・バスティアニーニが3勝を挙げているように、サテライトチームであっても十分な戦闘力を発揮している。
数年前からMotoGPでは、サテライトチームにも最新型のマシンが供給されることが多くなり始め、さらにメーカーからのサポートもファクトリー同様に提供されるなど、競争環境が大きく変化してきた。
メーカーとしては、最新型のマシンをファクトリーチーム以外で走らせることによって、さまざまなセッティングやパーツを試し、データを収集することができる。つまり、貴重なフィードバックを得る機会となっているわけだ。こうした施策はドゥカティから他チームに広がっていった。
サテライトチームの環境が充実するにつれて、実績のあるライダーがサテライトチームでキャリアを継続させることも増えてきた。今年はアンドレア・ドヴィツィオーゾが、RNFヤマハで最新型のYZR-M1を使用して参戦している。
彼は現在のグリッド上でも特に長いキャリアを持つライダーだが、以前と比較してファクトリーとサテライトの区切りがそれほど重要ではなくなっていると考えているようだ。
「ファクトリーチームから始めるチャンスがあるなら、それは当然より良いことだろうし、トップライダーのひとりだと認められることになるだろうと思う。でも今はサテライトチームであっても、ファクトリー契約とファクトリーサポートを得てスタートすることができれば、何も変わらないんだ」
「私見ではMotoGPは大きく変わってきたと思うし、もうそれほど(ファクトリーかどうかは)重要じゃなくなっている」
「良いチームで適切なエンジニアを得られていれば、問題にはならないんだ。ファクトリー契約でサポートを得ていればね。彼らがライダーのことを信じれば、全く同じモノを与えることができるんだ」
ファクトリー契約とサポート、こうした物を重視する考え方は既に当然のモノになっている。
スズキのMotoGP撤退に伴うシート探しに奔走しているアレックス・リンスは、グレシーニとLCRホンダとの契約を考える上で、ファクトリー契約が保証されているかどうかが、影響を与えたことを認めている。そして彼は、2023年にファクトリー契約でLCR入りすることが確実視されている。
ドゥカティはさらにファクトリー契約の重要さが分かりやすく現れている。ホルヘ・マルティンとバスティアニーニのふたりは、2023年のファクトリーチームのシートを争っているが、彼らは既にドゥカティとのファクトリー契約を更新しており、最新マシンを使うことが保証されている。つまり、最終的な所属チームが決まっていないだけなのだ。
ドヴィツィオーゾはファクトリーチームとサテライトチームの違いについて「報酬だけが、本当の意味での違いになる」と語っている。
「ファクトリーチームとの違いは、移動、ホスピタリティなど……自分の望んだことをするための資金など、そういうことなんだ」
「バイクが同じでファクトリーサポートがあるなら、エンジニアも同じで同じミーティングができる。彼らは何でも一緒にやるし、同じなんだ。だからファクトリーチームであろうとなかろうと、変わらないんだ」
「違いは自分のエンジニアとの関係や、そのエンジニアがそこのバイクの扱い方を知っているかどうかだ。ファクトリーチームに所属してより手厚いサポートを受けられるとか、装備が良いとかじゃない。みんなオフィシャルライダーが勝てば嬉しいし、前進したいと思っている。今はそう変化しているんだ」
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