王座陥落・”60点”のシーズンを経てスズキは今……プロジェクトリーダー語る
MotoGPに参戦するスズキは、2021年シーズンにジョアン・ミルと共に王座を防衛することに失敗。ヤマハとドゥカティの後塵を拝する結果となったが、チームを率いる上層部は苦しいレースも見られた2021年シーズンをどう見ているのだろうか?
Shinichi Sahara, Team Suzuki MotoGP
Gold and Goose / Motorsport Images
2020年にMotoGPクラス参戦2年目ながらチャンピオンに輝いたスズキのジョアン・ミル。2021年は王座を防衛すべく挑んだものの、ヤマハのファビオ・クアルタラロにその座を明け渡すことになった。表彰台こそ獲得できたが、優勝はナシ。ミルが安定した走りを見せつつも、5勝を挙げたクアルタラロや、4勝でランキング2位となったフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)には差をつけられてしまう結果となった。
王座を守りきれなかった要因や、マシン開発におけるライバルとの差、ライダーの戦いぶりなどスズキの2021年シーズンの戦いについて、佐原伸一プロジェクトリーダーと、河内健テクニカルマネージャーが取材に応えた。
「全体を見る私の立場からすると……60点でしょうか」
佐原PLは、2021年の戦い全体の評価を訊かれるとそう答え、ライダー2名についてもこう続けた。
「ミルは頑張ったと思います。与えられた条件の中で、彼らしい冷静沈着なレース運びを貫いていました。ただ予選で苦しんだ部分を差し引いて、70点くらいかなと」
「(アレックス)リンスに関しては彼だけの責任ではないですが、転倒やアップダウンが大きかった。40点くらいではないでしょうか」
「チームとしてはライドハイトアジャスターの投入がありました。プロトタイプの投入は少し遅れたんですが、出来は最初から良かったので、全部含めて60点くらいではないか、ということです。少し厳し目ですけれどね」
こうした”採点”に関しては、河内TMも同様に60点をつけている。河内TMは2021年に向けて期待していたことよりも改善幅が小さかったと認めており、ライバルの進歩が結果に現れてしまっていると語っていた。
なお佐原PLは、予選で苦しんでしまい、レースでポジションを上げていく際にタイヤを使ってしまうという問題点も、後半戦から作戦を変更して対処するようにしていったと振り返っている。
「予選グリッドの問題ですが、後方グリッドであるためにタイヤの大事な部分を使い切ってしまうところもありました」
「予選のやり方も含めた作戦を練り直した終盤は悪くなかったし、ポルトガルやバレンシアのように3~4番手から始めれば、本来のバイクやライダーの実力を発揮しやすい。それが出来たのが終盤になってしまいましたた」
「全部を話すことは出来ないですが、シーズン中には黄旗で(アタックが)キャンセルされたり、スロー走行のライダーにつかまったりと、もったいない事もありました」
「本来もっと良いタイムも出せたし、もっと良いグリッドが獲れたはずで、少なくともそれを避けるために、ピットアウトやタイヤ交換などのタイミングなど、チームとして練り直した部分はありました」
なお2022年シーズンに向けた開発状況などについては、「良い兆候が見えている」としつつ、今後の開発を見ていきたいと語った。
「我々が課題としていた部分をひとつずつクリアにしている状況で、11月のヘレステストでは、良い兆候が見えていました」
「まだヘレスしかテストしていませんから、手放しで喜べるわけではないですが、全体的に良くするというやり方で、性能を上げることに繋がっています」
「ただ自社で比較しても仕方がないので、他メーカーの動きを見ながら進んでいく必要もありますが、今のところは我々の予定している通りに進んでいると思います」
2022年最初のプレシーズンテストは、2月5日からマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで開幕予定。ヤマハに奪われた王座を取り返すべく、スズキがどんな改善を施してきたか……要チェックとなるだろう。
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