”鉄は熱いうちに打て”。ジョアン・ミルの可能性にメーカーから熱視線

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”鉄は熱いうちに打て”。ジョアン・ミルの可能性にメーカーから熱視線
2018/05/22 10:01

フランスGPでMoto2クラス初の表彰台を獲得したジョアン・ミルに、早くもMotoGPクラスに参戦するメーカーが興味を寄せている。

 ジョアン・ミル(EG 0,0 Marc VDSMoto2)の動向に注目が集まっている。第5戦フランスGPのレースウィークでは、中排気量クラス初年度ながら来季のMotoGP昇格が取り沙汰されていたが、日曜日の決勝レースで3位表彰台を獲得したことにより、その高い資質には今後いっそう熱い視線が注がれることになりそうだ。

 スペイン、マヨルカ出身のミルは現在20歳。昨年はシーズン10勝を挙げてMoto3クラスのチャンピオンを獲得している。日本で彼について本格的に紹介した記事は、おそらく昨シーズン開幕直後の当コラムがはじめてだったのではないかと思う。そのコラムからしばらく経って、サマーブレイク前にはMoto2クラスへの昇格が決定し、その1年後の今、最高峰へのステップアップが取りざたされているというこの状況が、彼の高い資質をなにより雄弁に物語っている。

 しかし、Moto3からMoto2への昇格と違い、Moto2からMotoGPへのステップアップは、水面下での様々な動静が観察されるものの、表だって何かが公式に行われているわけではない。この水面下の交渉には、ミルに対して興味を示していると言われるチームに所属する大物ライダーたちの移籍や残留、という大きな攪乱項も関連して、複雑な様相を見せているからだ。

 さらに、余談になるが、ミルの所属するチームは、タイトルスポンサーの企業オーナーとチームマネージャーの間で財務運営的なトラブルを生じて解雇問題に発展したことや、ホンダ系列として戦ってきたこのチームのMotoGP部門が来季どのメーカーのマシンで戦うか去就が定まっていないこと等とも相俟って、一連の話題は欧州ではホットなゴシップになっている。

 ともあれ、3位表彰台を獲得したミルに、彼自身から来季の去就について何か話せることはあるかどうかを単刀直入に訊ねてみた。

「この件について答えられる人はそこにいるけど」とミルは少し離れたところに立つ彼のマネージャーを指し示し「僕自身は、今はMotoGPのことを考えずにMoto2のレースに集中したい。彼がこの件(各チームと交渉していること)を話しているのは本当だけど、僕は細かいことはよくわからないんだ」と無難な言葉でかわした。

 とはいえ、交渉の事実を素直に認めつつ自分自身では深く言及しないのは、優等生的でありながらも率直な、利発な回答と言っていいだろう。

 ミルに話を振られた格好になったマネージャーは、詳しい事情は明かせないとしながらも、ホンダ、スズキ、ドゥカティがミルに対して大いに関心を持っており、できるだけ早く交渉をまとめたいと考えている、と述べた。ちなみにこのマネージャーは、Moto3でチャンピオンを獲得した翌年に1年だけMoto2クラスを戦い、即座に最高峰クラスへステップアップしたマーベリック・ビニャーレスのマネージメントを担当する人物でもある。

 そのビニャーレスや、あるいはMoto3から最高峰クラスに『飛び級』したジャック・ミラーの場合がそうであったように、若い年齢で最高峰クラスへ昇格しようとする動きにはえてして批判的な言動がつきものだが、彼らはいずれも自らの実績でそれらの批判を封じてきた。

 ちなみに「鉄は熱いうちに打て」という諺には、鍛えるなら若いうちに始めるべしとの解釈以外にも、好機を逃すな、と言う意味あいもあるという。

取材・執筆/西村章

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シリーズ MotoGP
ドライバー ジョアン ミル