逆転チャンピオン目指すクアルタラロ、上々の滑り出しでリラックス「最後の1秒まで僕は諦めない」
MotoGP最終戦バレンシアGPで逆転タイトル獲得の可能性をわずかに残すファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)は、リラックスした様子で初日を終えた。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
逆転タイトル獲得の可能性を残すファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)は、MotoGP最終戦バレンシアGP初日を上々の滑り出し。「チェッカーフラッグを受けるまでは何が起こるかわからない」と、諦めない姿勢を保っている。
クアルタラロはFP1でトップタイムをマーク。FP2では8番手だったが、彼とタイトルを争うフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)を両セッションで上回った。バニャイアが何度かコースオフするなど、いくらかナーバスな様子だったのに対し、満面の笑みでメディアの取材に応じた。
決勝レースがFP1のオーダー(クアルタラロ首位、バニャイヤ17番手)になった場合、厳しい逆転の条件をクリアする事もあって、クアルタラロは「今、あの結果だったらサインしようとチームと話していたから少し笑ってしまったけど、それはジョークだ」と話した。
「大事なのは日曜日だ。ちょっと希望が見える結果だけど、同時にまだ金曜日だからね」
「僕はドイツGP以来勝っていないので、まずは勝つために戦いたい。どんなことがあろうとも、日曜日にはすべての武器を持って、優勝争いができるようにベストを尽くしたい」
初タイトルを目指すバニャイヤは、プレッシャーを感じて「僕の気持ちが、自分自身のことを制限してしまった」とコメントしていた。
一方のクアルタラロは、条件が厳しいこともあってか平常心。バニャイアのプレッシャーに理解を示しつつ、自分のレースに集中すると語った。
「僕は気にしないよ。どうなるか見てみよう。彼はナーバスになっている。それでいいんだ。レースが近づくにつれ、彼はもっとナーバスになるだろうし、それは普通のことだ」
「でも僕には明確な目標があるし、それは5位でレースを終えることじゃない。マシンの問題点を理解したうえで、簡単ではないミッションをこなさなければならない。正直なところプレッシャーはないけど、シーズン中盤とは違う捉え方をしている。たった1回、結果を出せば良いんだ」
「僕にとってのシナリオはとても簡単で、いいスタートを切ってトップになり、レースに勝つこと。前に誰もいないことを望んでいるから、後ろがどうなるかは別の話だ」
クアルタラロがチャンピオンになるためには、自身の優勝が最低条件。その上で、バニャイアが15位以下に終わる必要がある。もしバニャイアが転倒を喫するなど、ポイント獲得が望めない状況となった場合、ドゥカティ勢が総出でクアルタラロの優勝を阻止しようとすることは想像に難くない。
クアルタラロは、2022年の総決算として全力を尽くすと話し、最後の瞬間まで諦めないと誓った。
「誰かになにか悪いことが起きることは願っていない。でも今回は2022年の総括のようなモノだから、全く恐れていないんだ。不可能なことはない。レースが終わるまで、それを信じなければならない。多くのスポーツで、最後の1秒まで何かが起こる可能性があるということを何度も目の当たりにしてきたし、僕はチェッカーフラッグが振られるまで戦うつもりだ」
「(ドゥカティの)チームオーダーについても色々と言われているけど、ドゥカティのライダーたちは通常通り、お互いに抜きあうと予想している。もしバニャイアにそれが必要ならね。ペッコ(バニャイアの愛称)を煩わせないように、危険に晒さないようにするというのは理解できるけど、彼を前に出させるというのはスポーツの精神に反することだ」
「最終的に何が起きるか見てみよう。でもそれは僕たちのスポーツではあってはならないことだ」
最後にクアルタラロは、最終ラップでバニャイアと優勝争いを展開し相手がリタイアしたらチャンピオンを獲得できるような事態となった場合、一線を越えてしまう可能性について問われた。
彼は「ジネディーヌ・ジダンとマルコ・マテラッツィの間に起こったことを見てごらん」と、2006年のサッカー・ワールドカップ決勝でフランスの大スターであるジダンが頭突きしたことで退場となり、PK戦の末イタリアに敗れたことを引き合いに出した。
フランスをクアルタラロ、イタリアをバニャイヤに置き換えれば、クアルタラロが決勝で”頭突き”をかますことはおそらくないだろう。
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