Moto3デビュー2ヵ月で3連勝。“未来の王者”と注目集めるペドロ・アコスタは何者なのか?
2021年シーズンにMoto3デビューを果たし、一気に頭角を表したペドロ・アコスタ。既にチャンピオン候補と目されているが、彼は目の前のレースに集中しており、急激な注目にもペースを乱す様子を見せていない。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
2021年のロードレース世界選手権Moto3クラスで、ひときわ注目を集めるライダーがいる。それは今シーズンデビューを果たしたばかりで弱冠16歳のスペイン人ライダー、ペドロ・アコスタだ。
アコスタはMoto3クラスでも有力チームのひとつであるRed Bull KTM Ajoからデビュー。開幕戦から表彰台を獲得すると、さらに続く第2戦から第4戦まで3連勝を記録し、チャンピオンシップをリードする立場に立っている。
5月26日に17歳の誕生日を迎えるアコスタは、今週末のル・マンでのレースが16歳で臨む最後のレースとなる。
また、彼はMoto3クラスにデビューして2ヵ月の新人だが、その注目度合いは高く王者候補に推すメディアも多い。今回アコスタはmotorsport.comの取材に応え、世界選手権に挑む姿勢や、目標とする最高峰クラスへの長期的な考えなど様々な事柄について語ってくれた。
「ル・マンもまたひとつのレースに過ぎないよ。数週間後に僕は17歳になるけど、僕がすべきことはこれまでしてきたような取り組みを続けることだ」
そう語るアコスタ。彼はMoto3での成功があっても気を散らしておらず、SNSなどを好んでいないことが良い方向に作用していると見ている。
「世界選手権で上手くいっているときに、集中力が途切れたり他のことに気を取られるのは普通のことだろう。でも僕はソーシャルメディアがあまり好きではないことが、助けになっているんだと思う」
「自分のすべきことに集中できるからね。レースに集中しろ、というのはよく言われることだけど、僕にはレースこそ、バイクに乗ることこそが生きがいで、全てなんだ。それにSNSが好きじゃないことが合わさって、集中し続けることができているんだと思う」
アコスタにバイクに乗ること以外で好きなモノは何なのかを聞いてみると、彼はバイクに関連する事以外は殆どないと答えている。
「(オフシーズンの)11月から3月に僕は週6日はサーキットにいる。ライディング以外に好きなことがなくて、それに没頭している。マウンテンバイクやモトクロスなんかも好きだけど、バイクに関連しないもので好きなコトは殆どないね」
今シーズン、アコスタはMoto3クラスで初めて長期的なシーズンに挑んでいる。彼はスペイン国内の選手権で頭角を表した後、2018年にMoto3ジュニア世界選手権デビュー。しかし同年は3レースでポイントを獲得するに留まった。
その後2019年にはレッドブル・ルーキーズカップに参戦し、ランキング2位を記録。2020年にはチャンピオンに輝き、同時に参戦していたMoto3ジュニア世界選手権では3勝を挙げてランキング3位となっている。
「これまで僕は短い選手権でレースをしてきた。ただ去年はレッドブル・ルーキーズカップとジュニア世界選手権に参戦して、17か18戦はあったと思う。だから今年と(数では)似ているんだ」
「多少は役に立つ部分があると思う。でも今と同じ様な水準の走りを続けていかなくちゃいけない」
アコスタには、2013年にMotoGPクラスへデビューし、昨シーズン怪我をするまで同クラスを席巻してきたマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)以来の逸材だという評価もある。
16歳の少年には、こうしたメディアなど周囲からの大きな注目が影響を与えてもおかしくないように思えるが、彼は非常に落ち着いている。
「パドックでは他に趣味があって、ライダーはあくまで仕事だと言う人もいると聞く。でも僕は自分が仕事をしているとは思っていないんだ。バイクで5時間トレーニングをすることは、僕にとって仕事なんかじゃない。子供が公園に遊びに行くようなものなんだ」
「ここはエゴのぶつかる世界選手権だし、そういうコトを信じるべきじゃない。ただ自分が何のために戦っているのかは知っている必要はある」
「バイクに乗ると毎回『僕のレースを観るために人生の45分間を使ってくれているなら、僕は少なくともできる限りのことはしなくちゃいけない』と思う。上手くいく日も、悪い日もあるだろう。でも僕はいつも自分の全てを出すつもりで向かっているんだ」
MotoGPクラスへの将来的な昇格も間違いなしと言われるアコスタ。彼には小排気量クラスからステップアップしていく道と、ジャック・ミラー(ドゥカティ)のように飛び級で最高峰クラスへ参戦する道がある。
ただアコスタとしてはより準備を整えて最高峰クラスに挑戦したいと考えているようだ。
「MotoGPに向けて準備をたくさんすればするほど、世界選手権を戦えるチャンスが増える。結局ライダーごとに考えは異なっているけど、よりたくさんの段階を経てMotoGPへの準備をした方が、長期的にはMotoGPでよりアドバンテージが得られると思う」
5月14日から開始される第5戦フランスGPは、彼にとって初めてのブガッティ・サーキットでのレースであり、雨がちであることから厳しい戦いも予想される。しかし彼は「競争力あるライダーになるためには、どんなコンディションでも上位を争う必要がある」と語り、適応に向けて意気込んでいた。
ちなみにアコスタは16歳ではあるが、父の影響でビデオ映像を見ていたことで、ケビン・シュワンツやミック・ドゥーハン、ウェイン・レイニーといった往年の名GPライダーのファンなのだそうだ。現代のライダーではマルク・マルケスとケーシー・ストーナーが、自分とライディングスタイルが似ているため、注目しているという。
マルク・マルケスは2021年現在28歳。アコスタが今後数年でMotoGPクラスに昇格すれば、彼との対決は叶うはずだ。
Read Also:
Be part of Motorsport community
Join the conversationShare Or Save This Story
偉業達成ビニャーレス「ここまで来るのは大変だった。言葉が出ないよ」と涙。3メーカー優勝に感無量
ホンダで大苦戦スタートのルカ・マリーニ、開幕戦後に2度プライベートテスト参加。次戦ポルトガルで改善できるか?
マルケス兄弟、新たにアウディとスポンサー契約を締結。同グループのドゥカティ販売増にもつながる?
超新人ペドロ・アコスタのいきなりタイトル争いはある? 過熱期待には『目の前のレース優先』とかわす
驚異のルーキー、アコスタが史上最年少の連続表彰台「こんなにレースを楽しめたのは久しぶり!」
MotoGPクラス昇格から鮮烈デビューのペドロ・アコスタ、鍵は「チームの献身」?
今季2位のラウル・フェルナンデス「自分が“事実上のMoto2”チャンピオン」チームのアシスト不足と示唆
ルーキーにして現在Moto3首位に立つペドロ・アコスタにシュワンツとミラーから称賛の声
MotoGPコラム:長島哲太Moto2初優勝。ラスト数周、脳裏をよぎった富沢祥也の姿
最新ニュース
トラックリミット違反でラップタイム抹消……なしよ! ノリスのスプリント予選ポールラップが復活した理由
F1中国GPの”ペイント”路面処理、FIAは把握もチームやピレリに知らされず「現地入りして驚いた」
レッドブルF1、サインツJr.獲得は難しい?「カルロスはアウディから非常に有利なオファーがある」と重鎮マルコ明かす
アルピーヌF1、中国GPで新"軽量版"シャシー投入&フロアアップデートも実施……最下位脱出に向け奮闘中
Subscribe and access Motorsport.com with your ad-blocker.
フォーミュラ 1 から MotoGP まで、私たちはパドックから直接報告します。あなたと同じように私たちのスポーツが大好きだからです。 専門的なジャーナリズムを提供し続けるために、当社のウェブサイトでは広告を使用しています。 それでも、広告なしのウェブサイトをお楽しみいただき、引き続き広告ブロッカーをご利用いただける機会を提供したいと考えています。
次の 2 つのオプションがあります。
- サブスクライバーになります。
- 広告ブロッカーを無効にします。
Top Comments