KTM勢苦戦のロサイル連戦、ミディアムタイヤ選択は「本当に怖かった」とビンダー
KTMのブラッド・ビンダーはMotoGP第2戦ドーハGPでのタイヤ選択においてフロントにミディアムを履かざるを得なかったが、“恐ろしい”選択肢だったと語った。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
MotoGP2021年シーズンはカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットでの開幕2連戦が終了。昨年3勝をマークしたKTM勢だが、カタールでは苦しい流れとなった。
第2戦ドーハGPでのKTM勢最高位は8位に入ったブラッド・ビンダー(KTM)。彼は今回、開幕戦で使用したフロントタイヤにソフトではなく、ミディアムを選択していた。これは他のKTM勢3人も同様だったが、ビンダーによるとリスクの大きい“恐ろしい”選択肢だったという。
ロサイル連戦で供給されたタイヤの中で、ミディアムのフロントタイヤは唯一左右非対称コンパウンドで、レースで使用したのはKTM勢のみだ。
ビンダーはドーハGP開始前に、供給されるタイヤがKTMにとって痛手となっていると言及していた。ソフトタイヤがKTM・RC16にとっては柔らかすぎる一方で、ハードタイヤは夜になって気温が低下したコンディションで機能しなかったためだ。
ビンダーは予選18番手からのレースに臨み、スタートから1周目で10番手にまで浮上した後は辛抱強く戦い、ラストラップに8位へ浮上しフィニッシュ。トップ10へ食い込む結果を残した。
「テストで3回クラッシュしたことを考えると、フロントにミディアムを使うのは本当に怖かった。そのクラッシュは全部予期しないところで起こっていたんだ」
ビンダーはそう語る。
「でも、選択肢はなかった」
「ソフトは選択に入っていなかったんだ。予選ですら、同じフロントタイヤで2度アタックをすることも不可能だった。新品のリヤタイヤを入れても、(フロントの)右側のグリップが完全に落ちてしまっているんだ」
「それで僕らはたとえミディアムが好ましくないことが明らかだとしても、それを使わなければレースを最後まで走ることも望めないということを理解した」
「(レースで)フロントタイヤの片側のコンパウンドから反対側へと移るときは、ものすごく気をつけないといけなかった。ブレーキもほとんど直立した状態で、相当気を使ってかけなければいけなかったんだ」
「リーンアングルのついた状態でブレーキをかけることはできなかった。そうした場合にはフロントがロックして、良くないことが起きてしまう」
「だからスタイルを少し変える必要があった。特に右コーナーの進入ではね」
「でもそれを一度理解すると、フロントタイヤをうまくプッシュできるようになったんだ」
なおチームメイトのミゲル・オリベイラも同じタイヤを選択。一時は4番手にまでポジションを上げていたが、最終的には15位でフィニッシュ。ダッシュボードの故障によってシフトタイミングなどが表示されず、エンジンマップの選択でもパワーの少ないものを選択してしまったことが苦戦に拍車をかけてしまったようだ。
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