MotoGPライダーさん、ヘルメットやツナギでナンボ貰ってますのん? 貴重収入源と化したギアに迫る
MotoGPライダー達が身につけているヘルメットやグローブ、レーシングスーツは、安全性を確保するうえで非常に重要な部分であると同時に、ライダーにとっては重要な収入源となっている。
MotoGPライダー達が身につけているヘルメットやグローブ、レーシングスーツなどは安全面においてとても重要な装備だが、それと同時にライダー達にとって非常に重要な収入源となっている。では、どのくらいの収入を得ているのだろうか?
ライダー達はMotoGPで走る上で、ヘルメットを筆頭にFIMのホモロゲーションを通ったプロテクターの装着が義務付けられている。
そしてMotoGPのようなレースは、それらの製品を作るメーカーにとっては、究極の実験場となっており、販売戦略における”ショーウインドウ”としても利用されている。
もちろんレーシングスーツのような装備が公道を走る上で義務付けられているわけではないが、プロテクターの利用などは確実に広がりつつある。そのためメーカー側は製品の研究開発だけではなく、MotoGPをプロモーションの場として活用するためにも多くの資金を投じているのだ。
■『100万ユーロ』のヘルメット
MotoGPを走るライダーは皆、特定のブランドのヘルメットやスーツなどを使用することで、経済的なメリットを得ている。ここではその中でも特に目立つ部分である、ヘルメットとレーシングスーツを取り上げていく。
「MotoGPでは全てのライダーに対して、例外無く彼らのヘルメットとスーツの代金が払われている」
motorsport.comの取材にそう語るのは、MotoGPパドックでも最も経験豊富なあるエージェントだ。
「Moto2とMoto3では物品だけかサポートのみを受けるライダーもいるかもしれないが、それは少数だ」と彼は付け加えた。
また、こうした物事の交渉をよく行なっている別のエージェントは「ヘルメットとスーツの金額は、25万から200万ユーロの範囲(約4000万~3億1000万円)になっている」と認めた。
ヘルメットに関しては2010年代に入って、こうしたスポンサーフィーの額が大きくなった。
それまでMotoGPライダーの頭部を守るヘルメットは、日本のアライヘルメットやSHOEIが独占しており、多額の報酬を支払うことはなかった。しかし2013年に、当時2度のMotoGPクラス王者であるホルヘ・ロレンソが、100万ユーロ(約1億5000万円)の契約金でHJCへとブランドを変更したことが、札束の舞い踊る契約交渉の引き金を引いた。
ロレンソのHJCへの切り替えは、特にヨーロッパと日本市場にショックを与え、事態が手に負えなくなることを防ぐためにも彼らはブランドを代表するライダーとの交渉を始めなければならなかった。
HJCは近年になり再び攻勢に出ており、2023年にはファビオ・クアルタラロをスコーピオンから切り替えさせることに成功。クアルタラロは現在、年間120万ユーロ(約1億8800万円)を受け取っていると見られている。
そしてこのヘルメットメーカーからもたらされる資金は、かなり大きな額と言える。ある実績豊富なライダーエージェントは、現在のMotoGPライダーの年俸について、次のように説明する。
「現在、MotoGPのトップライダー達の年俸は60~70万ユーロ(約9400万円〜1億円)だ。MotoGPではそこに少なくとも15万ユーロ(約2400万円)ほどの価格差があり、さらにレーシングスーツで10~50万ユーロ(約1600万円〜8000万円)も加わってくる」
つまり、クアルタラロを例にすると年間200万ユーロ(約3億1000万円)に近い収入を得ていることになる。これは参戦ライダーの中でも、最も高給取りな部類だ。
では今のMotoGPライダーの中で、最もメディア受けすると考えられるマルク・マルケス(ドゥカティ)はどうだろうか。彼は現在SHOEIのヘルメットと、アルパインスターズのスーツを使用しているが、両メーカーから受け取る金額は、150万ユーロ(約2億3500万円)を超えると見られている。
2024年に初のMotoGPチャンピオンとなったホルヘ・マルティンは、ヘルメットとスーツ両方でアルパインスターズを使用しているが、110~130万ユーロ(約1億7000万~2億円)ほどを受け取っていると見られている。2度のMotoGP王者であるフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)も、ほぼ同額だ。
MotoGP注目の若手スター、ペドロ・アコスタ(KTM)の場合は同じくアルパインスターズで80万ユーロ(約1億2500万円)ほどのようだ。なお、ここに成績によるボーナスも設定されているという。
2025年シーズンにもヘルメットブランドを変更するライダーがいる。これまでAGVを使用してきたジョアン・ミル(ホンダ)が、Kabutoへと乗り換え。ミゲル・オリベイラ(プラマック・ヤマハ)はSharkからHJCへ移ったが、両者とも”マネー”の貢献があった。
その一方で、KTMテック3のマーベリック・ビニャーレス(アライ)や、マルク・マルケス(SHOEI)のように、ブランド変更のオファーを貰いつつも、金銭よりも品質や安全性、ロイヤルティ(忠誠)を優先するライダーもいる。
ただし、現在MotoGPで使用されているヘルメットは全てFIMのホモロゲーションを受けており、安全性が保証されていることは忘れてはならないだろう。
MotoGPライダーのレーシングギアブランドの変化
|
ライダー |
ヘルメット 2024/25 |
スーツ/グローブ 2024/25 |
ブーツ 2024/25 |
|
マルティン |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Alpinestars |
| バニャイヤ |
Suomy/Suomy |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Alpinestars |
|
M.マルケス |
Shoei/Shoei |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Alpinestars |
|
バスティアニーニ |
KYT/KYT |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Alpinestars |
|
ビンダー |
HJC/HJC |
Ixon/Ixon |
TCX/Sidi |
|
アコスタ |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Alpinestars |
|
ビニャーレス |
Arai/Arai |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Alpinestars |
|
A.マルケス |
Shoei/Shoei |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Alpinestars |
|
モルビデリ |
AGV/AGV |
Dainese/Dainese |
Dainese/Dainese |
|
ジャンアントニオ |
Shoei/Shoei |
Dainese/Dainese |
Dainese/Dainese |
|
ベッツェッキ |
AGV/AGV |
Dainese/Dainese |
Dainese/Dainese |
|
クアルタラロ |
HJC/HJC |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Alpinestars |
|
ミラー |
Alpinestars/Alpinestars |
Alpinestars/Dainese |
Alpinestars/Dainese |
|
オリベイラ |
Shark/HJC |
Ixon/Ixon |
Alpinestars/Alpinestars |
|
R.フェルナンデス |
Shark/Shark |
Alpinestars/Dainese |
Alpinestars/Dainese |
|
ザルコ |
Shark/Shark |
Furygan/Furygan |
TCX/Forma |
|
リンス |
Scorpion/Scorpion |
Alpinestars/Ixon |
Alpinestars/Alpinestars |
|
ミル |
AGV/Kabuto |
Dainese/Dainese |
Dainese/Dainese |
|
マリーニ |
AGV/AGV |
Dainese/Dainese |
Dainese/Dainese |
|
アルデゲル |
LS2/LS2 |
Dainese/Dainese |
Dainese/Dainese |
|
小椋 |
Arai/Arai |
Kushitani/Kushitani |
Alpinestars/Alpinestars |
|
ペドロサ |
Arai/Arai |
Alpinestars/Dainese |
Alpinestars/Dainese |
|
P.エスパルガロ |
AGV/AGV |
Dainese/Dainese |
Dainese/Dainese |
|
A.フェルナンデス |
KYT/KYT |
Revit/Revit |
TCX/Alpinestars |
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