1年でMotoGP脱落のビンダーはアプリリア転向の「犠牲になった」とRNF。ヤマハとの直接契約が裏目に

MotoGP2022年シーズンにデビューし、1年限りでシートを失ってしまったダリン・ビンダー。RNFのラズラン・ラザリ代表はヤマハとの別離の“犠牲者”だったと語っている。

Darryn Binder, RNF MotoGP Racing

 MotoGP2022年シーズン限りでシートを失ったダリン・ビンダー。彼の所属していたRNFのラズラン・ラザリ代表は、アプリリアへマシンを転換する決定の犠牲になったと語っている。

 RNFはペトロナス・ヤマハSRTの後継チームとして2022年シーズンに参戦を開始。引き続きヤマハのサテライトチームとしての参戦となり、ライダーにはアンドレア・ドヴィツィオーゾとビンダーを起用した。

 ビンダーはMoto3クラスからの飛び級であることもあり、周囲からは心配する声もあった。しかし、実際にはまずまずの速さを示し、1年落ちのYZR-M1で12ポイントを獲得することができた。

 2年目に向けてさらに成長することを望んでいたビンダーだったが、チームは2023年シーズンからアプリリアのサテライトチームに転向することを決定し、さらにライダーラインアップをラウル・フェルナンデスとミゲル・オリベイラへ一新。ビンダーは1年限りでMotoGPクラスのシートを失う結果に終わった。

 一見するとルーキーの早期切り捨てのようにも見えるこの采配。しかしMotorsport.comのインタビューに対し、ラザリはビンダーがヤマハと直接契約を結んでいたことで、アプリリアへのスイッチにおいて犠牲になってしまったのだと説明している。

Darryn Binder, RNF MotoGP Racing

Darryn Binder, RNF MotoGP Racing

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

「ダリンのMotoGP昇格は“ギャンブル”であり、我々にも彼にもリスクがあった」と、ラザリは言う。

「しかしこのプランは長期的なプログラムだったんだ。彼が今年昇格して、そしていきなりファビオ(クアルタラロ/ヤマハ)のようになるなんてことは無理なことだ」

「だが我々は彼には力があると考えていた。そして彼もMotoGPマシンを走らせる能力があることをある程度示していた。しかしそれでも、学習の最中だったんだ」

「1年で何もかもを行なっていくことはできない。だから計画はヤマハと何年も一緒にやり続けて、彼も続けていくというものだった」

「だが残念ながら、彼はヤマハとの契約だったんだ」

「もし、彼が我々と契約をしていてアプリリアへのスイッチが決まったなら、我々は彼との契約を尊重していただろう」

「しかしながら、ヤマハとの契約を続けることはなかった。彼はこの状況の犠牲者だった」

「彼が成し遂げてきたことは、本当に素晴らしい。繰り返しになるが、Moto3から飛び級してきたルーキーに、何を期待しているんだ?」

 なおラザリはビンダーの使用していた2021年型マシンには「何も開発が無かった」と語っている。しかし同時にルーキーにとっては十分に良いマシンだったとも考えていたと話している。

 RNFは前述のとおり、2023年シーズンからは陣営をアプリリアへスイッチ。スポンサーはWithUからCryptoDATAへと変わりライダーも一新されるなど、まさに新体制での戦いに身を投じることとなる。

 
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