大波乱のMotoGP制したジャンアントニオ、クラッシュで恐怖の瞬間味わう「本当に運が良かっただけ」
波乱の展開となったMotoGPカタルニアGPを制したファビオ・ディ・ジャンアントニオが、大クラッシュ後のレースに臨んだ心境を語った。
写真:: Eric Alonso / Getty Images
MotoGP第6戦カタルニアGPの決勝で勝利したファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46)は、クラッシュと赤旗後の再スタートに挑んだ際の心境について明らかにした。
カタルニアGPはレース中盤にトップを争っていたペドロ・アコスタ(KTM)がマシントラブルで減速したところに、アレックス・マルケス(グレシーニ)が追突。マルケスはこの弾みでクラッシュし、マシンが大破してしまう大事故となった。マルケスは複数箇所を骨折してしまったものの、不幸中の幸いか、命に別状はなかった。
このクラッシュしたマルケスのマシンから飛散したパーツに当たってしまったライダーも複数いた。そのうちのひとりがジャンアントニオで、フロントタイヤとフォークがマシンに激突して転倒。手を痛がるそぶりも見せたが、マシンを再始動させてガレージに戻り、マシンを修復して再開後のレースをスタートすることができた。
その再スタート直後には、ヨハン・ザルコ(LCR)らがクラッシュして再び赤旗中断。レースは3度目のスタートが切られた。超スプリントのレースとなったが、ここでジャンアントニオはアコスタとのバトルを制し、2023年以来の勝利を果たした。
「今日の本当の”勝利”というのは、みんなが無事だったということだと思う。ヨハンとアレックスは怪我をしたけど、大丈夫だ。僕も……大丈夫だよ」
ジャンアントニオは左手小指を包帯に包みながら、そう語った。なお彼はグランプリ翌日の公式テストは、回復を優先するために欠場した。
「これこそ、このスポーツにおける人間的な意味での最大の勝利だと思う。MotoGPは素晴らしいスポーツだし、危険が伴うことも分かっている。でも、まず第一に僕たちは人間なんだ。まさにジェットコースターのような1日だったね」
そしてジャンアントニオは、アコスタとマルケスのクラッシュを避けられなかった時は本当に恐ろしい瞬間だったと振り返った。
「現場に差しかかった時、いたるところに破片が見えたし、ストレート上でパーツがこっちに向かって飛んでくるのも見えた。正直に言うと、僕はうまく反応できなかった。ただスクリーンの内側に隠れようとしただけなんだ。怖かった、それだけだった」
L'attente de nouvelles au stand peut être très éprouvante pour les pilotes.
Photo de : Gold and Goose Photography / Getty Images
「それから大きな黒い破片が飛んでくるのが見えて、さらに身を隠した。でも当然それでは十分じゃなくて、何かが当たった。タイヤだったみたいだね。つまり、僕たちは本当に運が良かっただけだ」
「映像をもう一度見たいと思っているけど、たぶん少し左に避けることはできたと思う。でも正直、ただ怖くて、全く反応できなかったんだ。凍りついたような感じだった。あんな大きな物が飛んでくるのを見て、何もできなかった。最善の対応ではなかったけど、ああいう状況では本当に難しい」
そしてレースの再スタートに向けては、アドレナリンで頭がいっぱいで、事故のことを考えずにそのまま走り抜けることが大事だったと話した。
「僕たちはアドレナリンでいっぱいになっているし、たくさんのことを考えている。でも何がベストなのか分からない時もある。いろいろなことが立て続けに起きる。でも再スタートしなければならないと分かっているから、また走り出す。それだけなんだ」
「コースに戻る時に一番大事なのは、起きたことを完全に忘れるようにすることだと思う。そして、できる限り普通に振る舞うこと。チームは素晴らしかったよ。まるで普通のスタートであるかのように接してくれた」
「たぶん、これは通底するルールみたいなものなんだと思う。人生では悪いことも含めて色々なことが起きる。そして僕たちはコース上で大きなリスクを負っている。特別な仕事だからこそ、悪い瞬間を一旦コースの外へ置いておき、ネガティブな感情は後回しにしなければならないんだ」
「チームは、僕が起きたことを全く考えなくて済むようにしてくれた。普通のスタートのように全ての情報を与えてくれたんだ。そのおかげで完全に集中することができた」
そして2度の赤旗中断の原因となったクラッシュについて、さらに次のように続けた。
「これだけ大きな事故が、ただ記憶に残る映像になっただけで済んでよかった。もっと深刻な結果にならなかったことが本当に嬉しいよ」
「本当にクレイジーな日曜日だった。この勝利と、自分たちのパフォーマンスには満足している。チームを称賛すべきだね。みんなは、この結果を掴むために僕があれだけプッシュできるよう、素晴らしい仕事をしてくれた」
「最終的には良い一日だったと思う。パフォーマンスだけじゃなく、みんなが大事に至らずに済んだからだ。それが何より素晴らしいニュースだと思う」
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