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KTM、タイトル挑戦に“スーパーエンジン”は必要ない? 2021年が有望な理由

MotoGPの2021年シーズンに向け、KTMが“スーパーエンジン”を開発するのではないかというライバルたちの懸念は、KTM側がそれを否定したことでひとまず杞憂に終わった。しかし彼らはタイトルを目指す上で本当に“スーパーエンジン”を必要としていないのだろうか?

Red Bull KTM Factory Racing RC16

写真:: KTM Images

 3月28日に開幕を迎える予定の、2021年のMotoGP。今季に向けては新型コロナウイルスの経済的な影響を鑑みたレギュレーション変更があったため、コンセッション(優遇措置)の適用がないメーカーはコスト削減を目的にエンジンと空力開発で制限を受けることになっている。

 しかし、KTMに関してはコンセッションを昨年限りで喪失しているにもかかわらず、エンジン開発が可能だ。

 改定されたレギュレーションでは今季は2020年型のエンジンを各メーカーは継続使用する事になっている。しかしKTMは昨年まではコンセッション適用のもと、他メーカーよりも年間のエンジン使用可能基数が増やされた状態でレースへ挑んできた。そこからエンジン使用可能基数が減少することで耐久性に懸念があるとKTMは訴え、使用可能基数の増加を申し出た。

 しかし最終的にそれは許可されず、代わりにエンジンの開発許可が与えられることになった。

 この点に関してライバルからは、KTMがさらに強力な“スーパーエンジン”を持ち込むことになるのではないかとの懸念を抱かれていた。

 ただ2月にチームローンチイベントが行なわれ、KTM首脳陣が取材に応えると、彼らはエンジンを一変させるような変更は行なわず、小規模な改善に留まると言及。ライバルの懸念はひとまず杞憂に終わった。

 KTMは2017年にMotoGPクラスへの参戦を開始して以来、頂点を目指して投資を継続。ファクトリーチームとそのサテライトチームにあたるテック3の両者に最新のバイクとサポートを提供し、擬似的なファクトリー4台体制でライバルに挑んできた。

 その甲斐があってか、昨年は計3勝を収めるに至ったわけだが、彼らの目標は当然ながらさらに上、“頂点”に設定されている。

 KTMに初優勝をもたらしたブラッド・ビンダーは、今季KTMがタイトルを争えるかどうかを尋ねられると「そう信じている。僕らはとても競争力のあるパッケージを手にしていると思う」と答え、こう続けた。

「昨シーズンは、僕らのパッケージがどれほど強力かが証明された。今年も改善されると思っているよ」

「だから僕は世界タイトルを争うために必要なものを手にしていると本気で信じているし、今年の戦いが始まるのが待ちきれない。でも何事も一歩一歩、レースごとにやっていく必要がある。どうなっていくか様子を見てみよう」

Brad Binder, Red Bull KTM Factory Racing, Pol Espargaro, Red Bull KTM Factory Racing

Brad Binder, Red Bull KTM Factory Racing, Pol Espargaro, Red Bull KTM Factory Racing

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 ただ、KTMのモータースポーツディレクターを務めるピット・ベイラーはビンダーよりももう少し慎重だ。彼は先程のビンダーへの質問と同じことを訊かれると「私としてはタイトル候補と呼ばれるようになりたいと間違いなく思っている。しかしそれはまだ我々の双肩にはかかるべきではないものだと思う」と語っている。

 KTMが2021年シーズンに向けた“スーパーエンジン”を搭載しないのは、レギュレーション変更の理念への尊重や、2020年シーズンに未使用となった資材を無駄にしないためだ。

「規則を利用すれば、確かに我々は完全に新しいモノを構築することは可能だった」と、ベイラーは語る。

「だがまず第一に、そうするためにはマンパワーが必要なんだ。そして我々は”同僚たち”に対して、有用なフォーマットを引き続き使っていくつもりであり、多くのものを破壊しないことを約束した。それが我々のしたことだ」

「我々は完全に新しいエンジンを作り、そしてそれを使うことでアドバンテージを得ようという計画などは持っていなかった」

 ただKTMが王座獲得を狙っていることを考えると、スーパーエンジンを製造しないことは彼らがチャンピオンシップ争いでのチャンスを自ら減らしていると考えることもできる。実際、テック3のエルベ・ポンシャラル代表は2021年型RC16については「(昨年最終戦の)ポルティマオで走らせていたものと“99%”同じだ」と認めている。

 ポンシャラル代表はKTMが2021年シーズンに向けて一新したマシンを用意しない理由について、次のように考えを述べた。

「KTMが2022年型のマシンを用意していて、それをテストし、興味深い結果が出ていることは明らかだ。特にマレーシアでのテスト(後に中止)では、我々もそれを使用するかもしれないと思っていた。ただここは安全に振り、4人のライダーらは2020年型(=2021年型)に乗ることになるだろう」

 ポンシャラル代表の語るように、テスト減少が影響している可能性は考えられる。昨年は11月のポストシーズンテストが行なわれず、さらに2月のセパンテストは新型コロナウイルスの影響で中止。新たなスケジュールが組まれることになったが、日程的には3月に集中する形となった。

 そのためテストから開幕戦カタールGPまではあまり日程が空いていない。結果としてファクトリーも新型の問題を解決するだけの現実的な余裕がないのだ。

 とはいえ、ビンダーの今季に向けた楽観的な考えも否定されるものではない。

 

 ベイラーは「KTMはライバルに恐れられるべきだ」とは考えていないものの、「自分たちが最も愚かなミスを犯し、多くのポイントを失ったことを考えれば、チャンピオンシップにおいてバイク・ライダー・チームのパフォーマンスでそれほど離れてはいないことが分かる」と指摘している。

 ベイラーの指摘するように、昨年のKTMはミスによってポイントを多数失っている。ヘレスでの開幕2戦ではビンダーが表彰台に迫るペースを見せていたものの、結果は3ポイントの獲得。スティリアGPではトップ5を争うも転倒を喫しており、エミリア・ロマーニャGPでも序盤に転倒を喫してチャンスを失っている。

 こうした事例はその後も続き、テルエルGPでは1周目にジャック・ミラー(当時プラマック)と接触しクラッシュ。ヨーロッパGPではロングラップペナルティを受けてしまったことで好ペースを記録しながらも7位に留まった。

 こうしたミスをひとつでも減らせていたならば、KTMは昨年のコンストラクターズランキングで、ヤマハやスズキを抜き、ドゥカティに次ぐ2位で終えられていた可能性は高い。

 2020年シーズンのKTMの躍進は彼らの予想以上のモノだった。ほとんどのグランプリで彼らはボックスからコースに出るとすぐにマシンが機能するようになっていたのだ。もちろん、新型コロナの状況が許せば、今年はまだ経験のないコースにも向かうことになるだろう。

「一貫性というのは、大きなリスクを背負って3位を狙うことよりも、更に重要なモノだ」と、ベイラーは語る。

「安定性が重要なのは明らかなんだ。我々が来たるシーズンにそれを維持できれば、何が起こってもおかしくはない。だが今我々が立っているところを考えると何を変え、何を変えないかという点では非常に悩ましいね」

 2021年シーズン、KTMはファクトリーチームにブラッド・ビンダーとミゲル・オリベイラ、テック3はイケル・レクオナとダニーロ・ペトルッチという4名で戦いへ挑む。

 彼らがチャンピオン獲得という目標を達成することは簡単なものではない。しかし今季に向けて“スーパーエンジン”を製造しないという決定を下したことを考えても、KTMを真のチャンピオン挑戦者と見なすことが“幻想”と言える段階は過ぎ去ったのだろう。

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