スズキのミル「”優勝”はいらない。タイトルが欲しい!」ライバルも同意見?
アンドレア・ドヴィツィオーゾは2020年のタイトル争いにおいてジョアン・ミルがMotoGPタイトルを獲得するために、彼の初優勝が必須だとは考えていないと語った。
Andrea Dovizioso, Ducati Team Joan Mir, Team Suzuki MotoGP
Gold and Goose / Motorsport Images
MotoGP2の020年シーズンは15戦中12戦を消化。現時点でのポイントリーダーはスズキのジョアン・ミルで、2番手のファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)とは14ポイント差、3番手のマーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)とは19ポイント差と僅差の闘いが続いている。
ミルがチャンピオンシップをリードする状況で特筆すべき点がひとつある。それは彼が今季1度も優勝(かつMotoGPキャリア初優勝)を挙げていないという点だ。
ただ現在28ポイント差の5番手でミルを追うアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)は、ミルがタイトルを獲得するためにレース優勝が必須だとは考えていないと語った。
「いや、僕は全然そうは思わない」
ミルはタイトル獲得に向けレース優勝が必要だと思うかと尋ねられたドヴィツィオーゾは、そう答えた。
「僕としては、重要だとは思っていない。特に今年みたいなチャンピオンシップだとね。今年は多くの理由で奇妙な状況になっていて、だから結局は、本当に重要なのはポイントなんだ」
「それだけだ。誰もが(レースに)勝ちたいと望んでいるけど、そこが重要なわけではない。だから、彼が勝たなくちゃいけないとは思っていない」
なお“シーズン未勝利でのタイトル獲得”は、最高峰クラスでは未だに記録されていない。ただ125ccクラスでは1999年にエミリオ・アルサモラが勝利を記録せずにタイトルを勝ち獲っており、1989年の80ccクラス王者のマヌエル・ヘレロスも未勝利でのタイトル獲得だった。長いチャンピオンシップの歴史の中でも、優勝なしで王座に座ったライダーは彼ら2名のみだ。
ミルについて話を戻すと、プラマックのジャック・ミラーもレースに勝つために「リスクを冒す必要があるとは思えない」と語っている。
「この状況が続くなら、エミリオ・アルサモラの再現があるかもしれない。僕には現時点で彼がレース優勝のためにリスクを冒す必要はないと思うからだ」
ミラーはそう語る。
「ああ、彼は運が悪かった。ブルノでは(イケル)レクオナの転倒に巻き込まれたのを見たけど……あれがなければ彼は勝てていたかもしれない。それにオーストリアでも彼は赤旗がなければ勝つ状況にあった」
「彼は確実に最速ライダーのひとりだと思うし、そうじゃないとしても最も一貫性のあるライダーだ。彼とスズキは年間を通して一番安定しているんだ」
そして当事者のミルだが、彼はもしチャンスが提示されるのなら、レースに勝たずにMotoGPタイトルを獲得する契約にサインしてもいいと語るなど、タイトルが最優先であると主張した。
「それ(レース優勝)は問題じゃない。重要なのはチャンピオンシップを勝ち獲ることで、僕はレースでの優勝は気にしていない」と、ミル。
「僕は単に100%の力を出すことを気にしているだけでだ。100%を出すというのが、今季終わりまでに優勝するスピードはないということになるかもしれないけど、大事なのは表彰台に乗る速さがあって、そちえタイトルを手にすることなんだ」
「とにかく、もしタイトルを獲ることができれば、それはMotoGPで最速だということを示している……レースで勝ったかどうかは関係ないんだ」
「もちろん、僕も勝ちたいし毎週末レースに勝ちたいと思っている。だけど『ミルがレースに勝たずにタイトルを勝ち獲る』みたいに言われることは全く気にしていない。オーケー、どこでそれにサインしようか? 僕はそれに署名するよ」
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