マルティン勝利の影に、ドゥカティのたゆまぬ技術開発。今度のターゲットは“ホイールリム”
MotoGP第10戦スティリアGPで初優勝したホルヘ・マルティン。彼の勝利の影には、ドゥカティによる興味深い技術的な挑戦があった。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
レッドブルリンクで行なわれたMotoGP第10戦スティリアGPでは、今年MotoGPクラスへデビューしたばかりの新人、ホルヘ・マルティン(プラマック)がキャリア初優勝を挙げた。そして、彼の優勝の影にはドゥカティによるたゆまぬ技術開発があった。
気づいている人は多くなかったかもしれないが、今回ドゥカティ勢はデスモセディチGPのフロントホイールリムの色が普段とは違っていた。これはファクトリーチームのジャック・ミラー、フランチェスコ・バニャイヤらもテストしていたものだ。
フロントのホイールリムがこれまでの暗い色から、明るい色へ変化……なぜこうした変化があったのだろうか? その答えは、『温度』にある。
リムとホイールの外側の色が異なっているのは、特殊なナノテクノロジーによるコーティングが施されているからだ。これによってブレーキからの熱を反射し、タイヤ温度を下げる助けとなっており、作動温度を安定させる役割を担っていると見られている。
この技術の開発元はホイールメーカーのマルケジーニ。彼らはブレンボグループの一員であり、ブレンボがF1で培ってきたノウハウも用いられている。F1のタイヤ内の空気の流れの管理はMotoGPよりも遥かに複雑だ。
ただそう言っても、マルケジーニがそうしたものを二輪に適用して結果を得ることができない、という意味ではない。熱源たるブレーキシステムと、温度の分散に役立つリム、そしてタイヤとの間でより密接な関係を築くことができる。
こうしたテーマは、ドゥカティのエンジニア陣をすぐに魅了し、彼らは独自の研究を開始した。目立っていなかったが、当初はグレーのマグネシウムを使った取り組みに注目していたようだった。ただ目指したほど有用ではなかったという。
いずれにせよ、ドゥカティはこの特殊なコーティングを施したリムによって、タイヤの挙動と耐久性を安定させ、パフォーマンスの向上に結びつけているようだ。
ドゥカティはこれまでもウイングレットや“スプーン”、ブレーキカバーやホールショットデバイスなど、ライバルに先んじて様々な技術開発を行なってトレンドを形成してきた。
ただ今回はドゥカティだけではなく、アプリリアもこの点で多くの取り組みを進めてきたと言わなければならない。彼らは現在テスト契約を結んでいるアンドレア・ドヴィツィオーゾと、マルケジーニの白リムホイールのテストを行なっていた。ただレースに向けてはまだ投入できていない。
こうした進化はまだ始まったばかりだが、ミシュランによるタイヤワンメイク制の今、ライバルに先んじるための重要な一手にもなりうるだろう。
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