ヤマハへの制裁は“危険な前例”に? ドゥカティ、ライダー処罰なしに疑問呈す
ドゥカティはヤマハが違法にエンジンへ改修を加えてペナルティを受けた件について、ライダーを罰せず、メーカーのみに制裁を加えたことは“危険な前例”となってしまったと懸念を抱いているようだ。
写真:: MotoGP
11月5日(木)、FIMスチュワードはMotoGPに参戦するヤマハに対するペナルティを通知。ヤマハはMSMA(モーターサイクルスポーツ製造者協会)の承認を得ずにエンジンに技術的な変更を加えたと判断され、コンストラクターズポイントおよびヤマハのマシンを使うチームのポイントが剥奪されることになった。
FIMの調査によると、ヤマハは第2戦スペインGPで、ホモロゲーションを受けた時とは異なるバルブを組み込んでいたエンジンを使用していたことが判明。これが前述のポイント剥奪に繋がった。
結果としてヤマハはコンストラクターポイント50点を剥奪されることになった。さらにチームポイントでは、ヤマハのファクトリーチームが20点、ペトロナス・ヤマハSRTが37点剥奪されることになった。
しかしライダーの獲得ポイントは剥奪されず、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)、マーベリック・ビニャーレス(ヤマハ)、フランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)の3人はチャンピオンシップ首位のジョアン・ミル(スズキ)から25ポイント差以内につけたままだ。
ヤマハは今回のレギュレーション違反について、“内部での見落とし”とレギュレーションの理解に誤りがあったことが原因だと説明。原因となったバルブは、ヤマハが設計したモノを2社のサプライヤーが製造しただけであり、そこに悪意はなかったと釈明。その上で制裁を受け入れると声明を発している。
このFIMによる制裁についてドゥカティは、“危険な前例”となる可能性があると懸念を示している。ヤマハのみを罰するという形では、将来的に彼らと同じような違反をするメーカーが出てくると考えているのだ。
「FIMスチュワードはこれがヤマハのミスだと考え、こうした決定を下したのだと思う。誰も抗議をしないようだから、我々も受け入れるつもりだ」
ドゥカティのスポーティング・ディレクターであるパオロ・チアバッティはSky Italyにそう語った。
「これはちょっと危険な前例になるかもしれない。なぜならライダー達は自分のミスではないにしろ、正規ではないバイクでレースをしていたんだ」
「将来的にはリスクある前例になりうる。誠実に仕事をした結果、もしくは不本意な状況により生じたミスなど、将来的にレギュレーションの面で問題を生じさせる可能性のある領域に踏み込んでいるからだ」
「だが我々はこの決定を受け入れる。なにも抗議は行なわないつもりだ」
またスズキのチームマネージャーであるダビデ・ブリビオは、ライダーにペナルティを科すか否かにかかわらず、チャンピオンシップに影を落とすことになるため、難しい状況だと語った。
「我々はこの状況に関心を持っている。難しい状況だ」と、ブリビオは語った。
「ただこのような状況では何をするにしても、何が起きたとしても、チャンピオンシップには影が落ちることになるだろう」
「もしライダーにペナルティを与えたなら、他の誰が勝とうとも……それが彼らではなければ、『ああ、(ポイント剥奪の)処分を受けたからだな』と言われるかもしれない」
「彼らは正規ではないと思われるエンジンを使ったレースで、多くのポイントを獲得した……こう言うと、彼らのチャンピオンシップに影を落とすことになるかもしれない」
「難しい決定だ。我々の方としては、決定を尊重しているし、コース上で戦い続けることができて嬉しい。私は何も影を欲している訳ではない。ライダーがこうして争う状況が好きなんだ」
「我々が勝つにしろ負けるにしろ、トラックの上で勝負をつけたいものだ」
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