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MotoGP、規制解釈もF1化? F1エンジニアによるドゥカティ疑惑の“スプーン”解析

物議を醸しているドゥカティのスイングアームに設置された“スプーン”は、F1エンジニアの解析によるとダウンフォースを生み出していることは間違いない……とのことだ。

Andrea Dovizioso, Ducati Team

Gold and Goose / Motorsport Images

 開幕戦カタールGPでドゥカティが実戦投入したリヤタイヤ前、スイングアームに設置された通称“スプーン”と呼ばれるパーツ。ドゥカティはこのパーツはリヤタイヤを冷却するためのものだと主張している。だが、ホンダ、アプリリア、スズキそしてKTMは、このウイングレットのようなパーツの合法性について抗議を行った。

 FIMのスチュワードはこの抗議を棄却したが、抗議はMotoGP控訴裁判所へ付託されており、次戦アルゼンチンGPの前に判定が下される見込みだ。

 ドゥカティのライバルメーカーらは、“スプーン”はダウンフォースを生み出すことが主な目的だと考えている。

 今年の初め、MotoGPテクニカルディレクターのダニー・アルドリッジは各チームにある通知を送っていた。その内容は、以前はウェットレースでしか使用できなかったタイヤの周りから水を分散させるためのディフレクターを、ドライレースでも使用を可能にする……という物だ。

 motorsport.comがドゥカティの“スプーン”の分析を元F1エンジニアに依頼したところ、“スプーン”が空力的な荷重を生み出すことに疑う余地はない、という結果だった。

 元フェラーリF1エンジニアのトニ・クケレラはmotorsport.comに次のように語っている。

「ドゥカティの“スプーン”がダウンフォースを生み出していることは明らかだ。まず第一に、露出したパーツのどの部分も、ダウンフォースを生み出す方法のひとつだということだ。そして、抵抗を減らすのにも役立つかもしれない」

「覚えておく必要があるのは、スプーンが生み出す効果はリヤエンドに直接影響を与えるという点だ。スイングアームに直接固定されているために、その空気の流れはマシンの他のどの部分にも影響しないのだ」

「問題はルールの記載方法によっては、パンドラの箱を開けることになるかもしれない点だ。こうした試みを禁止する方法は無いかもしれない」

 クケレラはこうも加えている。

「FIMはこうした状況を明確にする必要に直面している。ドゥカティが他チームよりもエアロダイナミクスの面で先んじていることは明らかであり、ルールの欠点をどうやって突くかも非常に賢くやっている」

 また、マクラーレンの空力専門家は匿名を条件に取材に応じ、クケレラの考えに同意している。

「このデバイスがダウンフォースを生むことは明らかだ。恐らくフェアリングに付いているウイングレットよりは少ないだろうが、それでもダウンフォースを発生させるだろう」

 そう同エンジニアは語る。

 4メーカーが提出した抗議の審議を担当するスチュワードが、案件をMotoGP控訴裁判所へ付託したという決定は、混乱の最初の兆候だと言える。

「F1では過去30年、エアロダイナミクスがパフォーマンスへ大きな影響を持っていた。2輪の世界ではその影響は小さいため、FIMがこうしたやり方への対処になれていないのは普通のことだろう」と、前出のクケレラは話す。

「だが、F1でさえ抜け目のないチームがレギュレーションの穴を突き、ルール解釈によって、当初禁止されるはずだったモノを使用するケースがあった。ブラウンGPのダブルディフューザーやレッドブルのブロウン・ディフューザーは忘れられないケースだ」

 2018年夏、グランプリコミッションはある規則を承認した。エアロダイナミクス開発への投資を抑え、コストの増大を抑制する狙いの内容だ。これについては、ドゥカティが反対の姿勢をとっていた。

 しかし、ドゥカティの“スプーン”はスイングアームに取り付けられており、エアロカウルの一部としてレギュレーションに認められているモノではないという事実は、エンジニアがルールに違反すること無く、そうしたデバイスを導入するための扉を開いてしまった。

 クケレラは「ドゥカティがMotoGPテクニカルディレクターであるダニー・アルドリッジへ、水よけではなくタイヤ冷却が主な機能だと語り、彼らはドライレースでの使用許可を得ることに成功した」と結論づけている。

「FIMはテクニカルレギュレーションを書き直す必要があるだろう。明らかなのは、マシン1台1台を風洞施設に持ち込み、各パーツが生み出すダウンフォース量を数値化することはできないということだ」

「そして、ダウンフォースを生んでいることを証明できないなら、そうしたパーツを禁止することは出来ない。出来ることと言えば、ルールに細かく要素を指定することだ」

 ドゥカティ側は、依然としてこのデバイスは合法であると確信を持っており、合法性に疑問があれば使用していない、と語っている。

「我々はテクニカルレギュレーションに沿っていると認識している。だから慌てたりはしていない」

 ドゥカティのスポーティングディレクター、パオロ・シアバッティはmotorsport.comに対してそう語った。

「3月2日に配布された通知がある。そこでは、こうしたタイプのディフレクターをマシンの後部に使用することが可能だと、明確に指定している」

「罰せられる可能性があると考えていたならば、我々はマシンに搭載して走らせてはいない。そういったことは無いだろうがね」

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