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MotoGPメーカーが利益分配モデルを断念したワケ。シュタイナーがF1との違いを説明「まだその段階まで到達していない」

MotoGPの各メーカーは、新たな商業権契約で利益分配を求めていたが、結局はこれを断念。シリーズ側から固定料金が支払われるモデルが維持された。

Guenther Steiner, Tech3

 テック3のCEOであるギュンター・シュタイナーは、5つのバイクメーカーすべてがMotoGPからの利益分配を求めているにもかかわらず、現行契約と同じく、固定料金を支払う契約が維持された理由を説明した。

 MotoGPスポーツエンターテイメントグループ(MotoGP SEG)は6月、ドゥカティ、アプリリア、KTM、ホンダ、ヤマハと、2027年から2031年までの新たな商業契約に合意した。

 この契約はチェコGPの記者会見で発表された。MotoGPにとって「画期的な瞬間」と評され、6つのサテライトチームもこの契約に署名した。

 数ヵ月に及ぶ厳しい交渉の中で、最も大きな争点となったのは収益分配だった。メーカー側はMotoGPの収益の一定割合を受け取ることを要求した。このモデルは、リバティ・メディアがF1チームとの間で交わしている契約に近いモノだが、MotoGP SEGはチームへの支払いを収益に応じて増減するのではなく、固定金額にすることを主張していた。そして最終的に、1チームあたり年間800万ユーロ弱(約13億円)の固定金額を支払うことで合意に至った。

 利益分配を割合で決める方式が最終的に廃止された理由を尋ねられたシュタイナーはMotorsport.comに対し、「論理的に考えて、誰もがもっと多くを望むものだ。我々は皆、常に多くを求める。それは人間の本性だ」と答えた。

 しかしシュタイナー曰く、現時点で固定金額を受け入れるには十分な理由があったという。欧州委員会は2025年6月末にリバティ・メディアによるMotoGPの買収を承認。リバティによるMotoGPのマーケティング強化と成長戦略はまだ初期段階にある。

「私の考えだが、利益分配をめぐるこの仕組みは、リバティが経営権を握ったことで生まれたものだ。しかし、ローマも一日にして成らずだ。私はそう考えている」

「リバティは昨年からMotoGPに関わるようになったばかりだ。いきなりリバティのところへ行って、『これが欲しい、あれが欲しい』と言うわけにはいかない。まずは彼らが何をできるのかを見極める必要がある」

「そして、全員にとって取り分が増えるようになれば、その利益を分け合えばいい。今は誰もが現在の取り分に満足していると思うし、それを土台に発展させていくべきだ。それが私の考えだ。最終的には、そうした妥協点が見つかった」

「今は、スポーツ全体をさらに発展させて、より多くの資金が入ってくる環境を作ることが重要だ。現時点では、まだそこまで到達していない」

Maverick Vinales, Red Bull KTM Tech 3

Maverick Vinales, Red Bull KTM Tech 3

Photo by: Gold and Goose Photography / Getty Images

 さらにシュタイナーは、利益配分を求めることにはリスクも伴うと指摘した。

「そういう動きは裏目に出る可能性もある。仮にメーカーやチーム全員で『利益の一部を分配してほしい』と要求したとしよう。ところが、その後で利益が減少したらどうなる? 決して賢いやり方とは言えない」

「誰もが『利益はこれからも増え続ける』と考えがちだ。でも、前へ進むためには、一度後退しなければならないこともある」

「そうしたリスクを考えれば、現状維持の方がいい。今はこのまま様子を見て、どう発展していくかを確認した上で、次の契約に向けて何が可能なのかを改めて話し合えばいい」

 今後5年間で、リバティ・メディア、MotoGPの商業権保有会社であるSEG、そして各チームがMotoGPというコンテンツをどのように発展させていくかが試されることになる。11チーム体制となったことで、そのための安定した土台は整った。

Race start

Race start

Photo by: Gold and Goose Photography / Getty Images

 スポーツ界全体を見渡すと、新型コロナウイルス禍以降、「巨大化」とも言える流れが広がっている。

 F1は年間24戦に加えスプリントレースを6回開催するまでカレンダーを拡大。MotoGPも年間22戦となり、すべてのグランプリでスプリントが実施されるようになった。さらにモータースポーツ以外で見れば、現在開催中のFIFAワールドカップも出場国が32から48へ拡大され、試合数は104試合となる。

 シュタイナーはこの流れについて次のように語った。

「これは社会全体の流れなんだと思う。人は常にもっと多くを求め、より多くを消費するようになっている。ただ、それを可能にするテクノロジーが発達したという面もある。そして、人々がそれを望む限り、そのニーズに応えなければならない。パンデミック後、その流れはほとんど際限なく加速した」

「唯一の限界は人間の身体だ。それ以上は物理的にできない。なぜパンデミック以降にそうなったのかは分からない。でも、世界は変化し続け、進化している。我々は常に以前より多くのものを与えられるようになった」

「アクセスも非常に簡単になった。昔はレースを見られるテレビチャンネルが1つあるだけで十分満足していた。でも今では、iPadやテレビ、スマートフォンなど、さまざまなデバイスから好きな方法で視聴できる」

 それでもシュタイナーは、いずれ飽和状態は訪れると考えている。

「限界に達すれば、市場は自然と落ち着くだろう。私は以前から、F1もいずれ飽和点を迎えるのではないかと心配していた。『24戦も見たくない。16戦くらいで十分だ』という人が出てくると思っていたからだ」

 しかし彼は、現在のF1はリバティ・メディアが適切なバランスを取ることに成功しており、その懸念は現実になっていないと評価している。

「スプリントもあれば、市街地コースもある。ナイトレースもある。それぞれのレースに独自の魅力があるから、人々は見続けるんだ」

「もしすべてが画一的だったら、24戦ものレースを成功させるのは難しかっただろう」

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