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昇格から大苦戦のチャントラ、MotoGPシート喪失? ホンダがLCR出光の”アジア人”起用を再考か

LCRからMotoGPクラスに昇格したソムキアット・チャントラの不振によって、ホンダと出光はプロジェクトへのアプローチ再考を余儀なくされているようだ。

Somkiat Chantra, Team LCR Honda

写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 ソムキアット・チャントラのMotoGPデビューシーズンでの低迷と、それに代わる有望なアジア人ライダーの不在が、ホンダに出光とのアジア人ライダー育成プロジェクトの方針見直しを迫っている。

 このプロジェクトは「アジア人ライダーを最高峰クラスへ育成する」という理念のもとに発足したが、現実的な運用は予想以上に困難であることが浮き彫りになってきた。とりわけ、ホンダがRC213Vの戦闘力不足を解消し、最速ドゥカティとのギャップを埋めることに注力している現状ならば、なおさらだ。開発に寄与できないライダーに貴重なホンダ陣営4台のうち1台を託す戦略は、たとえアジア人ライダーの起用がマーケティング上で強力な意味を持っているとしても、適切とは言いがたい。

 そしてmotorsport.comの調べでは、チャントラの今季前半戦での競争力不足が、ホンダ上層部に「LCRの1台をアジア人に割り当てる」義務の再検討をせざるを得なくさせていることが分かった。

 チャントラは現在負傷離脱中であり、今週末の第12戦チェコGPでは中上貴晶が代役として復帰する。中上は、いわゆる「アジア人ルート」の先駆者であり、チャントラの先輩にあたる。

 チャントラ起用には、日本人ライダーの小椋藍が育成として長年を過ごしてきたホンダを離れてトラックハウスに加入し、アプリリア陣営からMotoGPデビューするという決断を下した背景がある

 そして小椋が選択肢ではなくなった後、出光との関係からホンダはアジア人ライダーの選出を迫られ、チャントラが次点として浮上した。

 しかし、チャントラのMoto2での成績は小椋とは大きな差があり、ランキングは12位、Moto2王者となった小椋との差は170ポイントも離されていた。チャントラはそうした状況の中でMotoGP初のタイ人ライダーとして昇格したものの、なにか劇的な変化がなければ、2025年でそのキャリアが終了する可能性が高い。

Somkiat Chantra, Team LCR Honda

Somkiat Chantra, Team LCR Honda

Foto de: LCR Honda MotoGP Team

 現在LCRは、チャントラの総合的なレベル向上に対して数ヵ月にわたり尽力している。しかし、サーキットでのストップウォッチは嘘をつくことができない。

 直近の参戦レースであるオランダGPでチャントラは、優勝したマルク・マルケス(ドゥカティ)から49秒、チームメイトのヨハン・ザルコから25秒遅れでフィニッシュ。最下位を免れたのは、ホンダのテストライダーであるアレイシ・エスパルガロが彼に順位を譲ったためだ。これが彼にとってMotoGPクラスで初めてのポイント(15位)となったが、それ以外のリザルトは芳しくない。

 そしてチャントラのデータはRC213Vの開発に使用されておらず、実質的にホンダは3台体制で開発を行っている状況にある。この状況にはLCRのスポンサーからも不満の声が挙がっているとされる。

Moto2のディオゴ・モレイラ

Moto2のディオゴ・モレイラ

写真: Gold and Goose Photography / LAT Images / via Getty Images

 さらに、チャントラにはトレーニングにおける自己管理や規律面でも、MotoGPライダーとしての基準を満たしていないという指摘がある。ホンダも、チャントラに対してすぐにパフォーマンスを発揮する保証はないと分かっていたものの、ここまで差が大きくなるとは予想していなかったはずだ。

 前任ライダーである中上は2018年にMotoGPに昇格し、7シーズンを戦った。彼は表彰台にこそ届かなかったが、初年度には雨のバレンシアGPで6位、2019〜2020年にはトップ8常連の一員として安定した成績を残しており、4位も3回記録。ポールポジション獲得も記録してきた。

 もちろん相対的なマシン戦闘力に違いはあるが、中上と比較すると、チャントラが同様の成績を残す可能性は限りなく低いというのが現実だ。そしてチャントラの将来が不透明な中、ホンダは2026年以降の選択肢を模索し始めている。MotoGPの興行面では、タイ人ライダーの存在が望まれているとしても、だ。

 ホルヘ・マルティン(アプリリア)のホンダ加入が少なくとも2027年までは実現しないことが明らかになった今、ホンダはいくつかのシナリオを検討している。

 ホンダのファクトリーチームで走るジョアン・ミルは2026年末まで契約を有しており、僚友のルカ・マリーニは今季末で契約満了となる。マリーニは現時点で十分な貢献をしており、ホンダがファクトリーチームの適切な後任を見つけ出せれば、LCRでザルコとともに活躍できる可能性がある。

 その中で、ホンダのMotoGPライダー候補としてMoto2のディオゴ・モレイラの名前が新たに浮上している。この若手ライダーは2025年以降のキャリアパスを今夏の間に決断する見通しだ。

 なおモレイラはMoto2で2年目の今シーズン、ここまで1勝を含む表彰台3回という成績で、ランキングはドイツGP終了時点で3番手となっている。

 

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