ペトルッチ、MotoGP電撃帰還の裏側は!? 「人生の中でも最大の贈り物! 雨が続くとイイね」
MotoGP第17戦タイGPでジョアン・ミルの代役に起用されたダニーロ・ペトルッチ。彼は急遽決まったこのMotoGP復帰について詳細を語った。
写真:: KTM Images
ダニーロ・ペトルッチは2021年シーズンを最後にMotoGPのシートを失っていたが、2022年第17戦タイGPでMotoGPに電撃復帰することになった。彼は改めてその詳細を語った。
ミルは8月のオーストリアGPでクラッシュし右足を負傷、以後レースの欠場が続いている。先週行なわれた日本GPではテストライダーの津田拓也が代役を務めていた。
連戦のタイGPに向けては27日にスズキがミルの代役を発表。今もドゥカティ陣営でライディングしているペトルッチが起用されたことは驚きをもって迎えられた。
ペトルッチは2022年1月にはダカール・ラリーに参戦。MotoGP優勝とダカールのステージ優勝を達成した初のライダーとなった。その後、彼はモトアメリカへの挑戦をスタートさせると、実力を発揮しチャンピオン争いを展開した。
そして、スズキからミルの代役としてMotoGPへの復帰オファーがもたらされたのは、チャンピオン争い真っ只中の最終戦アラバマのタイミングだったという。
「先週日曜日、まだアラバマでのレース前、つまりタイトルを争っていたときに電話を貰ったんだ」と、ペトルッチはタイGPを前に語った。
「だから『考えさせてくれ。もう引退した身だし、タイでのレースは万全のときでもキツイんだ。あれから年も取ったし、もっとタフだろうから』と答えていた」
「天候が少しでも僕の助けになってくれることを願っているよ。それで、アラバマでのレース後、18時にテントへ戻ると、マネージャーが『アメリカからタイに行くのに時間がもう無いから決めて』と言うんだ」
「それで僕は『OK、行くよ』と答えた。そこからは洗濯機で回される衣服のようだったよ。そしてここに到着したわけだけど、バイクに乗るのが待ちきれない。たとえ一人きりで、バイクも全く異なるモノであってもね」
「でも僕の感情がどれだけ動いたかを説明するのは難しいだろう。KTMからダカールに出て、アメリカでドゥカティとレースをして、そしてスズキに乗る……ヒッチコックだってこんなストーリーは書けなかっただろう」
「これは僕の人生の中でも最大の贈り物だ。こんな贈り物をしてくれた、モータースポーツ界の全ての人達にありがとうと言いたい……KTM、ドゥカティそしてスズキはみんな僕に良くしてくれているんだ」
Danilo Petrucci, Suzuki MotoGP Team
Photo by: Suzuki MotoGP
なおペトルッチは今回の代役参戦にあたって、自身の休暇、兄弟の休暇を犠牲にしている。ペトルッチ本人はもとより、イタリアへスズキのレザースーツを取りに行く役割を兄弟に頼まなければならなかったのだ。
そんな経緯でスズキのGSX-RRに乗ることになったペトルッチ。しかし彼はこれまでに直列4気筒エンジンのマシンを走らせた経験は少ない。さらに代役ということで、ミルのマシンに適応することも、チャレンジになるだろうと彼も認めている。
「(スズキの)バイクに跨るチャンスは無かった。でも彼らは全てを僕に公開してくれていて、デバイス類もポジションが違っていることは分かっている」
「それを直していくこともできない。僕は普段サムブレーキを使っているんだけど、(スズキでは)そこにはライドハイトデバイスのボタンがある。コーナーで間違えて押してしまったらすごく危険なんだ。だからそこに触らないようにしておく必要があるね」
なおタイGPは週末に雨の予報がでている。ペトルッチといえば雨で強さを発揮するライダーの一人だったが、彼も週末が雨になれば助けになるだろうと考えている。
「ああ、日曜日午後4時まで雨が降り続いてくれればと思うよ。少なくとも体への負担は減るからね」
「雨が降ってくれることを期待している。以前ここに来たときは、もう恐怖だったんだ。ドライコンディションでとても暑くて、人間がチャレンジできる最悪のコンディションのひとつだったんだ」
「だからウエットが続くといいなと思っているんだ。色々と緩和してくれるし、僕も楽しんでレースを終えたいからね」
「最後尾じゃない位置でフィニッシュするのは難しいとは思うけど、バイクは多分凄く良いだろうし、乗り方を把握して他のライダーにできるだけ接近していたい」
「ダカールのときにも同じことを言っていたと思うけど、結果は気にしない。でも全力でプッシュしたいだけなんだ。もちろん、速く走りたいけどね」
なおタイGPのFP1は予報に反してドライコンディションで行なわれており、ペトルッチは24人中22番手タイムを記録している。
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