初優勝果たしたアプリリア、優遇措置を失うのはいつ? コンセッション制度解説
MotoGPでは現在アプリリアが唯一コンセッション(優遇措置)適用チームとなっている。2022年第3戦アルゼンチンGPで初優勝を果たしたアプリリアだが、彼らがコンセッションを失う条件は何だろうか?
写真:: Aprilia Racing
MotoGPの2022年シーズンは第4戦までを消化。開幕戦ではグレシーニのエネア・バスティアニーニが初優勝を挙げるなど、近年のMotoGPらしい混戦が続いている。
そんな中アプリリアは、第3戦アルゼンチンGPでアレイシ・エスパルガロの手によってMotoGP初優勝。2015年の参戦開始から苦しい時期が続いていたが、ついに表彰台の頂点を掴んだことで、大きな注目を集めた。
アプリリアは、現在最高峰クラスに参戦するホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティ、KTM、アプリリアの6メーカーのうち、唯一コンセッション(優遇措置)の適用を受けている。ただ今回の優勝で、彼らはこの優遇措置の喪失に大きく近づいた。彼らがコンセッションを失う条件、コンセッションシステムの恩恵について改めて確認する。
コンセッション制度は2014年に導入された。対象となるのは2013年以降の新規参入メーカー、同年以降にドライコンディションで勝利を上げていないメーカーとされた。当時、この制度による恩恵を受けることができたのはドゥカティのみだったが、2015年以降にスズキ、アプリリア、KTMと各メーカーが参入してきたことで、彼らも対象となった。
ではコンセッション制度でどんな優遇措置が受けられるのか? 代表的な恩恵は次のようなものがある。
■開発上のアドバンテージ
対象メーカーは年間にエンジンを9基使用することができる(通常は7基)。またホモロゲーション規定も対象外となり、シーズン中にエンジンのアップデートが可能となる。またシーズン中に1回以上のエアロダイナミクスのアップデートを行なうことも可能だ。
■テストの自由
コンセッション適用メーカーは、プライベートテストでレギュラーライダーを起用可能である。またいつ、どのサーキットにおいても、テスト用のタイヤ供給範囲内でテストを実施することが可能になる。
さらにワイルドカード参戦も6回(通常は3回まで)可能であり、マシン開発におけるデータ収集を加速できる。
■コンセッションを失う条件は?
コンセッションを受けられるメーカーは、ドライ及びウエットのレース結果によるコンセッションポイントの獲得数によって、資格喪失が決まる。1位=3ポイント、2位=2ポイント、3位=1ポイントとなっていて、合計6ポイントを獲得した段階でコンセッションを失う。なおこのポイントは2年間有効とされている。
アプリリアは2021年シーズンのイギリスGPで初表彰台(3位)を獲得。今年のアルゼンチンGPでの優勝によって3ポイントが加算され、現在はコンセッションポイント4点という状況だ。
つまりアプリリアはこの先3位を2回、もしくは2位か優勝を1回記録した段階でコンセッションを失う6点に到達し、その時点で資格を喪失することになる。
コンセッションポイントが6点に到達すると、その時点でテストの自由が失われ、レギュラーライダーが参加してのプライベートテストは行なえなくなる。そして翌年からはエンジン開発のアドバンテージなども失うことになる。
なおコンセッションは一度失ったあと、再び対象に戻ることもある。スズキは2017年にコンセッション非適用メーカーとなったものの、その後しばらく表彰台(コンセッションポイント)を獲得できなかったため、翌2018年は再びコンセッション適用となった。
2022年のMotoGPは残るところ17レース。アプリリアがさらに飛躍しコンセッション適用外となり、2023年から他メーカーと同一条件で戦うことになるかどうかは、今シーズンの注目ポイントのひとつである。
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