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今や最も“乗り手を選ばない”バイクに……ドゥカティはデスモセディチGPをどう開発したのか?

MotoGPには現在6メーカーが参戦しているが、記念はドゥカティのライダーの選ばなさ、オールラウンダーさが際立ってきている。かつてはケーシー・ストーナーしか乗りこなせないとまで言われていたマシンは、今や最も乗り手を選ばないマシンとなっている。

Enea Bastianini, Esponsorama Racing

写真:: Gold and Goose / Motorsport Images

 MotoGP2021年シーズンの第14戦サンマリノGPで、エネア・バスティアニーニ(エスポンソラマ)が3位となり、キャリア初表彰台を獲得。これでドゥカティ勢は6人中5人が表彰台を獲得していることになった。今ではドゥカティのデスモセディチGPは、グリッド上でも最も多様なライダーの要求に応えることのできるマシンとなっているが、彼らはどのようにしてこのマシンを開発してきたのだろうか。

 サンマリノGPで、バスティアニーニは2019年型のマシンにもかかわらず、3位を獲得。さらに優勝はドゥカティファクトリーチームのフランチェスコ・バニャイヤと、彼らのマシンがごく一部のライダーしか乗りこなせないモノではないという、ドゥカティにとってポジティブな状況にあることが分かる。

 “多様なライダーが乗りこなせる”……それは結果の面でも明らかだ。ドゥカティは今シーズン、3人のライダー(ジャック・ミラー、バニャイヤ、ホルヘ・マルティン)が勝利を挙げているが、それはドゥカティ有利と目されているレッドブルリンク以外のコース、ヘレスやル・マンでの勝利が含まれている。

 さらに他メーカーとの比較でもドゥカティが乗り手に対する許容度が広いことは見て取れる。ヤマハは今季6勝となっているが、内5勝はファビオ・クアルタラロが記録している。ホンダは昨年大きな怪我を負い、その影響に苦しんでいるはずのマルク・マルケスしか勝利できていない状況だ。

 またヤマハは今シーズン12回の表彰台を記録しているが、75%はクアルタラロの手によるものとなっている。

 ドゥカティは対照的に表彰台獲得の割合が分散している。サンマリノGPまででドゥカティ勢は17回表彰台に上っているが、6つ(5%)がバニャイヤ、4つ(23.5%)がヨハン・ザルコ、3つ(17.6%)がミラーとマルティン、そして残る1つ(5.8%)はバスティアニーニという内訳だ。

Polesitter Jorge Martin, Pramac Racing, second place Fabio Quartararo, Yamaha Factory Racing, third place Francesco Bagnaia, Ducati Team

Polesitter Jorge Martin, Pramac Racing, second place Fabio Quartararo, Yamaha Factory Racing, third place Francesco Bagnaia, Ducati Team

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

「ドゥカティは、僕らの5歩先にいる」

 そう語るのは、サンマリノGPでバスティアニーニに先着を許したアレックス・リンス(スズキ)だ。

 レプソル・ホンダのポル・エスパルガロも「ドゥカティは、異なるライディングスタイルを備えているライダー達、マルティンのようなライダーでも上手く機能している」と、ドゥカティ全体としての強さを評価する。

「彼ら全員が速いのは凄いことだよ」

 ドゥカティの躍進と競争力の高さの背景には、プロジェクトを率いているゼネラルマネージャーであるジジ・ダッリーニャの存在がある。

「ドゥカティはサテライトチームのライダーを含め、全てのライダーにしっかり注意を払っており、それによってバイクの抱えている問題と、その全体像を把握することができた」

「様々な領域でバイクが進歩するのは、理論上(バイクの改善に対する)リーダーがいたとしても、そのライダーにとっても利益となるものだ」

 デスモセディチGPのライダーを選ばない強さについては、以前からスポーティングディレクターのパオロ・チアバッティが言及している。

「我々としては、ドゥカティである限り、誰が勝つかは気にしていない」と、チアバッティは1年前に語っていた。

「結局のところ、プラマックへのサポートは実質的にファクトリーチームと同一なんだ」

 しかし2021年に向けて何も懸念がなかったわけではない。ドゥカティは今シーズン、チームの若返りを図っており、2017年~2019年にかけてランキング2位を記録したアンドレア・ドヴィツィオーゾ、そしてダニーロ・ペトルッチを解任し、ミラーとバニャイヤという若手コンビを起用したのだ。このラインアップ一新には疑念も生じることになったが、今ではそう口にするものは少ない。

「こうした重要な変更を加える際には、なにかしら疑念を抱くものだ」と、チアバッティは回顧する。

「だが未来としてその方向に進んでいるし、それは示されている。若手ライダーが非常に速く適応可能だということも明らかとなった」

 ドゥカティ新世代の筆頭はバニャイヤだろう。彼は第16戦エミリア・ロマーニャGPでクアルタラロにチャンピオンシップ総合優勝を許してしまったものの、ポールポジションも4連続で獲得するなど、非凡な速さを示している。

Jack Miller, Ducati Team, Francesco Bagnaia, Ducati Team

Jack Miller, Ducati Team, Francesco Bagnaia, Ducati Team

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

 現在24歳とまだまだ若いバニャイヤ。前任のドヴィツィオーゾは35歳とベテランで、ドゥカティのマシンを3年連続でランキング2位に押し上げるなど活躍していたが、実績と考え方から、ダッリーニャとは衝突しがちだった。

「そうは言っても、ドヴィツィオーゾからの過去数年の要求全てが、現在のバイクの競争力に、大きな影響を及ぼしている」と、ドゥカティの関係者はその功績を伝えている。

「アンドレアはターンインの点にかなり不満を述べていた。そして今、それは明らかに改善されている」

 ドゥカティのラインアップ一新は、ダッリーニャとの対立解消という面でも間違いなく効果を発揮し、内部の硬直を取り除くことにもつながっている。

「多くの理由があるが、ライダーの世代交代がガレージ内に影響を及ぼしているのは事実だ」と、チアバッティ。

「長年、一人のライダーがリードしてきていて、少し凝り固まった状況があった」

「ジャックとペッコの到来によって、フレッシュな空気がもたらされた。それだけでなく、彼らはファクトリーチームでの契約のチャンスを与えてくれた人たちに、非常に感謝してくれている」

「ドヴィのケースでは、彼の成し遂げてきたことに対して、ドゥカティが恩義を感じていたと思う」

 

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