MotoGP オーストリアGP

20歳の新人ライダーがKTM陣営のリーダーに? アコスタがMotoGPで示す資質

ペドロ・アコスタは2024年にMotoGPクラスデビューを果たしたばかりの新人だが、既にKTMのプロジェクトにおけるリーダー的な役割を担おうとしている。

Pedro Acosta, Red Bull GASGAS Tech3

 2024年のMotoGPにおける唯一のルーキーであるペドロ・アコスタ。GASGASからデビューした彼は、既にKTM陣営を引っ張る存在になりつつある。

 アコスタは2021年にMoto3クラスへデビューして新人ながらに王者となり、その後Moto2を2年で卒業。次世代のスターとして大きな注目を集め、今年はついに最高峰クラスへと足を踏み入れた。そして今や彼は最も成功したライダーのひとりとなるために、大いに有用な別の資質を示しつつある。

 まだ弱冠20歳ということを考えれば、ライダーとして自分のライディングに集中し、より大きな問題はチームに任せたいと思うものだろう。しかしアコスタは自らの手で物事を進めて行き、KTMのMotoGPプログラムの見直しすら支援している。

 KTMはMotoGPクラスへの挑戦を初めて以来成長を続けてきたが、今シーズンは開発が停滞。アコスタはこの状況を打破するために、ファクトリーに対する働きかけを行なっている。

 それは自分のための行動とも言えるが、彼は将来的に優勝やタイトル争いに挑むための適切な要素を、KTMがもたらしてくれるかどうかを確かめたいと考えているのだ。ただ、通常なら経験豊富なライダーが担うような役割を、今のアコスタが負っていることは印象的という他ない。

 GASGAS/テック3のエルベ・ポンシャラル代表はこれまで多くの若手ライダーを起用してきたが、アコスタの凄さについてイギリスGPで次のように語った。

「ペドロはメディア向けのデブリーフィングで非常に興味深いことを言っていた。たしか『僕は成長が早すぎたかもしれない』とね」

 ポンシャラルはそう語る。

「我々は彼がまだルーキーだということを忘れてはいけない。たしかに開幕3戦では既に彼がレースで勝てるポテンシャルを持っていることを確認したし、マルク・マルケスの最年少優勝記録を更新できる可能性すら見せてきた。だが彼は新人であり、そして同時に野心だって持っている」

Pedro Acosta, Red Bull GASGAS Tech3

Pedro Acosta, Red Bull GASGAS Tech3

Photo by: Rob Gray / Polarity Photo

「彼はこのプロジェクトの一員である以上、自分のことを新人だとはみなしていないし、プロジェクトをプッシュしたいと感じている」

「今年はルーキーシーズンだが、だからといって残りのレースで何か素晴らしい結果を残したいという野心がないというわけじゃない……。ただ、みんなが2025年に向けて既に集中しているんだ」

 そしてポンシャラル代表は、アコスタは目的意識が非常に強い人物であり、KTMの計画にできるだけ関与したいと考えているのだと明かした。

「アコスタには野心があり、そして非常に大きな情熱を持ってこのプロジェクトに参加したいと考えている」

「彼がこのプロジェクトの成功をどれほど望んでいて、それにどれだけ関わっているかを外部から見守るのは非常に興味深いことだ」

「ポール・トレバサン(クルーチーフ)と一緒に本当にプッシュしている。我々の行き先は今後分かってくるだろう」

 アコスタはMotoGPが夏休みに入った後、オーストリアにあるKTMのファクトリーを訪問したことは既に報じられている通りだ。彼はMotoGPプロジェクトに関わっている多くの人と時間を使って話し合い、運営についてより理解を深め、ファクトリーの現場に至るまでバイクのフィードバックを提供していた。

 アコスタの現場訪問について尋ねられたポンシャラル代表は、価値のあることだと語った。

「私はそう(価値があると)思っている。現時点ですぐにラップタイム上でどれだけ結果をもたらすかは分からないが、情報を交換し、共有することはとても興味深いことだ」

「MotoGPのプロジェクトに取り組んでいる人はたくさんいて、その人達が常にレース現場に来ているわけではない。ペドロはここに来ない人達も含めて、全ての人に会うことが重要だと感じていたんだ」

「そしてその気持ちを伝えた。彼の好みや希望していること、今のパッケージの強みや弱みを伝えたんだ。これはオーストリアにいるMotoGPに関わる全員から好評だった。ライダーのモチベーションを示す出来事だと思う」

「オーストリアを訪れることは、彼のやることリストのトップにあったと思う。(旅行地として有名な)イビサ島に行くよりもね!」

 

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