ザルコは“感情的すぎた”? KTM、ザルコの参戦中止理由を明かす
KTMは今季限りでの離脱が決定していたヨハン・ザルコを、アラゴンGP以降は走行させないことを決定したが、その理由はザルコがネガティブな姿勢を変えない点にあったと明かした。

MotoGP第11戦オーストリアGP終了後、KTMは2年契約で今季からチームに加入したヨハン・ザルコとの契約を、今年限りで早期に終了することを公表した。
ザルコは鳴り物入りでKTMへ加入したが、前半戦はマシンの適応に苦しみ、トップ10フィニッシュも難しい状況が続いていた。そしてザルコはKTMからの離脱を自らチーム側に要望したことで、こうした決定に至った。
また第14戦アラゴンGPからは、ザルコに代わってテストライダーのミカ・カリオを残り6戦に渡って起用することが明かされた。
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KTMのモータースポーツディレクターであるピット・ベイラーによると、この決定の理由として、KTMがマシンを改善してきているにも関わらず、ザルコがネガティブな考え方を変えようとしない点を挙げている。
前戦サンマリノGPでは、ザルコはKTMへ加入してから最も力強い週末を過ごしていた。にもかかわらず彼の顔は浮かばない様子だったが、そうした反応がカリオとの交代の一因なのかを訊くと、ベイラーは「正直に言うと、イエスだ」と語った。
「先週に(サンマリノGP)踏んだステップを、我々は本当に誇りに思っていたし、満足していた。またその進歩が彼を助ける所を確かに見たんだ」
「サンマリノGPの予選は傑出したものだった。彼はQ2に進出したが、新品のタイヤは使っていなかった。ユーズドタイヤだったんだ。だからQ1からQ2にかけて記録したラップタイムは、ヨハンがこのバイクで示せる力の一部を見せていた。君たちもそれを見ただろう」
「週末の間は問題なかったが、レース後の月曜日には“ザルコは満足していない”というニュースが届いた。そして私は物事を好転できるという“希望”を失ったんだ」
「私にはこのプロジェクト全体に対しての責任がある。物事が上手く回り始めたとしても、プロジェクトの半分(ザルコ)は悲しい状況にあるかもしれないんだ。なぜならチームが懸命に改善に取り組んでいても、常に同じところに着地してしまう。それがこの決定が必要となった瞬間だ」
「クルーたちに送るシグナルが必要だと考えたんだ。ポジティブな姿勢を崩さず、そして改善に取り組み続けるというシグナルをね」
チームマネージャーのマイク・レイトナーは、サンマリノGPのウォームアップセッションでザルコが喫したクラッシュも要因だと話した。
「彼が怪我をしなかったのは本当に運が良かった」と、レイトナーは言う。
「そして『彼が既にプロジェクトを辞めることを決めているのに、あと6レースを託すことは正しいやり方なのか』と考え始める事になったんだ」
また、ベイラーはザルコが“感情的すぎる”ため、はっきりしたフィードバックには適さないという考えを示した。
彼はザルコが“特殊な性格”で“良い青年”だという見方を明らかにしたが、感情をコントロールできないという側面が、KTMでの走行継続を難しくしたと語っている。
「彼(ザルコ)は感情をコントロールできていなかった。物事がうまく行っていない時、彼は自分にかなりストレスをかけていた」
「MotoGPといったレベルの競技で成功を収めるためには、もちろんある瞬間はパワフルに、感情的である必要があると思う。だが同時に冷静かつ分析する状況も必要とされるんだ。だけど彼は超が付くほど熱かった。ピット外へ出て話す時は、全てが穏やかなんだがね」
「しかしマシンに乗った時……ミサノのように上手く行っている時でさえ、彼はポジティブな点を見ず、依然として同じ不満を訴えていた。マシン開発に明確な方向性を与えるには、彼は感情的で熱くなりすぎるんだ」
Additional reporting by German Garcia Casanova

Johann Zarco, Red Bull KTM Factory Racing
Photo by: Gold and Goose / LAT Images
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