MotoGP サンマリノGP
KTM、伝統のスチール捨て”カーボン製の新シャシー”をテスト中……貪欲開発に欧州勢の勢いが透けて見える?
KTMはMotoGPサンマリノGPでカーボンファイバー製のシャシーをテストしていた。貪欲な開発を見せるKTMだが、ヨーロッパメーカーの”立ち止まらない”姿勢をよく表したモノだといえそうだ。

Lewis Duncan
公開日時: 2023/09/09 7:18
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MotoGP第12戦サンマリノGPで、KTMは新型のカーボンファイバー製シャシーをテストしている。こうした貪欲な開発は、勢いを増すヨーロッパメーカーの姿を反映したモノだといえそうだ。
サンマリノGPにはKTMのテストライダーであるダニ・ペドロサがワイルドカード参戦しているが、その彼がカーボンファイバー製のシャシーをテストしていたことで、パドック内でも注目を集めることになった。
ただカーボンファイバー製シャシーはMotoGPにおいて今回が初の事例ではない。2009~2011年にかけてドゥカティが使用していた事例があるためだ。
ただそのドゥカティも2012年からは、アルミニウム製のグリッド上で最もポピュラーな素材にスイッチしている。その後KTMが2017年にMotoGPに彼らのDNAでもあるスチール製トラスシャシーで参戦するまでは、アルミニウム製シャシーがグリッドを占めていた。
参戦以来、KTMは他メーカーのようにアルミニウム製のシャシーに切り替えることで競争力を確保するという“誘惑”をはねのけてきた。スチール製のシャシーを使い続け、競争力も発揮するようになった。
そんなKTMが今回サンマリノGPでテストしたカーボンファイバー製シャシーは当然、注目の的になった。ペドロサはこのシャシーについてまだテスト段階であると主張しているが、ここ数年見られてきたカーボン補強などよりもコンセプトが進んでいることは明らかだ。
テストしているシャシーについて聞かれたペドロサは、慎重な様子で以下のように答えている。
「僕らは異なるシャシーを使用している。まだテスト中で、色々な情報を収集しているんだ」
「詳細については言えないけど、フィーリングが違うのは確かだ」
「今はテスト中で、今週末に得られる全ての情報をまとめ、将来に向けて更に多くのデータを集める予定だ」
Pedrosa finished third in practice riding KTM's new carbon fibre chassis
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
KTMがこの新型シャシー開発を進めている背景には、彼らのアキレス腱となっているコーナリングとグリップの向上を目指す意図があるはずだ。オーストリアGPなどは彼らの弱点の良い例となっており、ドゥカティに対してKTMが馬力で対抗できていても、コーナーからの加速でドゥカティ・デスモセディチGPに匹敵できていないことが示されていた。
ただ純粋なパフォーマンスの面で、カーボンファイバー製シャシーがどの程度その改善に寄与できてるかを見ることは難しい。ただ少なくともペドロサは速さを見せており、KTM陣営の中で最速となる3番手タイムで予選Q2へ進んでいる。
このシャシーはサンマリノGP終了後の公式テストでKTMライダーによってテストされることになり、そこで次のステップがどうなるかが判明するだろう。
そしてKTM開発のカーボンファイバー製シャシーは、単なる新パーツということ以上に、ヨーロッパメーカーが立ち止まることをいかに避けようとしているかを表しているモノだと言える。
ドゥカティ、KTM、アプリリアらのヨーロッパメーカーはここ数年マシン開発の様々な分野で最前線を走っている。一方でヤマハとホンダの日本勢は非常に苦しんでおり、旧来の考えからからの脱却に向けて奮闘している状況にある。
KTMのスチール製シャシーは長年様々な分野で成功を納め、MotoGPにおいても一定の成功を示してきた。しかしタイトル争いの候補となるための最後の一歩を踏み出すため、KTMはその”枠”から外れる考え方に目を向けることを恐れていない。
ペドロサは長くホンダに在籍し、日本とヨーロッパの両方のメーカーで働いた経験を持っているが、次のようにKTMの特徴を語った。
「KTMについてしか語れないけれど、彼らはご覧の通りベストを尽くそうとしている。KTMは新しいテクノロジーや方法に対して非常にオープンだと思うし、チームは非常に上手く機能している」
MotoGPでは、各陣営が投入する新パーツを常に監視し合っている。2024年のプレシーズンテストが始まった時には、各チームのピットにはカーボンファイバー製シャシーのバイクが並んでいるかもしれない。
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