マルケス「新型バイクには失望していない」一方で“昔はもっと簡単だった”と懐かしむ様子も

　MotoGP2022年シーズン、ホンダはRC213Vの設計を抜本的に変更。これまで課題とされてきたリヤグリップを重視したマシンを投入した。

　開幕前は高い評価が聞こえていた新型だったが、カタールGPでポル・エスパルガロ（レプソル・ホンダ）が3位を獲得して以来、苦しい状況が続いている。

　特にマルク・マルケス（レプソル・ホンダ）はこの新型RC213Vの特性と彼のライディングスタイルを適応させることに苦しんでおり、ベストリザルトは開幕戦の5位に留まっている状況にある。

　母国戦スペインGPの予選で、マルケスは5番手を確保。ただこのポジションを確保するためにどれだけハードにプッシュしなくてはならなかったかを考えると、新型バイクの方向性にはガッカリしているのではないか？　と訊かれるまでになった。

　しかしマルケスは「失望はしていないよ。大きな変更があったのは確かだけどね」と答えた。

「いろいろ話は聞こえてくるけど、僕はこの変化に賛成だ。でも他メーカーのバイクのほうが、全てがもっと自然なのも確かだ」

「RC213Vは僕が2013年から乗っているバイクで、小さな進化はありつつも、キャラクターとしては同じだった」

「そして今、マシンには大きな変更が入った。ホンダですら多くのことを理解しようとしているんだ」

「例えば、ポルはまた違った方法でライディングしている」

「彼は速い。たとえ13番手スタートだとしても、新型バイクでの彼のライディングは僕よりも優れている。彼が乗っていたKTMと少し似ているんじゃないかと思う」

「それで、僕はライディングスタイルの面で改善が必要なんだ」

　マルケスはスペインGP初日には19番手と後方に沈んでいた。ただこれはセットアップの変更を試していたためだと彼は説明している。

　結局セッティングは戻すことになったというが、マルケスはブレーキング時やコーナリング時のフロントタイヤに依然として苦しんでいる状況にあると話した。

「この新型バイクでは大きな違いがあるのは事実だ」

「違った方法で乗らないといけないんだ。昨日（スペインGP初日）、僕は根本的に自分のライディングスタイルをこのバイクに合わせる努力をしなければと話していたと思う。でも、このバイクではそうしたライディングができないんだ」

「それで今日は、僕の乗りたいように乗れる方向へ（セッティングを）戻した。それが今日やったことだ」

「以前のものに戻しただけだ。だいたいは他のホンダ勢と同じベースなんだ」

「でも僕の場合、まだフロントにかなり苦しんでいる。（コーナーの）方向転換が遅い」

「ここはできるだけ急いで理解しなくちゃならない部分だ。ちょっとでもプッシュしようとすると、簡単にクラッシュしてしまうからね」

　なおレースに向けてマルケスは予選で5番手とまずまずの位置に並んだにも関わらず、表彰台を争えるとは思っていないようで、”5～7番手”が現実的な目標だと語っている。

「期待が高まりすぎていると、フラストレーションが溜まることもある」

「僕の予想では、今日は3列目だろうと思っていた。でもセカンドロウを手にできたから、ハッピーだ」

「昨日は19番手になっていたし、ポルティマオでは勝者から16秒の差をつけられていた。目標に対して常に楽観的であることも必要だけど、同時に達成可能なことを狙っていくんだ」

「明日、僕らが狙えるのは良いレースをしても5位、6位、7位だ」

「もちろん、表彰台や優勝を目指したいところだけど、今の僕らはその準備ができていない」

「過去は過去で、今は今だ。昔は全てがより簡単だったけど、今は全てがより難しくなっているんだ」