予選9番手マルケス、大クラッシュの心的影響は大きい？　「自分を信じられなかった。それだけ」

　サーキット・オブ・ジ・アメリカズ（COTA）で行なわれているMotoGP第4戦アメリカズGPの予選を、マルク・マルケス（レプソル・ホンダ）は9番手タイムで終了。得意のコースながらも3列目に終わった要因は、自分を信じられなかったからだという。

　マルケスは第2戦インドネシアGPで喫した転倒の結果、右目の複視が再発。第3戦アルゼンチンGPを欠場したものの、アメリカズGPでスピード復帰を果たした。

　COTAは、マルケスが非常に得意としているコース。2013年から開催されたこれまでの8戦中、7戦で勝利を挙げている実績のある場所だ。

　ただマルケスは復帰戦に向けて過剰な期待は抱いておらず、復帰への不安や”自信”を取り戻すことを目指すと開幕前に言及するなど、これまでとは違った姿も垣間見えた。

　そして予選では9番手に沈んだマルケス。その要因は、シンプルに自分を信じられなかったからだと話した。

「予選では、自分自身を信じられなかった。それだけだよ。週末を通じて、僕は自分のリズムで上手くやってきた。でもQ2でトラフィックの中での走行は、プッシュできなかった」

「後半、2本目のタイヤでのアタックでは問題があって思ったようなアタックができなかった。フロントロウは不可能だったし、2列目が目指すポジションだと思っていた。9番手というのもラッキーだよ。僕としては最悪のラップだったしね」

　なお予選後には、ファビオ・クアルタラロ（ヤマハ）が9番手スタートながらもマルケスが優勝有力候補だと指摘していた。しかしマルケス本人は、そうした考えを否定している。

「9番手から優勝候補にはなれないよ。振り返ってもらえば、僕が凄く変な週末を送っているのが分かるだろう」

「でも、それが生き残るための唯一の道だった。初日は何周かしかプッシュしていなかったし、予選でもプッシュしたのは数周だけだ。FP4が唯一通常の練習走行で、自分のペースを理解しようとしていた。これが今の僕の取り組み方なんだ」

　マルケスは衝撃的なハイサイドからわずか3週間で復帰。これまでも幾度となくクラッシュを経験し、立ち上がってきたマルケスだが、インドネシアGPでのクラッシュの経験は忘れがたい様子だ。

「人生でも最悪の凄いクラッシュといえる週末から戻ってきて、木曜日には気分が優れないと話していたよね。そうした状況では、疑念を抱いてしまうのは普通のことだ」

「予選で新品タイヤを使用した時も、快適とは感じられていなかったし、ちょっと怖さを感じていて、プッシュしなかった」

「インドネシアでは新タイヤを履く度にプッシュして、そのたびに転倒していた。その後2週間を経て、今ここにいるのは重要なことだ。でも、今週末は攻撃的になることができない」

　マルケスの2022年シーズンの転倒や苦戦には、新型RC213Vの設計がリヤをより重視したものへ変わったことも要因として存在すると見られている。ただ彼は、その設計について”ホンダのDNAではない”とも語っている。

　苦しい状況を認めるマルケスだが決勝に向けてはこう意気込んだ。

「明日起こることの多くは、スタートと1周目に左右されるだろう。でもリスクは犯さなければならない。僕は競うためにここに居るんだからね」