ホンダのMotoGPバイクには「強みがどこにもない」? ジョアン・ミル、エンジンアプデ後も変らぬ苦戦嘆く
レプソル・ホンダのジョアン・ミルは今のMotoGPマシンでは強みがどこにも存在しないと、後半戦が始まった今も続く厳しい状況を語った。
MotoGPオーストリアGPではホンダがエンジンにアップデートを投入した。しかしレプソル・ホンダのジョアン・ミルは結局マシンに強みがないのが現実だと語っている。
大苦戦が続くホンダが投入したエンジンのアップデートに、ミルは当初楽観的だったものの、オーストリアGPの決勝を経て、厳しい現実を受け入れる必要があった。
オーストリアGPでミルは17位フィニッシュ。入賞ラインの15位であるアウグスト・フェルナンデス(GASGAS)からは約4秒差だった。
この結果自体十分にがっかりしてしまうものだが、ミルはブレーキング、加速、タイヤの消耗とあらゆる面でタイムを失ってしまっていることに、特に落胆している。
そしてミルは、現在のバイクでは限界に直面していて最大限まで自分をプッシュすることができないのだと語った。
「僕が感じていたモノより悪く感じるのは難しいだろうね。何もポジティブな部分が見当たらなかった」とミルは言う。
「振動がとても酷かった。どんどん酷くなっていって、今回のようなコースでは最悪だったかもしれない」
「競争力を発揮できると思える部分がなかったんだ。それが実際の姿だよ。バイクに乗り続けるのも大変だった」
「ストレートでのブレーキングではバイクのフロントタイヤを何度もロックさせていた。ブレーキングで攻めようにも、それが僕にとって制限になっていたんだ」
Joan Mir, Repsol Honda Team
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
「だけどスロットルを明ける前にスピンしてしまっていて、スロットルを明けたらもうただ浮いているようなものなんだ。コントロールのできない浮いているような感じがずっと続いている感じだった」
「そうするとタイヤの消耗がほかよりも激しくなってしまうんだ。オーバーヒートもひどくなり、バイクはコントロールできなくなる」
「それから、レース序盤に僕は集団の中で走っていなかったけど、フロントタイヤの内圧がめちゃくちゃ上がってしまっていたせいでスローダウンする必要があったんだ。本気でプッシュすることももできなかった。これが現実だ」
なおホンダはオーストリアGP後にミサノ・サーキットでプライベートテストを実施した。
ミルはこうしたテストを重ねることが問題解決や来年のマシンの方向性などを理解するために重要になると考えている。
「今僕らはかなり忙しいスケジュールになっていて試すことが多い。(オーストリアGP後の)水曜にはミサノでテストをして、それからアラゴンでも1日テストがあって、さらに色々試すんだ。その後はミサノでレースがあって、さらに(ミサノで)オフィシャルテストもある」
「もっとたくさんのことを試していくよ。異なる設定や構成のエンジンもね。グリップ向上の助けになるものや、ホンダに取り組んでもらうために来年の方向性を理解するのに役に立つものも試すよ。上手くいくものをひとつでも持ってこれるように、少し時間が必要だ」
なお今シーズン、ホンダ陣営にはヨハン・ザルコが加入。過去4年間ドゥカティに乗ってきた彼の経験をマシン開発に活かそうとしている。
そんなザルコはホンダが今後数ヵ月でどんなアプローチを採るべきかについて訊かれると、新しいパーツを投入する前に、RC213Vの強力なベースラインを確立しなくてはならないだろうと答えた。
「ドゥカティはこれまでにたくさんのコトを試してきたけど、この3年間は全てが上手く機能している」
「彼らはパーツを投入してもいるけど、それだけ上手く機能してるベースがあるんだ」
「そうしたベースがあれば、色々なモノを投入できるし、それが上手く機能する。今のホンダの弱点は、ベースなんだ。本当のベースをできるだけ早く作らないと、ダメなベースでは何を試しても全てダメになってしまう」
「ドゥカティやKTM、欧州勢のやっていることに比べれば目立たないかもしれないけど、ホンダも色々な取り組みを進めている。決して立ち止まっていない。近くで目の当たりにすると、その仕事ぶりはとても印象的だ」
Additional reporting by German Garcia Casanova and Lorenza D'Adderio
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