マルケス不在のおかげ論は“素人”の考え……初タイトルのミル「それもMotoGPの一部」
2020年のMotoGPタイトルを獲得したスズキのジョアン・ミル。彼は絶対的な王者として君臨していたマルク・マルケス不在によってタイトルの価値が下がったと語る人々に対し「バイクのことをあまり知らないようだ」と皮肉った。
写真:: Gold and Goose / Motorsport Images
スペインのリカルド・トルモ・サーキットで行なわれたMotoGP第14戦バレンシアGP。その決勝レースでは、タイトルに王手をかけたジョアン・ミル(スズキ)が戴冠条件を満たす7位でフィニッシュ。スズキにのライダーとしては20年ぶり、自身にとって初のMotoGPタイトルを獲得した。
ミル+スズキの戴冠……これは今季のMotoGPの予測不可能性を象徴するような結果とも言える。新型コロナウイルスの感染拡大により、シーズンのスケジュールが大きく変更されたこともそのひとつ。しかしそれ以上に、第2戦スペインGPでの転倒により、ここ数年絶対的な王者として君臨してきたマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)がその後のレースを欠場することを強いられたことが大きかったとも言える。
マルケスという大きすぎる存在の不在には、一部からは今季のMotoGPタイトルの正当性に疑問を呈する声が上がるほどだった。
とはいえミルは、この波乱のシーズンを最も高い安定感で走り抜けた。彼は先日のヨーロッパGPでの初優勝を含み、これまで7度の表彰台を獲得している。
そしてタイトルを獲得した今、そういった“タイトルの正当性”といった疑問の声に何を思うのか? それを訊かれたミルはこう答えた。
「そういったことを言う人達がいるけど、それは彼らがモーターサイクルのことをあまり知らないからだよ。マルクがここに居ないのは、彼らが誘拐したからでもない。彼が自分から姿を消したからなんだ」
「マルクは開幕戦(第2戦スペイン)で、優勝そしてチャンピオンシップに勝つためのリスクをとった。そしてそのことで彼は、今シーズン自体でツケを払うことになった。それだけだ」
「それ(マルケスの不在)がこのタイトルを毀損するかって? まあ論理的には、“お気に入り”のライダー達が”墜ちて”チャンピオンになれなかったときにはそうかもしれない。そうなれば、これまでの歴史の多くのライダーの多くのタイトルが、同じように毀損される必要があるだろうね」
「それもゲームの一部、MotoGPというスポーツの一部なんだ。今回のタイトルの価値が『マルケスが怪我をして不在だから、達成しても価値は少ない』……僕はそんなふうには考えない」
マルク・マルケスは今季のレース復帰を諦め、2021年シーズンに向けて回復に努めていくことになったと、ホンダは明らかにしている。ただ最近になってスペインメディアが、マルケスは3度目の手術が必要とされる状態にあると報道している。
ミルのMotoGPタイトル獲得は、スズキにとっては20年ぶりというだけではなく、同社の創立100周年・レース活動60周年の節目の年というメモリアルな物となった。また、スペイン人による最高峰クラスタイトルの獲得は、アレックス・クリビーレ、ホルヘ・ロレンソ、マルク・マルケスに次ぐ4人目ということになった。
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