スズキ、2022開幕戦は強みのタイヤマネジメント活かせず。ミルは”強力新型エンジン”の影響否定

　MotoGPの開幕戦カタールGPで、スズキのジョアン・ミルは6位でフィニッシュ。彼は新型マシンではこれまで強みとなっていたレース距離での戦いに苦戦したことを疑問視している。

　開幕戦カタールGPで、スズキ勢はライバルたちから一目を置かれていた。それは彼らが今シーズン、大幅なトップスピードの向上を果たし、課題とされていたタイムアタックでも改善の兆しを見せてきたことが関係している。

　ミルは予選では8番手になったものの、決勝レースでは優勝争いに参加してくることが予想されていた。

　しかし実際の決勝レースでは、ミル、そしてチームメイトのアレックス・リンスは優勝争い、そして表彰台争いに絡んでいくことができなかった。

　ミルは序盤からリヤグリップの問題に突き当たっており、マシンの加速で苦労していたと語り、6位という結果にはガッカリしたとレースを振り返っている。

「レースペースは凄く速くで、本当にタフなレースだった」

「7周目からもう苦戦してしまっていて、厳しかったよ。正直に言ってちょっとガッカリもしている。レースでこんなふうになるなんて予想していなかったからね」

「スタートは良い出足を切れたし、フィーリングは凄く良かったんだ。でもそこから問題が顔を出してきた。結構多くのライダーがそうだったと思うんだけど、フロントタイヤが動いてしまうんだ」

「でもそれは変なことじゃない。ソフトタイヤを使っていて、このコースで1分54秒台で走っているなら、そういうことも起こる。だからそれはまあヨシとしよう」

「でもリヤグリップに起きていたことについては、もうすこし改善しなくちゃならない。リヤのグリップ低下は大きくて、マシンを加速させるのにもかなり問題を抱えていたからね」

「通常、僕らはタイヤマネジメントという部分を得意としてきたし、常に気にかけてきた部分でもあるんだ」

「だから何故なのかを理解するようにしないと。そしてレース終盤により良い状態にするには何ができるかを解明しないとね」

　こうしたスズキの問題には、大幅なパワーアップを見せた2022年型のエンジンが関係しているのではないか……そう考えることもできる。しかしミルは新型エンジンがリヤタイヤの問題を引き起こしたとは考えていないようだ。

「僕らは電子制御面でもう少しやるべきことがあるというのは確かだろう。おそらく（電子制御は）完璧じゃなかった」

「でもセットアップやジオメトリなんかをより理解しなくてはいけないんだと思う。昨シーズン終盤も、僕はレース終盤に苦戦していたんだ」

　なお7位でフィニッシュしたリンスは、今回フロントタイヤに問題があったと語っている。今回、フロントにソフトタイヤを履いたものの、スズキには柔らかすぎたと考えているのだ。

「ちょっと変だったね。レース序盤からオーバーテイクには苦しんでいたから」と、リンスは言う、

「それからホルヘ・マルティン（プラマック）を追い抜いて、ジョアンを狙おうとしていた」

「プッシュしてプッシュしていたけど、フロントタイヤにかなり問題が出ていたんだ」

「これまでには起こったことの無いモノだった。ブレーキングは良くても、コーナーで動きが出てしまう。タイヤが柔らかすぎたのかはわからないけど、そういった問題だった」

　こうしてスズキは、開幕戦でホンダやKTM、アプリリアに先着を許してしまった。しかしミルは今後の巻き返しに自信を見せた。

「僕らより上に多くのメーカーがいるのは事実だ」と、ミル。

「でも言ってしまえば、まだ開幕戦だ。今苦戦しているひとが、将来も苦戦する確約は無い」

「全てが通常の状態に戻ることを願っている。チームとして、トップ5を戦うこと以上に、あるべき姿があると思う」

「心配はしていない。きっと良い方向に向かうよ」