【MotoGPコラム】津田拓也「苦しかったけど、成長できた3日間」

代役参戦で初のMotoGPレースに挑んだスズキの津田拓也は、刺激的なレースウィークを過ごし、苦しみながらも「何か」を掴んだようだ。

 MotoGP4戦スペインGPに、負傷欠場中のアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)の代役として、スズキの開発ライダーを務める津田拓也が参戦した。

 リンスは前戦第3戦アメリカズGPの土曜フリープラクティスで転倒をして左手を骨折。全日本ロードレース選手権にヨシムラスズキMOTULレーシングからエントリーしている津田は、このとき鈴鹿でJSB1000クラスのレースウィーク真っ最中だった。MotoGPの代役に関する連絡を受けたのは、鈴鹿の決勝レースで2位表彰台を獲得した後のことだったという。

 スペインGPの舞台であるヘレス・サーキットは、開幕前のプレシーズンテストで走行した経験があるものの、世界最高峰のMotoGPに参戦するのはまったくの初体験だ。

 レースウィーク開始前日の木曜に、津田はやや緊張した面持ちも浮かべながら「順位やタイムというよりも、今後の自分のレース人生に活かせるように3日間を全力で走り、勉強をして、何かを掴み取りたい。そして、ここで得たモノを、全日本や今後のマシン開発に活用したい」と話した。

 MotoGPの年間スケジュールは、シーズン序盤の3戦で中近東から南北アメリカを転戦し、スペインGPから本格的な欧州ラウンドの幕開けとなる。選手たちは走り慣れたヘレスサーキットから、いよいよ本領を発揮しはじめる。しかも今回の週末は、金曜に雨模様で、土日はすっきりと晴れてどんどん温度が上昇すると予測されていた。このような欧州のコンディション変化への対応も、津田にとっては初めての経験になる。

 土曜の予選を終えて、津田はテストで走行した際の自己ベストタイムを更新したものの、順位は最後尾の23番手だった。

「がっつり離された最後尾ではなくて、ひとつ上の選手やさらにその前とも僅差のタイムだったところは、まだしもよかったかなとは思います。とはいえ、短い15分の予選でタイムを上げてゆく合わせ方を心得ている選手たちばかりで、思った以上にみんな速かったですね。(タイムアタックで)思い切り行ったことで、『このバイクは今、こういう状況なんだな。こういう問題があるんだな』ということもわかってきました」と、津田は開発ライダーとしての視点も残しながら、翌日のレースに向けては「予選でもこれだけ皆が上げてくるのだから、決勝はどうなるのかまったくわからない、未知の世界ですね」と正直な印象を述べた。

 日曜は週末を通して最も温度条件が高くなり、タイヤのマネージメントに苦しんだ選手も多かったが、MotoGPの決勝レースを初体験する津田も、もちろんその例外ではなかった。何もかもがめまぐるしく過ぎてゆくなか、それでも転倒をせずに27周を走りきり、17位でチェッカーフラッグを受けた。

 レースウィーク前に話していた『何か』を掴めたかどうか、レース後に訊ねてみたところ、「皆に食らいついていこうと必死で過ごす3日間って、なかなか経験できないことなので、すごく刺激的でしたね。すごくしんどかったですけど。やらなければならないことが多く、知らないこともとても多かったけど、そうやって無理をしたぶん、自分も成長できたと思います」と話す口調からも、今回の参戦で大きな刺激を受けた様子がよく窺えた。

「ここは世界でいちばん速い頂点の二十数人が集まっているところだから、誰もが来たい場所だけど、そう簡単に来ることはできないじゃないですか。その世界を見ることができた経験は、失わないようにこれからも大事に持っておきたいですね」

 そして彼は、さらにこう付け加えて苦笑した。

「やっぱり、(成長するためには)苦しまないとダメだなと思いました」

取材・執筆/西村章

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この記事について
シリーズ MotoGP
イベント名 スペインGP
サーキット サーキット・デ・ヘレス
記事タイプ 速報ニュース