MotoGP人気高まるマレーシア。熱戦セパンで見た、様々なドラマ……

緊張感増す最高峰クラスのタイトル争い。それ以外でも、セパンでは大小様々なドラマが巻き起こっていた。

 第17戦マレーシアGPは、大詰めを迎えて緊迫感を増すMotoGPクラスのチャンピオン争い、マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)とアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)の攻防に最も大きな注目が集まった。結果はご存じのとおり、ドヴィツィオーゾが優勝して、年間総合優勝の決定を最終戦までもつれこませた。

 彼らの頂上決戦以外にも、今年のセパンサーキットでは大小様々なドラマが繰り広げれていた。ここでは、そのうちのいくつかを拾い上げてみたい。

ファン・デル・マーク”ようやく”MotoGPデビュー

 レースウィーク初日の金曜に注目を集めたのが、SBK(スーパーバイク世界選手権)に参戦するマイケル・ファン・デル・マークの代役出場だ。ジョナス・フォルガー(モンスター・ヤマハ Tech3)の病欠により、今回は彼が走行することになった。

 ファン・デル・マークはアラゴンGPでもバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハMotoGP)の代役候補として待機していたが、骨折から奇跡的な復活を遂げたロッシが最後まで走りきったために、サーキットを訪問しながらも結局彼の出る幕はなかった。今回はサテライトチーム仕様とはいえ、初めてYZR-M1に跨がるチャンスを得た。

 初日の総合順位は19番手。カーボンブレーキやミシュランタイヤ、共通ECUなどあらゆることが初体験でも最下位を回避したのだから、決して悪い内容ではない。この順位に納得しているのかどうか走行後の彼に訊ねてみたところ、笑顔で次のように語った。

「正直なところ、特に最初のセッション(FP1)は、自分で予想していたよりもよく走ることができてちょっと驚いた」

「特にタイヤが難しいから気をつけるようにとも聞いていたんだけど、普通に乗ることができたよ。午後の雨では少し苦労したので、他の選手の後ろについて走ってみたんだ」

 予選はさすがに厳しい順位で最後尾グリッドのスタートになってしまったが、日曜の決勝レースでは序盤にうまく順位を上げ、最後はポイント圏内目前の16位でゴール。

「とてもいいウィークで、M1はとても素晴らしかった」と納得した様子で、この週末を締めくくった。

ルティ骨折でMoto2決着。来季昇格のふたりに注目

 Moto2クラスでは、フランコ・モルビデッリ(Team Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)がチャンピオンを獲得した。年間総合優勝を争っていたトマス・ルティ(CarXpert Interwetten)が土曜午後の予選で転倒し、左足首骨折により決勝レース出場不能となったため、29ポイントリードするモルビデッリはレースを完走すれば王座を確定する状態だった。そんな状況下でもしっかりと3位でゴールしてタイトルを決めたのだから、納得のレースとなったことは間違いない。

 モルビデッリはシーズンを通じてランキングをリードし、誰よりも高い安定感で2017年の王座を決めた。表彰台獲得回数は優勝8回を含む11回。来年は同チームからMotoGPクラスへ昇格する。チームメイトは、今季タイトルを争ったルティ。彼らが2018年に最高峰クラスのルーキーとしてどんな走りを披露するのか、注目をしておきたい。

長島哲太自己ベスト10位「レースを組み立てられた」

 Moto2クラスでは、日本人選手の長島哲太(Teluru SAG Team)が自己ベストの10位フィニッシュを果たした。21番手という厳しい位置からのスタートだったが、多くの転倒者が発生する荒れたレースで序盤にうまくポジションを上げて、19周を懸命に走りきった。

「レース中盤の少し手前くらいからリヤをうまくコントロールをできるようになって、前を捕まえられるようになりました」

 灼熱のレースを終え、長島は汗を滴らせながら話した。

「肉体面でも技術面でも、最後までペースが落ちなかったので、そこは今後に向けて自分の武器になっていくと思います。最後に少し雨が降ってきたとき、チャンスだと思って攻めたけど、ひとケタにはちょっと届かなかったですね」

 そう言って、少し悔しそうな笑顔を見せた。

「セパンは初めてでしたが、ちゃんとレースを組み立てられて自信になりました。まだ先は長いので、今後も気を抜かずにがんばります」

”ホーム”セパン戦に挑んだSIC/Moto3

 セパンサーキットをホームグランドにしているのがMoto3クラスに参戦するSIC Racing Team。地元マレーシア人のアダム・ノロディンと、日本人ルーキーの佐々木歩夢が所属しており、今回のレースに先だち、彼らの2018年継続参戦も正式発表された。

 全18周の決勝レースでは、ノロディンが高いパフォーマンスを発揮して表彰台圏内のグループで走行していたが、11周目に転倒。即座に再スタートしたものの、大きく順位を落としてしまった。そこからふたたびポジションを上げて、最後は11位でゴール。表彰台を獲得できなかったのは残念だが、高いパフォーマンスを存分に披露したレースだったといえるだろう。

 チームメイトの佐々木歩夢は12位でゴール。セッションごとにドライ、ウェット、ハーフウェット、とコンディションがすべて異なる難しい条件の週末で、予選終了段階でのバイクの仕上がりは「……20パーセントくらいですかね」と話す状態。決勝も「これだけ暑いコンディションでレースをしたのは初めてで、キャメルバッグを積んでいなかったから最後は喉がカラカラになりました」と苦笑。そんな失敗も含めて、今回のレース内容は、佐々木にとって今後に繋がる良い経験になったようだ。

F1からMotoGPへ? マレーシアで高まる人気

 今年のマレーシアGPの来場者数は、金曜2万2794人、土曜4万6235人、日曜は9万7457人で、3日間の総数は16万6486人。F1は今年限りでマレーシアGPの開催が終了したようだが、MotoGPは地元出身選手たちの活躍もあり確実に人気が上昇している。それは、この数字がなによりも雄弁に物語っている。

取材・執筆/西村章

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この記事について
シリーズ MotoGP , Moto2 , Moto3
イベント名 マレーシアGP
サーキット セパン・インターナショナル・サーキット
記事タイプ 速報ニュース